日本の議会とは? わかりやすく解説

日本の議会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/30 03:20 UTC 版)

牛歩戦術」の記事における「日本の議会」の解説

日本の国会本会議では、1/5以上の議員からの要求があった場合採決において記名投票を行わなければならない記名投票では一人ずつ演壇上の投票箱投票するこの際投票までの間、時には立ち止まった足踏みしたりしながらゆっくり前進し投票のために並んだ議員の列を妨害して時間稼ぎをすることが牛歩戦術である。長く静止した後退すると、投票意思がないとみなされ棄権扱われうるため、周期的に肩を左右に傾けるなどの動作をとりつつ、少しずつ前進していく。 牛歩を行う名分としては審議が不十分であることを上げている事が多くそれにもかかわらず採決強行強行採決)したとして議長不信任決議案委員長解任決議案を、問題のある議案強引に成立させようとしている等の理由内閣不信任決議案首相担当閣僚問責決議案提出する。これらは先決議案として焦点議案より先に採決されるので、その場でも牛歩行い消費時間増やす衆議院規則では、議長職権により投票時間制限できる規定明記されているが、参議院規則にはない。しかし、参議院でも議長職権により投票時間制限され投票打ち切られた例がある。 牛歩戦術狙い次の3つ。しかし牛歩のみによって妨害成功した例は少ない。 議場議会開かれている部屋)を一度出てしまうと、その議会終了するまで議場入れないという決まりがある(議場閉鎖)。このため、たとえば賛成派議員の中からトイレ我慢できなくなって投票する前に部屋を出る議員現れくれればその分賛成票を減らすことができる。 午前0時、つまり日付変わった時点投票終了してない場合は、その投票自体無効になるという決まりがある。このため議題可決ある程度先延ばしすることができる。 法案は、国会会期中に可決するか、継続審議の手続き行わない廃案となる。会期末まで牛歩続ければ理論上廃案にできる。 日本では戦前帝国議会1929年昭和4年)、小選挙区制法案反対した野党立憲民政党が、牛歩戦術初出とされる3月9日立憲民政党議長不信任決議案提出し記名投票では「一人一人一歩一歩ゆるゆる葬列のような恰好で、まるで病牛が屠所引かれていくかのような調子登壇し投票した」。この牛歩で、時間1時間以上稼ぐことに成功した第二次世界大戦の敗戦後、初め議会進出した日本社会党日本共産党また、牛歩戦術を使うようになった日本国憲法公布され帝国議会から国会となってから、本格的な牛歩最初は、野党時代日本自由党が、大野伴睦発案行われた自民党政権握っていた55年体制下では、日本社会党日本共産党が得意とした戦術であり、その後自公政権下でも民主党などが行うことがあった。ただし、民主党は党としては行わず議員個人裁量任せるという形を取っていた。一回投票での最長記録1992年PKO法採決阻止目的とした下条進一郎参院国際平和協力特別委員長問責決議案での13時間8分である。 1998年参議院押しボタン式投票導入されたが、出席議員の1/5以上の要求があれば、従来通り記名投票可能なので、牛歩阻止できるものではない。押しボタン式投票衆議院では導入されていない牛歩戦術主な実例会議名議案の名称実行会派内容1929年衆議院 小選挙区法案 立憲民政党 小選挙区法案阻止目的結果的に成功1946年8月21日衆議院 社会党共産党 樋貝詮三議長不信任決議案討論打ち切り動議対抗時間稼ぎのみだが、結果的に貝が辞職したため本来の目的という意味では成功1947年衆議院 臨時石炭鉱業管理法自由党 保守政党有利な修正なされたため、一部成功1948年長野県議会 長野県の分県案可決阻止目的本会議流会となり、結果的に成功1969年衆参両院 大学運営臨時措置法社会党公明党共産党、など 失敗衆議院では4泊5日抵抗し投票は計23回に及んだ定足数確認要求も。参議院では先決議案関連投票牛歩遅滞する中、議長議事日程変更法案起立採決立て続け行い成立1987年4月21日-23日衆議院売上税法案)(マル優制度廃止社会党公明党共産党民社党社民連など 直接的に予算案扱いをめぐる予算委員長解任決議案大蔵大臣不信任決議案採決時の牛歩予算案可決通過したが、直後統一地方選挙での与党敗北受けて売上税法案廃案与野党合意一方で障害者等以外に対すマル優廃止実施された。 1988年衆参両院 消費税法社会党共産党第二院クラブ 議長による投票打ち切り失敗1992年衆参両院 PKO法社会党共産党連合参議院社民連など 五泊六日抵抗する失敗共産以外は一部牛歩参加せず連合参議院民社議員参加せず民社党賛成)。 1999年参議院 通信傍受法案など組織犯罪対策三法民主党共産党社民党 議長による投票打ち切り失敗民主一部牛歩参加せず2004年衆参両院 年金改正法民主党共産党社民党 失敗2005年衆議院 民主党共産党社民党 不完全ながら実行会期延長議決時、本会議場酒気帯びて出席している自民党議員への抗議目的その後民主党議員にも飲酒者がいたと自民党反論懲罰動議応酬となった2015年9月18日9月19日参議院 安倍首相問責決議案鴻池委員長問責決議案安全保障関連法案 生活の党 民主共産社民実行する示唆もあったが、山本太郎生活の党共同代表)が牛歩行った9月18日開かれた安倍首相問責決議案ではこの牛歩によって数分遅らせる事が出来たが、議長による投票時間制限失敗翌日未明開かれた本命法案安全保障関連法案採決でも失敗したが、この時は同じく廃案共闘する民主共産社民議員投票箱投票する際に立ち止まり法案政権へ抗議をした。そのため、僅かだが一部議員牛歩並み進度投票する状況出た2016年12月9日参議院 TPP協定 自由党 民進共産社民実行する示唆もあったが、一部議員単独実行議長による投票時間制限失敗2016年12月14日参議院 IR(統合型リゾート)推進法案 自由党 一部議員単独実行議長による投票時間制限失敗2017年6月15日参議院 組織犯罪処罰法改正案 自由党社民党沖縄の風 議長による投票時間制限失敗。3名が投票時間に間に合わず棄権扱い

※この「日本の議会」の解説は、「牛歩戦術」の解説の一部です。
「日本の議会」を含む「牛歩戦術」の記事については、「牛歩戦術」の概要を参照ください。

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