感染と症状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/31 06:41 UTC 版)
多角体が虫に食べられ中腸に達すると、アルカリ性のために溶けてODVが遊離し、中腸上皮細胞細胞に感染する。まず細胞表面に接着し、膜融合によって中腸円筒細胞に侵入した後、核に移動し、転写と複製を行う。中腸上皮細胞で複製されたウイルスは、細胞表面から出芽して出芽型ウイルス(BV)となり、他の細胞に感染を繰り返し全身に広がる。出芽の際にBVはウイルス由来の糖タンパク質を含む細胞膜をエンベロープとしてかぶる。宿主の細胞膜とともにその表面に発現しているウイルス由来の糖タンパク質GP64を被り、これが他の細胞に感染する際のエンドサイトーシスを誘導する。また、GP64はビリオンの一端に集まっている。ODVはGP64を持たない。一部のウイルス種でGP64の代わりにLD130がある。これらのタンパク質は出芽、次の細胞への接着、膜融合、エンドソームによる取り込みに必須で、宿主特異性への関係が議論されている。その後、核膜に由来するエンベロープを持つ包埋体型ウイルス(ODV)とポリヘドリンタンパク質が作られ、ODVは核多角体に埋め込まれた形になる。感染虫は、動きが鈍くなり、変色し、内部が崩れて液状化し死ぬ。表面は黒くなってその後破れ、内部の多角体をまき散らすことになる。多角体は安定であるが、紫外線照射や漂白剤,ホルマリン処理などによって失活する。
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感染と症状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/12/10 15:23 UTC 版)
「ジャガイモやせいもウイロイド」の記事における「感染と症状」の解説
PSTVdは、主にナス科の植物に感染する。ただし、感染しても症状が出る場合と出ない場合がある。主に感染するのはジャガイモ (Solanum tuberosum) 、トマト (Solanum lycopersicum) 、トウガラシ (Capsicum annuum) であり、これらは感染すると下記に示す症状を示す。一方で、キダチチョウセンアサガオ属 (Brugmansia) 、チョウセンアサガオ属 (Datura) 、ペピーノ (Solanum muricatum) 、ツルハナナス (Solanum jasminoides) 、アボカド (Persea americana) 、Lycianthes rantonneti 、ブドウホオズキ(英語版) (Physalis peruviana) 、Streptosolen jamesonii などは、感染しても無症状である。 PSTVdに感染した植物は、株の矮化、実の小型化、着果不良が発生する。名称の由来となったジャガイモは、成長が阻害されたり完全に停止する場合があり、葉も小さくなる。トマトに感染した場合は、成長が阻害されたり花や実が着かない着果不良が発生し、場合によっては枯死する場合がある。トウガラシの栽培品種であるピーマンの症状は軽度であり、実に特有のうねりを生じたり、葉の上部が白っぽく変色する。 PSTVdは、芽欠き作業などの選定作業で使用したナイフや農機具による接触で容易に汁液伝染する。また、トマトでは感染した種子、ジャガイモでは挿し木や種子、花粉によって広がる。感染のほとんどはこれらが原因であるが、珍しいものにアブラムシによる感染もある、感染の予防には、植える場所においてこれらが感染していないことに注意する必要がある。アブラムシによる感染の広がりは、モモアカアブラムシによって、PSTVdとジャガイモリーフロールウイルス(英語版)の両方に感染した植物の葉によって広がる。PSTVdはRNAが裸であるため、単独ではアブラムシの消化に耐えられないが、ジャガイモリーフロールウイルスがあることでそのカプシドによって保護されると考えられる。 20世紀中は、特にジャガイモに対する経済的な損害が確かにあったが、現在では例えば北米地域における損害の1%程度を占めており、相対的な割合が減少している。主な発生国は中華人民共和国、インド、アメリカ合衆国、ポーランド、ロシアなどである。日本では、まだ大規模な感染は報告されていないが、2008年に福島県のトマトで発生した 。その後この発生地における封じ込め対策が行われた結果、PSTVdによる病気は終息した。また、2010年には外国から輸入された山梨県の花卉栽培施設にあるダリア苗での感染が報告されている。このダリアでの症状は確認されていないが、ジャガイモやトマトへの感染の広がりを防ぐための封じ込め策が取られた。 なお、PSTVdに感染した植物を食べてもヒトには感染しない。
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感染と症状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 23:21 UTC 版)
「天然痘」も参照 天然痘ウイルスはオルソポックウイルス属の他の種である牛痘ウイルス、ワクチニアウイルス、サル痘ウイルス (Monkeypox virus) とは異なり人獣共通感染症ではなく、天然痘ウイルスは唯一ヒトにのみ感染する。昆虫や動物による媒介や無症候性キャリアは知られていない。他のポックスウイルス科ウイルスと同様に、DNAウイルスとしては珍しく、細胞核ではなく細胞質で増殖し、他のDNAウイルスには見られないタンパク質を合成する。最も重要なのはDNA依存性RNAポリメラーゼである。 臨床的には、天然痘ウイルスは Variola major と Variola minor の2つのタイプに分けられる。major は非常に毒性が強く、致死率は20%から50%と非常に高い。一方で minor の致死率は1%未満である。2つのタイプは増殖温度を除きウイルス学的性状は区別できない。major は18万6103塩基対のゲノムと187個の遺伝子を持ち、minor は18万6986塩基対のゲノムと206個の遺伝子を持っている。20世紀の間に天然痘によって3億人から5億人が死亡したといわれている。 天然痘ウイルスは感染力が非常に強いことで知られている。感染は主に飛沫感染によるものである。感染者からの飛沫や体液が口、鼻、咽頭粘膜に入ることで感染する。通常は約1.8m以内の範囲で感染する。また、感染者によって汚染されたもの、例えば布団や衣類などに触れても感染する。まれに建物やバスのような密閉空間で空気感染する場合もある。胎盤を通しての先天性天然痘はありうるが比較的まれである。感染すると12日から16日の潜伏期間を経て、39℃前後の急激な高熱と頭痛、四肢痛、腰痛などが発症する。小児には吐気・嘔吐、意識障害が見られる場合がある。また、病名の由来である発疹は(pox はラテン語の spotted(斑点)に由来する)顔や頭部に多く発生するが、全身に発生する。初期には口の中に発生し、この時に伝染力が最も高い。水痘とは異なりヘソのような凹みがある。死亡する場合は症状の発生から1週間目後半から2週間目の時期が多く、原因はウイルス血症が多い。死亡しない場合は2週間から3週間で全身の発疹がかさぶたとなって落ち治癒するが、色素沈着や瘢痕(あばた)を残すことで知られる。最後のかさぶたが落ちるまで感染者は伝染性を持つ。治癒後は強力な免疫が付き、それは major と minor 両方に効果がある。
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