忖度とは? わかりやすく解説

忖度

読み方:そんたく

「忖度」とは・「忖度」の意味

「忖度」とは、広辞苑には他人心中推しはかること・推察することと解説されており、本来、他人意図読み取る本音汲み取るという意味であるが、政治問題関連して使われたことにより、ひいきする便宜を図るというように自分より上位者意向推しはかることで顔色をうかがう社会的によくない行動をする、という意味合い用いられるようになった

「忖度」の「忖」と「度」はいずれもはかるという意味をもち、「忖」には「脈をはかるように他人の心をはかる」、「度」は主に目盛りの意味があるが、心や様子という意味もある。これらのことから人の考えていることや気持ち推察する想像するという意味の言葉であり、本来誰にでも用いることができるため対象となるのは上位者目上の人だけでない語源古代中国儒教基本的な教え記した経典五経1つ詩経小雅巧言)」に出てくる「他人有心予忖度之」であるとされる

読み下すと「他人心(たにんこころ)有(あ)り、予(われ)之(これ)を忖度す」であり、他人によくない心があれば、私はこれを推しはかるのは容易いことであるという意味である。この一節で、推しはかるのは上位者であり、王が臣下の心をはかるのである日本初め用いられたのは菅原道真漢詩集・「菅家後集かんけこうしゅう)」の「叙意一百韻(じょいいっぴゃくいん)」にある「舂韲由造化忖度委陶甄」であり、読み下すと「舂韲(しょうせい)は造化(ぞうか)に由(よ)る忖度は陶甄(とうけん)に委(ゆだ)ぬ」である。この意味は、毎日の食事天の心のままであるように、他人の心を推しはかることは天に委ねるである。

このように「忖度」は長い歴史のある言葉であり、誰に対して用いられる言葉であるが、現在のような「上位者意向推しはかる」という意味で用い聞く者に「おもねり」「へつらい」「迎合する」というようなネガティブなイメージ抱かせるようになったのは1990年代後半である。マスメディアによって、政治問題絡めて上位者言葉にしない意向推しはかって従うという意味で多用されるようになったためで、単純に相手の心を推しはかるだけでなく、その後に続く行動含めて使われるようになった

また「忖度」は、マスメディアでたびたび取り上げられることで、広く世間知られるようになったことから、2017年の「新語・流行語大賞」で年間大賞選出されている。当時、「忖度」の文字焼き印されたまんじゅう弁当などが発売されたことからも、いかに流行したかを伺い知ることができる。

「忖度」の類義語には「推察すいさつ)」や「斟酌しんしゃく)」などがある。「推察すいさつ)」とは相手気持ち思いやることであり、「斟酌しんしゃく)」とは相手気持ち状況思い巡らし手加減するという意味である。
「忖度」の対義語は「独善どくぜん)」「利己的りこてき)」などである。「独善どくぜん)」は自分だけが正しいことを意味し、「利己的りこてき)」は自らの利益だけを追求することである。いずれも相手のことを考えない姿勢根本にある。

「忖度」の読み方

「忖度」の読み方は「そんたく」である。「忖」は音読みで「そん」、「度」は音読みで「ど」「と」「たく」であるが、組み合わせると「そんたく」となる。室町時代成立した漢字熟語多数収録した文明本節用集ぶんめいほんせつようしゅう)」には「忖度 シュント 推量義也」とあり、「忖度」の意味推量であり、読み方呉音で「じゅんど」であるとしている。呉音とは漢字音のひとつで、漢音渡来する以前伝来し定着していた音である。仏教経典読み方多く用いられる

「忖度」の熟語・言い回し

忖度なくとは


「忖度なく」とは、相手気持ち推しはかることなく、という意味になる。そもそも「忖度」は名詞なので「ある・なし」「する・しない」をつけて動詞として用いるのが一般的である。つまり「忖度なく」というのは、周囲の状況誰か思い考え巡らせることなく決められ通り物事進められるということである。

忖度が働くとは


「忖度が働く」とは、名詞の「忖度」に主語表わす助詞「が」加え動詞の「働く」を組み合わせた表現である。状況相手気持ち推しはかるということであるが、近年上位者おもねることを意味してネガティブ使われることがある事例としては、「上位者考え方忖度する配慮は、補佐する者の当然のつとめであるが、おもねり的な忖度が働くということになって問題である」である。本来の使い方としては「取引成功させるには、状況に応じて的確な忖度が働くような組織作り不可欠だ」である。この場合の忖度はアドバイス判断の意味がある。

忖度されるとは


「忖度される」とは、名詞の「忖度」に動詞の「する」の未然形「さ」と助動詞「れる」を組み合わせた表現で、受け身表している。したがって「忖度される」は「配慮をしてもらう」という意味である。

忖度はしないとは


「忖度はしない」とは、名詞である「忖度」に助詞の「は」を加え、「する」の未然形である「し」に助動詞「ない」を用いて「し-ない」となる。意味は「忖度なく」と同じで、周囲の状況思惑とは無関係に規定通り物事進められるということである。本来の使い方としては「忖度はしないで、それぞれの思い伝えてください」「忖度はしないで、お互いに意見出し合いましょう」などがある。この場合率直に意見出し合いましょうという意味で用いられている。

「忖度」の使い方・例文

「忖度」は、本来、相手状況心情汲み取るという意味であり、相手気持ち考える、人間関係円滑にして物事スムーズに進めるときに用いられる。現在は政治問題に絡む報道で、言葉にならない上司気持ち推しはかり、その考え通り行動するおもねる」「考えなく迎合する」「皮肉」といったネガティブなイメージ用いられることがあるが、本来は少し改まった場に相応し丁寧な言葉であり、相手思いやることで物事スムーズに進めるために必要な心遣い表現する言葉である。用い場合は、そうした本来の意味合いしっかりと認識することが求められる

本来の意味でのビジネス上の例文としては「いつも当社製品求めて下さるユーザー忖度し結果最適な商品作り提案ができた」「この会議は、忖度はしない率直に意見出し合いましょう」「新し仕事チャレンジしたい彼の思い忖度して、海外勤務命じることにした」「日頃部長との会話忖度して、昇進祝い食事会フレンチしました」などがある。

「忖度」はビジネスだけでなく家族友人に対して使える例文としては「これまで両親気持ち忖度することなく全て自分決めてきたが、現在の自分があるのは両親のおかげだと気付いた」「彼女の気持ちを忖度し今はなにも告げずそのまま帰宅した」「仕事大きなミスをした彼の気持ち忖度し言葉選んで慰めた」などである。

ネガティブなイメージがあるため避けた方がよい使い方としては、「部長社長に忖度ばかりして意見変えるから、全くといっていいほどプロジェクト進まない」「今季彼の昇進は、人事部長忖度し結果だな」「取引先の社長忖度したことで、ようやく商談まとまったよ」などである。

「忖度」の英語表記は「read between the lines」であり、行間を読む言葉表現されない気持ちを読むということである。この他にも推察するという意味で「surmise」、推測意味するconjecture」などが用いられる例文として「You have to read between the lines.(空気読みなよ)」「It is very difficult to surmise what he really meant.(本当はなんて思っているかは忖度しがたい)」「That is judging of others by yourself.(己をもって人の心事忖度するのである)」「speculate on the movements of the stock market.(株式市場動き忖度する)」などがある。

忖度

読み方:そんたく

忖度とは

忖度とは、「他人内心推し量り察してよしなにいい感じに)取り計らうこと」といった意味合い表現である。特に明示されていない相手内心秘められている部分を、適切に汲み取って、うまい具合対処するということ言外要望察するということ

「忖度」の語は、名詞として扱われ「忖度があった」という風に用いられることも多いが、動詞として「忖度する」というような形で用いられる場合も多い。

「忖度」は漢語由来語彙である。「詩経」に見られる他人有心予忖度之」とおいう一文が、確認できる最古の「忖度」の記述とされる字義としては、「忖」の字にも「度」の字にも「はかる」「おしはかる」という意味合いがある。

「忖度」に意味合いが近い同義語としては「推察」などが挙げられる。忖度も推察も、「相手の意を推し量る」という意味合い共通する。ただし昨今、「忖度」は「相手の意を推し量り」さらに「良き計らう」という部分まで含めたニュアンスの語として世間的に認識されている向きがある。その意味では忖度は「推察」よりも、いわゆる空気を読む」に近い部分がある。

もともと「忖度」は、現代日本語表現としてはかなりいかめしい表現であり、日常会話の中では用いられるような言葉ではなかった。2017年頃から、マスコミいわゆるモリカケ問題森友加計学園問題)の疑惑追及する野党便乗した報道において「忖度」の語を(政権追及のキーワードとして)大々的使いたことにより、一連の政界疑惑象徴するキーワードとして広く認知されるに至った2017年の「ユーキャン新語・流行語大賞」では「忖度」が大賞選出されている。

とはいえ、「忖度」の語の本来の意味使い方には、「悪い謀(はかりごと)を汲む」とかいうような否定的な物事を特に指すような前提は特にない。また、「忖度」はあくまでも相手意向汲み取る」という部分を指す語であり、忖度の語そのものに「相手の意にそうべく行動する」という意味合いを含むわけではない

忖度に関するニュース

「物分かりいい、すぐ忖度する」…塚田氏発言抜粋読売新聞 2019/04/05

籠池被告、初公判で一部否認 「官邸からの意向と忖度」朝日新聞デジタル 2019年3月6日

令和元年・政界“裏”新語・流行語 本紙が忖度なしに選出東スポWeb 2019年12月28日




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