五経とは? わかりやすく解説

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ご‐きょう〔‐キヤウ〕【五経】

読み方:ごきょう

儒教経典として最も尊重される五つ経書。「易経」「詩経」「書経」「礼記(らいき)」「春秋」。→四書


ご‐けい【五経】

読み方:ごけい

ごきょう(五経)


五経

読み方:ゴキョウ(gokyou)

儒学尊重する五部経書


ごきょう 【五経】

経はケイとも。儒教基本となる五つ経典。『易経『書経』詩経』『礼記』『春秋』など。みな孔子編纂といわれてきたが、詩経と書経のほかは疑問とされる。五経の註釈書としては唐の太宗の命で作られた『五経正義』が有名。五経に精通し教授した学者五経博士とした(前漢武帝の代に置く)。『日本書紀』継体欽明朝に百済から五経博士来日したとの記述がある。→ 四書

五経

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/22 08:48 UTC 版)

儒家経典
五経
九経



儀礼/周礼
春秋
礼記
春秋左氏伝
春秋公羊伝
春秋穀梁伝
七経 十二経
論語
孝経
爾雅
十三経
孟子

五経(ごけい・ごきょう)または六経(りっけい・りくけい)は、漢代に官学とされた儒学における経書の総称。「六経」とは『詩』(詩経)、『書』(書経)、『礼』(礼記)、『楽』(楽経)、『易』(易経)、『春秋』の6つの経書を言うが、このうちはやくに失われた『楽』を除いた5つの経書を「五経」と言う。伝統的な儒教の考えでは、孔子以前に編まれた書物を原典として孔子の手を経て現在の形になったと考えられている。

ただし、実際に五経として読まれる書物の内容は時代によって異なっており、また孔子以後の儒家たちの注釈である「」を含めた形で読まれた。

現行のいわゆる五経は、代の『五経正義』以来の『周易』『尚書』『毛詩』『礼記』『春秋左氏伝』である。

概要

これらの書物がどのように儒家の経典となっていったのかはっきりとした過程はわからない。『論語』を読んではっきりとわかることは、孔子の杏壇においては『詩』と『書』を学んでいたことだけである。『春秋左氏伝』によれば、当時の使者たちが『詩』を外交に用いていたことが分かり、これらを学んでいたのは孔子たちだけではなかったことが窺える。また『論語』では雅言(共通語のことと考えられている)について「『詩』『書』執礼」で用いていたとあり、礼に関する経典があったかはともかく、儀礼の教育もあったことは確かであろう。また「五十にして以て『易』を学ぶ」というくだりがあり、後に『易』が儒家経典とされる素地があった。『論語』の記述に、春秋以外の詩書礼楽と易が現れており、後にこれらの編纂に孔子が関わったとする根拠となった。『春秋』については『孟子』において魯の史書とされるとともに、孔子が作ったとされている。

これらの書が経としてまとめられたのは戦国時代末期、荀子のころと思われ、『荀子』勧学篇には礼楽・詩書・春秋と併記されている。ただし、荀子にも「五経」や「六経」という言葉は見えず、『荘子』天下篇に孔子が老子に述べた言葉として「丘は詩書礼楽易春秋の六経を治む」を初出とする。

このように六経としてまとめられたのであるが、始皇帝による焚書坑儒楚漢戦争によって書物の伝承が途絶えそうになった。しかし、一部の経師たちが口頭で伝承したり、竹簡を隠すことによって漢代に経書を伝えた。この時『』は失われて、残りの五経が武帝の時、学官に立てられた。これがいわゆる五経博士である。なお『礼』として立てられたのは現在の『儀礼』という書物であり、礼の「士礼」部分のみしか伝わらなかったと言われる。その一方で民間に眠る失われていた書物の採集が行われた。これらは当時の隷書今文)ではなく、古い文字、いわゆる古文でかかれていて、「古文経」と呼ばれるが、当時、学官に立てられていた経書(今文経)とは違う系統のテキストであった。これにより今文を掲げる学者と古文を奉じる学者による闘争が起こり、前漢末、には劉歆によって『春秋左氏伝』『毛詩』『逸礼』『古文尚書』といった古文経に学官が立てられた。しかし、新は後漢王朝によって倒され、新を否定するという政治的な理由から後漢では再び今文経に学官が立てられた。しかし、在野で力を付け、優れた学者たちを輩出した古文学者たちに押されて今文経学は衰退し、魏晋南北朝を経て唐代になると古文経の優位が確定し、唐朝が勅撰で作った五経の注釈書『五経正義』では古文系統のテキストが採用され、現在に至っている。

順序

六経の並べ方は今文と古文で異なる。

今文では詩・書・礼・楽・易・春秋であり、孔子が学んだ順序に基づくと思われる。

古文では易・書・詩・礼・楽・春秋であり、時代順に並べられている。『易』は宇宙生成にまつわる陰陽未分化な太極から扱い、その基本となる八卦の製作者は伏羲とされる。『書』はから三代の歴史書、『詩』と『礼』『楽』は周代に作られ、『春秋』は春秋時代の魯で作られた。

備考

中世日本においては、『楽経』に代わって『孝経』を加えて「六経」と称した事例が見受けられる。薩南学派の祖とされる室町時代桂庵玄樹が著した『家法倭点』の中に「六経者五経加孝経也」と記され、六経とは五経に『孝経』を加えたものであるとしている。ほぼ同時代に上杉憲実足利荘に対して出した規則では(憲実が再興した)足利学校で教えて良い学問として「四書」と並んで「六経」が挙げられており、これも『孝経』を含めたものと考えられている[1]

脚注

  1. ^ 菅原正子「足利学校の学問と教育」『日本中世の学問と教養』同成社、2014年 ISBN 978-4-88621-673-1

関連項目


五経

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 00:22 UTC 版)

儒教」の記事における「五経」の解説

儒教経典は『易』・『書』・『詩』・『礼』・『楽』・『春秋』の六芸(六経)である。 春秋時代になり、『詩』・『書』・『春秋』の三経の上に、『礼』・『楽』の二経が加わり、五経になったといわれる。 『詩』・『書』・『礼』・『楽』の四教については「春秋教うるに礼楽を以てし、冬夏は教うるに詩書を以てす」、『礼記·王制』における「王制曰く楽正四術を崇び四教を立つ。先王の『詩』・『書』・『礼』・『楽』に順いて以て士を造(な)す」という記述がある。 孔子は老聃に次のようにいったとされる孔子詩書礼楽四教弟子教えたが、三千人の弟子の中で六芸通じたのは72人のみであった漢の武帝のとき、賢良文学の士で挙げられ董仲舒儒学正統学問として五経博士設置することを献策した。霊帝のとき、諸儒を集めて五経の文字校訂太学門外石経立てた。このとき作られ熹平石経183年光和6年)に完成し、『易経』『儀礼』『尚書』『春秋』『公羊』『詩』『論語』の七経からなった。 経伝注疏易経 周易正義 尚書 尚書孔安伝 尚書正義 詩経 毛詩 毛詩正義 楽経 儀礼 礼記 儀礼注疏礼記注疏 周礼 周礼注疏 春秋 春秋公羊伝 春秋公羊伝注疏 春秋左氏伝 春秋左氏伝注疏 春秋穀梁伝 春秋穀梁伝注疏 論語 論語注疏 孝経 孝経注疏 孟子 孟子注疏 爾雅 爾雅注疏

※この「五経」の解説は、「儒教」の解説の一部です。
「五経」を含む「儒教」の記事については、「儒教」の概要を参照ください。

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