幼児 - 小中学生向け作品
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「少女向けアニメ」の記事における「幼児 - 小中学生向け作品」の解説
本ジャンルの発祥は『りぼん』及び『なかよし』の小中学生向け少女漫画雑誌に連載された少女漫画を原作とした『魔法使いサリー』(第1作・1966年)・『リボンの騎士』(1967年)・『ひみつのアッコちゃん』(第1作・1968年)の3作である。東映・東映動画製作の『魔法使いサリー』及び『ひみつのアッコちゃん』は東映魔女っ子アニメシリーズの端緒となる作品であった。 1970年代になると低年齢層と高年齢層向けに作品の傾向が分かれ始めるようになり、低年齢層向けにおいては東映魔女っ子アニメシリーズの続編となる『魔法のマコちゃん』で原作が存在しない「アニメオリジナル作品」が登場し台頭していったが、後半時期には男児層の「変身ブーム」の衰退を端緒にキャラクター物の人気に陰りが見えていた。そんな中で1976年に現在に通ずる「少女漫画原作アニメ」の原点となった『キャンディ・キャンディ』が誕生、女児向け玩具のビジネスモデルを築き上げ、以後の本ジャンルの商品展開に大きな影響を与えた。 1981年に『おはよう!スパンク』(1981年)がアニメ化され、『キャンディ・キャンディ』に続き原作物で商品展開を成功させヒットした。また、折からのアニメブームの勢いで『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(1982年)、『魔法の天使クリィミーマミ』(1983年)、『とんがり帽子のメモル』(1984年)などの「アニメオリジナル作品」が再び台頭し、立て続けにヒットした。 1980年代後半になると、『とんがり帽子のメモル』は時間帯移動の憂き目にあい、同枠の数年後の『新メイプルタウン物語 パームタウン編』は放映途中から少年向けアニメの『ビックリマン』と抱き合わせたコンプレックス枠になって『ビックリマン』に主力を譲り、また、ぴえろ魔法少女シリーズは『魔法の天使クリィミーマミ』の成功によってシリーズ化されたものの、最終作の『魔法のアイドルパステルユーミ』では放映期間の打ち切りが生じ、1980年代前半からのアニメブームはこの時期より衰退して 冬の時代に入った。1980年代末期にはアニメブームと正反対の流れとして赤塚不二夫・藤子不二雄原作アニメなど1960年代にヒットした作品のリメイクが多くなり、女児向けでも『ひみつのアッコちゃん』(第2作・1988年 - 1989年)『魔法使いサリー』(第2作・1989 - 1991年)が復活するが、どちらも原作および1960年代に放映されたアニメ版第1作から大幅にリニューアルされ、「アニメオリジナル作品」と同然であった。 1990年代に入るとアニメブームが再燃し、本ジャンルでも『ちびまる子ちゃん』(1990年 - 1992年、1995年 - )、『きんぎょ注意報!』(1991年 - 1992年)、『美少女戦士セーラームーン』シリーズ(1992年 - 1997年・以下『セーラームーン』)の大ヒットで10年ぶりに「少女漫画原作アニメ」が息を吹き返した。特に『ちびまる子ちゃん』は国民的アニメとなり、『セーラームーン』は国内外を問わず幅広い年齢層に支持され、玩具も爆発的にヒットした。そして、この3作品の成功を元に1993年頃から『姫ちゃんのリボン』(1992 - 1993年)、『赤ずきんチャチャ』(1994 - 1995年)、『ママレード・ボーイ』(1994 - 1995年)などを筆頭に多様な作品が続々とアニメ化され、本数が激増した。このうち『ママレード・ボーイ』は高校生以上の女性にも人気が高く、今までアニメ化が行われることが少なかった後述の10代以上向けの作品のアニメ化を促すきっかけを作った。 1990年代中盤になると少女向けアニメの様相が一変した一方で、小中学生を対象とした作品の総数が増えたことにより競争が激化し、商業的に不振に陥った作品も多くなった。特にバトルヒロイン系は元祖格の『セーラームーン』が大ヒットとなった影響で、『愛と勇気のピッグガール とんでぶーりん』(1994年 - 1995年)、『魔法騎士レイアース』(1994 - 1995年)、『愛天使伝説ウェディングピーチ』(1995 - 1996年)、『ナースエンジェルりりかSOS』(1995 - 1996年)、『怪盗セイントテール』(1995 - 1996年)といった類似した作品がほぼ同時期にアニメ化され、更には『赤ずきんチャチャ』もバトルヒロイン物に一部手直しされ乱立状態に至った。1996年秋頃には『セーラームーン』の最終シリーズに当たる『美少女戦士セーラームーン セーラースターズ』(1996年 - 1997年)の人気が低下していたこともあり、流れは収束するが、新たに玩具商品がヒットした作品がバトルヒロイン物ではなく、ラブコメディ物の『こどものおもちゃ』(1996 - 1998年)ぐらいしかないという状況となった。またこの時期には、『あずきちゃん』(1995年 - 1998年)、『水色時代』(1996年 - 1997年)のように小中学生以下向けの作品であるのに関わらず、玩具商品の展開はほとんど行わなかった作品も登場し(詳細は下記参照)、『ちびまる子ちゃん』も完全にファミリー向けアニメへと変容して玩具商品がほとんど発売されなくなっていった。 1997年には『セーラームーン』の満5年間続いた放映が終了し、後継はアニメオリジナルの『キューティーハニーF』(1997 - 1998年)及び、児童小説が原作の『夢のクレヨン王国』(1997 - 1999年)となった。1998年には『こどものおもちゃ』も終了し、後番組は男性向けアニメの『カウボーイビバップ』となり、『姫ちゃんのリボン』から5年半続いた『りぼん』アニメの流れが終息した。『セーラームーン』の後継としてヒットが期待されていた『キューティーハニーF』や『神風怪盗ジャンヌ』(1999 - 2000年)は視聴率や商業面で不振に終わり、『カードキャプターさくら』(パイロット版:1997年、放送:1998年 - 2000年)は原作やアニメが小中学生はもちろんアニメファンにも大ヒットし2度も映画化されものの、一方で未就学女児など低年齢層への訴求はいまひとつで、玩具はヒットに至らなかった。そのため全体的な人気面では未就学児童・小学校低・中学年を対象とした『夢のクレヨン王国』とその後継で玩具メーカーや広告代理店ら主導で企画し、少女漫画を由来としない「アニメオリジナル作品」の『おジャ魔女どれみ』シリーズ(1999 - 2004年)、幼年漫画が原作の『とっとこハム太郎』(2000年 - 2008年・2011年 - 2013年)、そして小学校中・高学年の女児にも人気が拡大し始めていた一部の10代以上向けの作品などに人気が押されており、『セーラームーン』や『ママレード・ボーイ』などが市場を牽引していた1990年代前半と打って変わって『なかよし』・『りぼん』原作アニメの影響力が小さくなっていき、2誌の部数の縮小が始まった。 2002年には公立の小中学校が完全週休2日制になったことを睨み、テレビ東京系において『満月をさがして』(2002 - 2003年)、『東京ミュウミュウ』(2002 - 2003年)、『わがまま☆フェアリー ミルモでポン!』シリーズ(2002 - 2005年・以下『ミルモでポン!』)と、広告代理店・出版社・スポンサー企業において競合関係となる3作を土曜朝に並べて放映するという試みが行われ、最も後座の『ミルモでポン!』が高視聴率となって放送期間が延長され、2003年秋から2005年秋のシリーズ終了まではゴールデンタイムに昇格して放映された。この結果、この時期の『なかよし』・『りぼん』の部数低下が止まらない中で『ちゃお』の部数は『ミルモでポン!』効果で伸び、2002年に両誌を抜いて少女漫画誌で首位となった。 2004年には「アニメオリジナル作品」の『ふたりはプリキュア・ふたりはプリキュア Max Heart』(2004年 - 2006年)が視聴率面・商業面とも大ヒットする。さらに第4・5シリーズ(プリキュアとしては3代目)の『Yes!プリキュア5・Yes!プリキュア5GoGo!』(2007年 - 2009年)及び第7シリーズ(同5代目)の『ハートキャッチプリキュア!』(2010年 - 2011年)の大成功によって『プリキュアシリーズ』(2004年 - )へと昇華し、「女児向けアニメ」全体を見ても2021年12月現在も続く史上最長のシリーズ作品となり、「アニメオリジナル作品」が少女漫画原作アニメに代わって「女児向けアニメ」の主役に取って代わられるきっかけとなった。一方で『ちゃお』原作の『きらりん☆レボリューション』シリーズ(2006 - 2009年)も当時モーニング娘。に所属していた久住小春とタイアップした音楽CDやカードゲームなどが大ヒットし一大ブームとなり、従来のヒット作よりも若干低年齢層となる小学校低学年を中心に売れた。また、『しゅごキャラ!』シリーズ(2007 - 2010年)は初期に展開されていた玩具商品こそ不振で1年目限りで姿を消したものの、Buono!を起用した主題歌CDの売上が堅調で長期にわたってアニメ化された。また、これらの作品に交じる形で2000年から2003年にかけて『セーラームーン』シリーズ、2004年と2006年に『カードキャプターさくら』が共に全国ネットで再放映され、玩具商品が再発売された。2000年代の幼児・小中学生向け作品群の特徴として、『セーラームーン』を除き1-2年ごとに新作に入れ替えていた1990年代までと打って変わって、アニメ化する本数を絞る代わりに同一の作品を2年以上引き伸ばして継続する商業展開が多く見られ、人気が低迷するまで原作をアニメにあわせて展開する状況になっていた。また、これらの作品の多くは幼児から小学校中学年までの低年齢層が主な対象年齢となり、後述の10代以上向けの作品とは方向性および年齡層が完全に分かれ、小学校高学年以上の視聴者が減少した。その波を受けて『ちびまる子ちゃん』を除き、『おジャ魔女どれみシリーズ』や『プリキュアシリーズ』などの「アニメオリジナル作品」と同様に「女児向けアニメ」として括られることが多くなった。 2010年代以降は『しゅごキャラ!』シリーズ及び、2009年4月に登場した『極上!!めちゃモテ委員長』(2009年 - 2011年)や同年10月に登場した『夢色パティシエール』シリーズ(2009年 - 2010年)など当時の『なかよし』『りぼん』『ちゃお』を代表するアニメが、商業面で『プリキュアシリーズ』や『サンリオキャラクターテレビシリーズ』などの「アニメオリジナル作品」との競争に敗退したことがより鮮明となり、2011年以降はそれらに加えて『プリティーシリーズ』(2011年 - )や『アイカツ!シリーズ』(2012年 - 2020年・2021年 - )もヒットして「女児向けアニメ」は「アニメオリジナル作品」が完全に主流となった。その結果、2000年代以前と比べて少女漫画を原作とした作品がアニメ化される機会が大幅に少なくなり、2011年3月の『極上!!めちゃモテ委員長』の終了から『12歳。〜ちっちゃなムネのトキメキ〜』(2016年)開始の同年4月までの約5年間と、2018年10月の『若おかみは小学生!』(2018年)の終了から2021年7月現在に至るまでは小中学生向け少女漫画を原作としたアニメのうち、地上波にて全日帯の単独枠で本放送された作品が1990年代から続く『ちびまる子ちゃん』のみとなり、単独枠での新作アニメが放映されない状況に陥っている。その煽りを受けた『なかよし』・『りぼん』・『ちゃお』の各誌も、本誌やコミックスの売上部数や発行部数が激減している。
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