幼児の視点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 02:49 UTC 版)
作者は、見た物をそのまま受け入れる幼児の視点によって、大人が目を向けない矛盾や不合理を浮き彫りにすることができると語っている。独裁者への個人崇拝や過激な政策も、幼児にとっては当たり前にそこにある物である。「子供は判断を下さないし、親は偉いものだと思ってる」「[幼児の視点で見ると]リビアでは … どこにでもカダフィがいた。いろんな制服を着て、ものすごくかっこよかった。ロックスターみたいだった」 作者は現在でも幼児期の体験を鮮明なイメージとして思い起こせると述べている。記憶は視覚や聴覚、嗅覚と結びついており、それが作品に反映されている。幼いサトゥフは周囲の人間を、香水やお香、汗や傷んだ食べ物のような特徴的な匂いで認識する。インタビューでは「僕が好きな匂いをさせる人たちは、たいてい僕にいちばん優しい人たちだった。今でもそうだ」と語っている。父とともに食べたクワの実の味や、朝早くに聞いた祈祷の声も生き生きと描写されている。 制作にあたっては、歴史の調査は行わずもっぱら記憶に頼ったという。作中で歴史的・社会的背景が説明されることはほとんどない。あるインタビューでは幼児期に聞いた言葉の意味までは覚えていないと言っており、作中の会話の多くは執筆時に再構成されたものである。作中における幼い主人公の経験が現在の作者の視点を強く反映している可能性は数人の評者によって指摘されている。作者は「不正確な部分があってもかまいません。自分のために描きたかったのです」と語っている。
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