幼児に対する牛乳の代替
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 22:07 UTC 版)
「牛乳アレルギー」の記事における「幼児に対する牛乳の代替」の解説
母乳が最善である。牛乳タンパク質は母乳を介して摂取されるので、アレルギーの乳児の母親は授乳を行う場合、乳製品全般を食べてはいけない。日本では法規制のため、代替乳に必要な栄養素を添加できずカルニチン、セレン、ヨウ素の欠乏症に注意が必要となる。 母乳以外の代替品では乳児の認知機能の発達に重要なω-3脂肪酸といった不飽和脂肪酸が不足しており、ビタミン、ミネラル、タンパク質の構成も違うため脳の発達やアレルギーのような免疫機能に影響が出ることが考えられる。母親と乳児のための利点を再現することはできない。代替品には牛乳タンパク質を加水分解した配合乳の低アレルギー性食品、大豆製品や米製品、重症の場合には遊離アミノ酸ベースの製品が含まれる。加水分解とは、タンパク質を酵素によって小さなペプチドにまで分解するということである。加水分解された配合乳は、一部の加水分解から大部分の加水分解までである。 高度加水分解乳(EHF, extensively hydrolyzed formula)は、牛乳タンパク質の大部分が加水分解されたものである。遊離アミノ酸と短鎖ペプチドに分解されている。部分分解乳(PHF, partially hydrolyzed formula)は、部分的に加水分解されたもので、長鎖ペプチドのタンパク質が特徴的で口当たりが良い。しかし、このような製品は口当たりを考慮して作られたのであって、牛乳アレルギーの罹患者にむけた製品ではない。 豆乳ベースの牛乳代替品では、牛乳アレルギーの乳児の約10-15%は、大豆に対してもアレルギーを持つ可能性がある。また6ヶ月以下の幼児には豆乳ベースの代替品は推奨されていない。この場合でも、アレルギーを持つ乳児のための米乳やエンバクなどの代替品は飲むことができる。 世界アレルギー機構による新たな牛乳アレルギーのガイドラインのための2016年の調査では、牛乳アレルギーの期間が加水分解乳の使用で40か月前後のところを、大豆や米に由来する配合乳を使った場合には24か月前後と短かかったといった証拠も現れてきている。 大豆による代替品の忍容性は良好で製造者による栄養的な改良も加えられ、イソフラボンの影響を裏付ける証拠もなく、遺伝子組み換えダイズの影響では証拠はないが使用は躊躇されている。米の加水分解配合乳による証拠も蓄積されており、アレルギーの子供の1%未満しかアレルギーを示さず、乳糖も植物性エストロゲンも含まず安全な選択肢となってきた。
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