10代以上向け作品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 07:39 UTC 版)
「少女向けアニメ」の記事における「10代以上向け作品」の解説
1970年の『おくさまは18歳』などスポ根衰退の影響で小学校高学年~高校生に相当する10代少女向けのドラマが製作される中、アニメにおいても1971年に『さすらいの太陽』、翌1972年には『モンシェリCoCo』が製作され、特に前者は日本初の芸能界を舞台にしたアニメとされ、後に頻出する歌手が主人公を演じるタイアップの嚆矢となっている。その後、1979年の『ベルサイユのばら』、『はいからさんが通る』(1978年)、『パタリロ!』(1982年)などの様に後世に名作と伝えられる作品をいくらか輩出している。ただ、これらの作品は玩具などの商業展開が確立されているとは言えず、辛うじて人形が販売されたり、音楽商品の商業展開に留まっていた。アニメブームの追い風の中、1983年には小学生以上の視聴層をメインターゲットとした作品としては初の映画化となる『パタリロ!』の劇場版が東映系で上映された。『ベルサイユのばら』も1987年に製作された総集編を元に音声を再録し、1990年に劇場公開されている。1985年頃までこの路線の作品のアニメ化が続いたが、それ以降の10年間はまばらな状態となる。 だが、1990年代後半から小学校中学年以下を対象に含めた作品群が不振となる一方で、本ジャンルの本数が再び多くなり始める。1992年の『セーラームーン』及び1994年の『ママレード・ボーイ』の大ヒットに触発され、テレビ東京系において『ふしぎ遊戯』(1995年 - 1996年)がアニメ化されてヒット、続編がOVA化されるなどの長期シリーズとなった。翌年以降も『赤ちゃんと僕』(1996年 - 1997年)、『花より男子』(1996年 - 1997年)、『CLAMP学園探偵団』(1997年)など小学中、高学年以上の年齢層を中心とした作品や、『少女革命ウテナ』(1997年)など女性に加え青年男性もメインターゲットにした作品が続々登場し、10代をターゲットにしたアニメが復権、少女漫画原作アニメの年齢層が一気に高まった。 1998年春には『LEGEND OF BASARA』が独立局ながらも少女漫画原作アニメでは初めて深夜帯に放映された。同年秋の『彼氏彼女の事情』(1998 - 1999年)でもテレビ東京や同系列の5局では全日帯で放送されつつも系列外の多くの地方局では深夜に放映され、翌1999年の『KAIKANフレーズ』(1999 - 2000年)の後半に制作された分はキー局のテレビ東京系6局でも深夜に放映された。しかし、2000年から2004年頃までは中高生以上向け漫画を原作にした作品でも『フルーツバスケット』(初代:2001年)や『学園アリス』(2004 - 2005年)など低年齢層を狙って全日帯に放映されるケースが多く、さらに『しあわせソウのオコジョさん』(2001 - 2002年)のように小学生以下の女児やファミリーでの需要を意識し内容面や絵柄など低年齢層向けに支持されやすいよう演出・改変された作品もあった。その中で2004年に『マリア様がみてる』シリーズ(2004年・2006 - 2007年・2009年) が久々に深夜帯に放映された。 2005年より、フジテレビにおいて主にF1層を意識した展開を図るアニメ枠「ノイタミナ」(2005年 - 放送中)が新設されると、ターゲットも今まで中学生前後の少女が主体だったのが、従来はアニメを見る機会が少ないとされていた高校生・大学生・成人の女性が中心となり、内容も深夜帯ということで描写の制限が緩くなるためか、原作に忠実な作品が多くなり始める。また、2006年には日本テレビの『animo』枠及び、AT-Xの「アニメ女子部」といった「ノイタミナ」と同様の層を意識したアニメ放映枠が設けられた(ただし、「animo」は『NANA』(2006年)一作限りで消滅した)。こういった情勢から『ハチミツとクローバー』シリーズ(2005・2006年)、『NANA』、『ラブ★コン』(2007年)、『のだめカンタービレ』シリーズ(2007・2008・2010年)、『夏目友人帳』シリーズ(2008・2009・2011・2012年)、『君に届け』(2009 - 2010年)、『ちはやふる』(2011年 - 2012年)といったヒット作が次々と生まれ、特に『のだめカンタービレ』に至ってはファン層を小学校低中学年の女子にまで広めた商品展開が行われ、『夏目友人帳』シリーズも元々深夜アニメながら再放送では全日帯に移るほどの人気となった。 2010年代前半は前述の幼児・小中学生向け作品が減少しても、これらの主に10代以上の女性をターゲットとした作品群は比較的好調であり、2013年度を除いて新作アニメがリリースされており、2015年は『俺物語!!』が深夜帯としては高い視聴率(3.4%)を記録していた。しかし2010年代の後半にあたる2016年以降は10代以上向けの作品群でも少女漫画原作アニメに関しては新規にアニメ化される作品数が減少する傾向にある。 一方で2010年代から、『美少女戦士セーラームーンCrystal』(2代目:2014・2015・2016・2021年)や、『フルーツバスケット』(2代目:2019・2020・2021年)がいずれも初代アニメよりも原作者の意向に沿い、かつての初代アニメの視聴者や原作の読者であった主に1980年代から1990年代生まれの層に向けたリメイクという形態で再アニメ化されている。また『おジャ魔女どれみ』の20周年を記念したスピンオフの『魔女見習いをさがして』がかつてのアニメの視聴者であった1990年代生まれの層に向けて2020年に映画化されている。 小中学生向け少女漫画雑誌『なかよし』や『りぼん』で掲載された一部作品でも10代以上もターゲットと見据えて深夜帯やインターネット上でアニメ化され放送されたものもある。『なかよし』掲載の作品にはそれが多く、原作をアニメ化した作品では『さばげぶっ!』(2014年)・『美少女戦士セーラームーンCrystal』・『カードキャプターさくら クリアカード編』、アニメを漫画化した作品では『地獄少女』(2005 - 2006・2006 - 2007・2008 - 2009年)がある。また原作小説を漫画化した後にアニメ化され、一部がアニメと並行して「なかよしKC」でコミックス化された作品では『ゴーストハント』(2006 - 2008年)が該当する。『りぼん』では原作漫画が深夜帯にアニメ化されたケースはないが、『あにゃまる探偵キルミンずぅ』(2009年 - 2010年) が漫画化されている。なお『ちゃお』では原作漫画が深夜帯にアニメ化されたり、深夜アニメを漫画化したケースのいずれもない。
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