各クラブの動向
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「Jリーグクラブライセンス制度」の記事における「各クラブの動向」の解説
これらの事前報道、並びに制度の導入スケジュールを踏まえ、Jリーグ所属の各クラブでは特に2011年シーズン終了後からライセンス条件を満たすための基盤整備(設備面の強化、財務体質の改善など)を加速させた。 設備面(ホームスタジアム,練習場)の強化・見直し 柏 - 2011年シーズンオフに日立柏サッカー場の西側ゴール裏スタンドを増築し、既存座席も改修することで、立見席込みの15,900人収容からJ1ライセンス基準を満たす15,349人収容(座席数のみ)を確保する改修工事を実施。 C大阪 - 長居球技場(キンチョウスタジアム)のACL開催基準充足に向けて、大阪サッカークラブ(C大阪の運営会社)が大阪市の承認を経て2011年から2014年にアウェーゴール裏の座席化、ホームゴール裏席立ち見席及びバックスタンド座席の増築、トイレの拡充などの改修工事を実施。 北九州 - 北九州市立本城陸上競技場が収容人員等でJ1基準を満たしていないため、2012年シーズンでJ1昇格プレーオフ圏内となる6位以内となった場合に、本城陸上競技場に仮設スタンドを建てて暫定的に収容人員条件を満たした上で、北九州市が小倉北区に計画を進めている北九州スタジアム(ミクニワールドスタジアム北九州)の具体的計画と合わせて特認を求める意向を表明。ただし、Jリーグはこれに否定的な見解を示している。(最終的に、新スタジアム完成が2017年2月の予定となることを受け、2017年度(2016年のライセンス審査)にて初めてJ1ライセンスが交付された。後述) 札幌 - 2012年シーズンのホームゲームを札幌ドームおよび札幌厚別公園競技場に集約した。これまでホームゲームを行ってきた室蘭市入江運動公園陸上競技場と函館市千代台公園陸上競技場がJ1のスタジアム基準を満たさないためと報じられている。また、厚別もJリーグライセンスの基準を満たさない要件があることから、厚別での開催を減らし、札幌ドームに集約させる傾向にあるという(実際、2014年度の日程表には「厚別はJリーグの基準を満たしていないため、特例での開催である」ことをホームページに記載していた。その後2015年度から厚別の本拠地登録は抹消され、同クラブに課されていた制裁は解除されているが、地方開催と同じ扱いで年数試合の開催は継続されている)。 磐田 - 2012年シーズン終了後から2013年夏にかけてヤマハスタジアムの南側ゴール裏スタンドを増築し、既存座席の大半を椅子席に改めることで15,165人に収容人数を確保。 岡山 - これまで3箇所の練習場を転々としており、J1ライセンスのA基準とされた「クラブが年間を通じて使用できる天然芝もしくは人工芝のピッチ1面」と「クラブハウスの設置」が存在しなかったことから、岡山市が同市東区に天然芝2面・人工芝1面のグラウンドとクラブハウスを備えたサッカー場を整備し、2013年から政田サッカー場を専用練習場としている。 群馬 - 群馬県立敷島公園県営陸上競技場(正田醤油スタジアム群馬)を2012年から2014年春にかけて改修。メインスタンドの個別席化やサイドスタンド芝生席の立ち見席化により収容人員を15,700人に拡張、あわせて大型映像装置の更新やトイレの増設によりJ1基準を充足。また、J1ライセンスのA基準とされた「クラブが年間を通じて使用できる天然芝もしくは人工芝のピッチ1面」と「クラブハウスの設置」が充足しなかったことから、前橋市が2017年に前橋市下増田運動場にクラブハウスを新設し、クラブに優先利用させる契約を結んでいる。 鳥栖 - 鳥栖スタジアム(ベストアメニティスタジアム)について、2013年度から3年計画でトイレの増設や照明装置・大型映像装置の更新、芝の張り替えなどの改修工事を実施。また、鳥栖市の支援により市有の北部グラウンドを天然芝のピッチを増やして専用練習場とし、2013年にミーティングルームなどを備えたクラブハウスを整備。 水戸 - 水戸市立競技場(ケーズデンキスタジアム水戸)が東日本大震災の影響により復旧作業を優先させたことからJ1基準への改修のめどが立たず、2009年度まで本拠地としていた笠松運動公園陸上競技場(那珂市、22,002人収容)への“復帰”を視野に入れて検討するとしていた が、2013年に水戸市は当初2018年完成を目処としていた日本陸連公認1種競技場資格取得に向けた改修を、陸連の資格更新時期に合わせて2016年までに繰り上げることにし、これに併せてJ1開催規格である15,000人以上収容の増築を行う計画とした。ただし、スタンド用地の取得が難航していることから、結果的に日本陸連資格取得のための改修を優先した上で、当面J1ライセンス取得に向けては笠松運動公園陸上競技場をホームとして申請した上で、2024年度を目処にケーズデンキスタジアム水戸のサイドスタンド(芝生席)を立ち見席に改修することで15000人収容を確保する方針を示している。 京都 - 建設構想中の京都スタジアム(亀岡市)への本拠地移転計画とは別に、現ホームスタジアムの京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場において大型映像装置の設置(更新)やトイレ、スタンド屋根、照明装置などの改修更新を2015年度から3か年計画で実施予定(電光板の改修は2015年に実施)。 清水 - 静岡市清水日本平運動公園球技場(IAIスタジアム日本平)が屋根がメインスタンド中央部とバックスタンドの一部のみ、トイレの数が不足しているなどライセンス基準を一部満たしていない ことを踏まえ、静岡市に対してIAIスタジアム日本平とは別にライセンス適合の新スタジアムを建設するよう要望している。 栃木 - 栃木県グリーンスタジアムが屋根のカバー率と洋便器の数が不足しているなどライセンス基準を一部満たしていないものの、クラブライセンス導入前の2009年から2012年にかけて総工費15億5500万円で改修工事を実施済みであったことから、栃木県の「総合スポーツゾーン構想」において東武鉄道西川田駅周辺(宇都宮競馬場跡地など)で建設を計画しているされる陸上競技場への本拠地移転を視野に入れた検討を行っている。 甲府 - これまで15箇所の練習場を転々としており、A基準とされた「クラブが年間を通じて使用できる天然芝もしくは人工芝のピッチ1面」を満たさない恐れがあることから2010年に山梨大学と連携で山梨大学医学部グラウンドを整備 し、同時に練習場を7箇所まで減らしたことで基準をクリアした。さらに「クラブハウスの設置」が2015年よりJ1クラブライセンスのA基準になることから韮崎市と連携で2013年に韮崎中央公園芝生広場をにクラブハウスを整備 するなどし、条件に対応している(ヴァンフォーレ甲府の練習場も参照)。さらに小瀬スポーツ公園陸上競技場(山梨中銀スタジアム)のライセンス充足不足に対応するため、ライセンスに対応した総合球技場の建設を陳情している。 山口 - J1ライセンスのA基準とされた「クラブが年間を通じて使用できる天然芝もしくは人工芝のピッチ1面」と「クラブハウスの設置」が存在しなかったことから、2017年から山口県立おのだサッカー交流公園の天然芝グラウンドを優先練習場とすると共に、同公園内に山陽小野田市がクラブハウスを建設する。また、ホームスタジアムの維新百年記念公園陸上競技場に一部ライセンス基準を満たさない項目があることから、2015年から2017年にかけて「芝生の常緑化」「常設記者席の設置」「客席数の増加」を実施している。 秋田 - ホームスタジアムである秋田市八橋運動公園球技場(あきぎんスタジアム)がJ2ライセンス基準を満たせないことから、隣接する秋田市八橋運動公園陸上競技場(ソユースタジアム)に照明・大型映像装置・ドーピング検査室等を新設してJ2基準を充足させた上で、将来的な新スタジアム建設の検討を始めている(ブラウブリッツ秋田#新スタジアムの検討参照)。 讃岐 - 数箇所の練習場を転々としており、J1ライセンスのA基準とされた「クラブが年間を通じて使用できる天然芝もしくは人工芝のピッチ1面」と「クラブハウスの設置」が存在しないことから、三豊市が2021年から2年間で宝山湖公園芝生広場を改修したうえで、天然芝2面・人工芝1面のピッチとクラブハウスを整備し、2023年秋から宝山湖公園を正式な練習拠点とする予定(カマタマーレ讃岐#練習場参照)。 財務体質の改善 広島 - 20億円を超える累積債務を解消するため、資本金21億円を99%取り崩した上で債務償還に充て、新たに第三者割当増資により2億円増資する措置を実施。 水戸 - ホームタウンの水戸市から新たに500万円の出資を受け、資本金増強に充てることを表明。 松本 - ホームタウンの松本市がクラブからの要望により出資金の倍増を行う とともに、隣接する塩尻市・東筑摩郡山形村・安曇野市 もクラブからの要望に応えて新たに出資金を拠出し、2市1村を新たにホームタウンに加えている。 岐阜 - 過去5期中4期が赤字決算で債務超過額が増大していること、2012シーズンも資金繰りが厳しいことを踏まえ、クラブライセンス制度を見据えて、Jリーグより『予算管理団体』の指定を受けたことを発表した。Jリーグからの融資は受けないものの、Jリーグから経営改善指導を受け、財務改善を目指すとしている。その後、岐阜出身でJトラスト社長の藤澤信義がクラブ支援に乗り出し、2013年に藤澤が岐阜の第三者割当増資を引き受けたことで債務超過を解消。 鳥栖 - 勝利給の増加等に伴い2014年2月期決算で2億0736万円の債務超過に陥ったことから、同年7月に3億5000万円の増資(既存株主への均等割当)を実施して債務超過を解消。 横浜FM - 2013年度末時点で6億7700万円の債務超過に陥っていたことを踏まえ、親会社である日産自動車からの広告宣伝費名義での拠出を含めた10億円の特別利益を計上した 上で、日産自動車がマンチェスター・シティFC(プレミアリーグ)の持株会社であるシティ・フットボール・グループ (CFG) と「グローバルサッカーパートナーシップ」を締結 し、CFGがF・マリノスの少数株主となることでチーム作りや経営基盤の強化を目指すとしている。 福岡 - 2013年10月に経営危機が報道で発覚。当初の2013年度予算は営業収入約9億6000万円で組んでいたが、9月末で実際には1億4000万円少ない8億2000万円にとどまった。運営法人はJリーグ基金による融資を利用し、勝ち点の減点を覚悟していたとしている。2014年は単年度黒字は計上できる見込みだが、債務超過のめどが立たず、2015年度のライセンス発行ができない恐れがあったが、第3者割当増資によりシステムソフトから1億円の出資を受けることになった。 これらの一方で、2011年シーズンオフにはオズワルド・オリヴェイラ(鹿島アントラーズ)、西野朗(ガンバ大阪)、レヴィー・クルピ(セレッソ大阪)、ミハイロ・ペトロヴィッチ(サンフレッチェ広島)といった、クラブで長期にわたって実績を積んだ監督の退任が相次いでいるが、これについてもクラブライセンス制度を見据えた人件費削減の一環ではないかとの報道もある。 また、鳥取は2015年1月期の最終決算で約9500万円の赤字となった上で純資産が1700万円の債務超過状態であることを公表し、6月の申請時までに債務超過を解消するめどが立たないとして2016年度のJ2ライセンス申請を見送ることを発表した。2015年度決算でも債務超過ないしは3期連続赤字となった場合にはJ3ライセンス喪失の可能性もあるが、これについては2015年4月28日制定の「J3リーグクラブライセンス交付規則」(後述)により一定の“救済措置”がとられることになる。
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