主人公および作品を通しての中心人物
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「沈黙の艦隊」の記事における「主人公および作品を通しての中心人物」の解説
声優は、OVA版 / ラジオドラマ版の順 海江田四郎 声 - 津嘉山正種 / 風間杜夫 本作の主人公。 海上自衛隊のディーゼル潜水艦 「やまなみ」艦長。初登場時の階級は二等海佐だが、「やまなみ」沈没事故の偽装工作により殉職とされ二階級特進、海上自衛隊での最終的な階級は海将補となる。 秘密裏に日本初の原子力潜水艦「シーバット」艦長に任命されるが、処女航海で突如米原潜部隊に対し音響魚雷を放ち逃亡。その後、米第7艦隊の前に浮上し戦闘国家「やまと」の独立を宣言し自らの思想の表明と実現のために「やまと」を駆使する。 「海自始まって以来の英才」と呼ばれ、リムパック演習で米空母「カールヴィンソン」を5回沈めた実績を持ち、その操艦能力は米海軍に「慎重」と評された。おおむね冷静沈着だが、必要に応じて大胆な策をとる事もある。また、軍事のみならず政治、国際情勢についても深い理解と読みの鋭さを持つ。 非常に高いカリスマ性によって全乗員を統率し、既存の戦略技術に捕らわれない超人的な操艦能力で次々と米露の攻撃を打ち破る。その操艦能力から、敵対する海軍に「海の悪魔」「モビーディック(白鯨)」などと呼ばれ恐れられた。 クラシック音楽を好み、なかでもモーツァルトの曲を流すシーンが多く出てくる。ちなみに、作中で最初に聴いていた曲は「交響曲第41番 (モーツァルト) 」。(特番では、最初に聴いていたのは、同じくモーツァルトの交響曲40番)ニューヨーク沖海戦時には、ストラビンスキーの「春の祭典」を流した。 ニューヨーク上陸の際には同行しようとする深町に対し「自分のいない『やまと』には深町の全てが必要」とやまとを託して国連に向かう。その後、国連総会での演説中に狙撃され脳死状態に陥るが心肺停止には至らず、その心音は世界に発信された。 妻と1人の子供がおり、母は鎌倉在住。亡き父・海江田巌海将(VOYAGE239「原潜たる意味」では海将補となっている)は「海上自衛隊の立役者」と言われている。 自衛隊出身の日本人であるが、「シーバット」は米海軍所属の艦なので、海上自衛隊の制服の上に米海軍のキャップをかぶっている。 深町洋 声 - 大塚明夫 / 原康義 海上自衛隊のディーゼル潜水艦「たつなみ」艦長。階級は二等海佐。昇進に値する能力を持っているが、粗暴な言動が妨げになっている。 海江田とは防衛大学校の同期であり良き競争相手で、後に海江田が「自分に対抗しえる能力を持っている」「自分の予想を裏切ることがある」と認めた唯一の人物。海江田の思考をある程度予測できるらしく、「やまなみ」沈没事故時の海江田の行動に疑問を抱き、組織に内緒で真相究明のため独自に調査を進める。海江田と対峙する事も多かったが、最後には「あいつは友達」と発言した。 操艦技術も確かで、海江田と並びリムパック演習で米空母「カールヴィンソン」を5回撃沈した実績を持つ。その操艦は米海軍に「大胆」と評され「シーバット」艦長候補として海江田と共にその名が上がったことは、作中でディーゼル潜水艦「たつなみ」の潜行能力や潜行時間の制約を省みない運用による危険な状況を演出する上での伏線となっている。海江田とは正反対の性格ながら、乗組員に対するカリスマは負けず劣らず絶大なものを持っている。 作中で東京湾での「やまと」護衛時に海自潜水艦初の実戦をおこない、圧倒的な艦の性能の劣勢を感じさせず(東京湾の平均水深は30mで、原潜の性能が最大限発揮できなかったことも大きい)米海軍ロス級原潜5隻中3隻(ハート・フォード、サンタフェなど)を戦闘不能に陥れた(うち2隻は雷撃による撃沈)。 作中、立場(肩書き)を変えて複数回「やまと」に乗艦した唯一の人物。 竹上登志雄 声 - 阪脩 / 宮川洋一 日本国内閣総理大臣。名前のモデルは竹下登。 初登場時は日本民自党所属。「やまと」事件発生当初は「外交オンチ」「本命までの中継ぎ政権」「ボケガミ」などと国内外で酷評されていたが、幹事長の海渡からは密かに首相まで上り詰めたこと自体を認められていた。事態が深刻になる中で覚悟を決め、次々と重要な決断を下し、国論を二分しつつも首相としてふさわしい力を備えた政治家として成長する。大蔵大臣時代に米国代表と通訳なしで英国英語で会談していたことがある。 反対論が強い中で「やまと」と友好条約を結び、「やまと」に浮きドック「サザンクロス」を提供したり、国連決議で「やまと」独立が承認されるまでの間、陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊及び原潜「やまと」の指揮権を国連に委ねるといった大胆な外交策をとる。しかし、それがもとで与野党から批判を受け、総理権限により衆議院を解散して総選挙を行う。その際に日本民自党を離れて自らを党首とする新民自党を結成。総選挙後の首相指名選挙において再選された。 ニコラス・J・ベネット 声 - 上田敏也 / 勝部演之 アメリカ合衆国第43代大統領。作者曰く、「もう一人の主人公」。 タカ派 (ただし、「シーバット」反乱事件発生前の大統領選挙時には、軍縮を唱えていたと見られるシーンも存在する)でギリシア人移民の子孫。「強いアメリカ」を体現する、アメリカの象徴的存在でもあり、「アメリカ大統領は当然、世界に君臨するキングだ」や「(アメリカは)50年後も最も責任のある国だ」という言葉を残す。 当初は「シーバット」の反乱で海江田を早く捕まえ、彼に協力しようとする日本に再占領計画をつきつけて事件の決着をつけたがっていたが、シーバット改め「やまと」を正面から撃沈することにこだわった結果、第3艦隊の壊滅や多くの原潜が撃沈及び大破し、大西洋艦隊の艦が多数戦闘不能になるなど、計22万トンの艦艇の損失や350名の死傷者を出してしまい、副大統領や議会から批判され弾劾も予定されていた。一方、「やまと」と第3艦隊との戦いに際しては「第3艦隊が(やまとが使用する)核で壊滅すれば、日本再占領は行いやすい」とも語っており、あえて損害を大きくすることでやまとや日本を悪者に見せるような戦略を採ったとも描写されている。 次第に海江田の行動分析に興味をもつようになり、物語が進むにつれて、自身の思いや考えと、大統領として下すべき結論に悩み葛藤する。国連総会では、ついに海江田と直接出会うことになる。海江田の影響を受け、「アメリカは国連の決定を尊重する」と世界に表明し、初めてアメリカ大統領として国連にイニシアチブを預けた。作者のかわぐちは作中で一番好きなキャラクターとして挙げている。
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