行動分析
行動分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/09 17:58 UTC 版)
パウルの選択行動を説明するものとして以下のような仮説が出されている。 国旗のデザイン 種としてのマダコは、行動研究や電気生理学的研究の結果、色相は識別できないものの、明度・サイズ・形状・傾きの区別は可能であることが明らかにされている。従って、パウルは国旗のデザインを識別できたと考えられる。さらに、マダコはおおむね横長の図形に興味を持つと考えられている。実際パウルが選んだ旗には水平の縞があった。 黒・赤・金の等間隔の水平ストライプからなる、くっきりしたトリコロールのドイツ国旗は、パウルが普段から好んでいたものだった。しかし広い黄色の帯を持つスペイン国旗、青と白からなるセルビア国旗はさらに鮮やかに映る。パウルがドイツを差し置いてそれらの国を選んだ理由は、それで説明できるかもしれない。2010年7月6日にパウルがスペイン国旗を選択した時、ドイツ国旗とスペイン国旗は似通っているから勘違いしたのではないか、だから今回の予言は外れてくれるのではないか、という指摘があった。 餌箱の匂い マダコは触手に感覚受容器を持ち、それで獲物を味わい、水の匂いを嗅ぐ。箱の微妙な匂いの違いがパウルの行動に影響した可能性はあり、実際匂いでパウルを訓練するのは簡単であったろうと考えられる。パウルの飼育係によると、パウルが選びやすいよう餌の容器には穴が開けられていた。 La Rochelle 水族館のディレクターである Pascal Coutant は「パウルの選択は全くの偶然に因るものだ」と述べている。 いずれにせよ統計学的視点に立つならば、パウルの予知能力を実証するためには、厳密に標準化されたテスト環境で、もっと多数回の試行を行なう必要があると考えられる。また、世界中で同様の予言ごっこをする動物がたくさんいたならば、そのうちの一部が的中を続けるのは確率論的に当然という指摘もある。 鹿児島大学名誉教授の川村軍蔵によると、タコは暗い色を好むので、ドイツ国旗を選択し続けた理由が説明できるが、比較的明るい色であるセルビアとスペインの国旗を選択した理由がつかないとして、同教授は明と暗の中にも好きな濃淡があるのではないかと考え実験を重ねた。その結果、タコが最も好む色は1番から順に、黒・赤・橙であることが分かり、論文に発表した。
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