集団精神療法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/27 05:32 UTC 版)
集団精神療法 | |
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治療法 | |
ICD-10-PCS | ICD10PCS |
ICD-9-CM | 94.44 |
MeSH | D011615 |
集団精神療法(しゅうだんせいしんりょうほう、英: Group Psychotherapy)は、精神療法の一つ。
1947年以前は精神医学領域においてジークムント・フロイトの精神分析療法が主導であった。日本では戦後になって盛んに行われるようになり、現在精神医学において重要な治療法の一つとなっている。
なお集団心理療法は、手法によって効果に差はないが、3分の1に対人関係のスタイルの改善など肯定的変化があり、8%には「重大な心理損傷」が起こったという研究結果がある[1]。手法がパワフルであるがゆえに、重度の害悪をもたらしうるため、実施するファシリテーターの質と倫理観が重要であり、結果の良し悪しはファシリテーターに左右される部分が大きい[1]。
方法
一般的に患者のグループと数人の治療者を加えて、言語的なコミュニケーションを行う。
- 構成
- 一般的に10~20人程度、少ない場合で数人程度で行い、全員で輪になって座り、参加者はいつでも席に着くのも席を立つのも自由とする。
- 時間
- 施設によって異なるが、一般的に約40分程度で、治療者は定時に開始して定時に終了する。
- 内容
- テーマを決めたり与えたりせずに、自由に話をさせる。必要に応じて治療者が介入していく。
- 回想
- 終了後、治療者並びにスタッフは検討して話し合う。一般にreview(レビュー)と言われている。
各国の現状
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日本
科学史家・精神病理学者の小俣和一郎によると、国民皆保険制度の下で、薬や注射などの現物には公定の報酬が支払われたものの精神療法のような目に見えない技術に対しては非常に低い報酬しか設定されなかった。このことが日本における精神医療の質の低下を招いたとしている[2]。
後に精神障害者患者会の設立のきっかけになったケースもある(「精神病」者グループごかい)[3]。
派生
集団精神療法からは、自己啓発セミナー、組織開発、コーチングなどが派生している[1]。こうした民間の実践は営利目的で資格もないため、集団心理療法を理解していなかったり倫理観に問題のあるファシリテーターもおり、問題も少なくない[1]。集団精神療法のTグループでは、民主主義や人権尊重、集団と個人の位置づけを組織にすることが倫理の基本となっていたが、金儲けを目的にテクニックを利用した者はそうした倫理を持っておらず、刑事事件になった例もある[1]。
脚注
- ^ a b c d e 中原淳・中村和彦 南山大学 人間関係研究センター 公開講演会「組織開発」再考 理論的系譜と実践現場のリアルから考える 人間関係研究(南山大学人間関係研究センター紀要)2016, 211‑273.
- ^ 精神医学の歴史 小俣和一郎 第三文明社 2005年 ISBN 9784476012521 p226
- ^ 精神障害者たちが自立へ団結、松山・味酒診療所の「ごかいコンツェルン」 毎日新聞 1981年2月18日
関連項目
外部リンク
集団精神療法
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「境界性パーソナリティ障害」の記事における「集団精神療法」の解説
いわゆるグループセラピーである。1905年にボストンの内科医プラットが、当時不治の病とされ、社会的にも偏見のあった肺結核の患者達と行い治癒が促進されたのが起源と言われている。グループセラピーでは、複数のクライエントとセラピストとが共同で行う。心理療法家などの権威者よりも仲間からのアドバイスのほうが容易に受け入れやすい、恐怖を感じにくいなどの良い側面があり、また複数の人間がかかわることで転移反応を軽減させるメリットもある。集団療法は行動パターンが硬直化しているクライエント、他者に反抗的、万能感の強いクライエントには向かない。 ルーマニアの精神医学者ヤコブ・モレノが創始したサイコドラマも集団精神療法の一種で、即興劇を主体とした心理劇である。参加者は即興で筋書きのないドラマを、自身の悩みをモチーフにして演じる。自発性、創造性を養え、また自分自身や他者を演じることで客観的な自己洞察を得ることが出来る。ある程度の治療意欲や知的水準を必要とするのは他のグループ療法と同じである。
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