呼出符号 呼出符号の概要

呼出符号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 19:02 UTC 版)

コールサインを一意な識別子として使用するのは、陸上の商用有線電信から始まったものである。全ての電信局をつなぐ電信線は1つしかなかったので、電報を送るときには、送信相手先を識別する方法が必要となった。送信時間の節約のために、2文字の識別子が採用された。この方式は無線電信においても採用された。電信会社は当初、海岸に設置した地上局と船に設置した海上局のそれぞれに2文字の識別子を割り当てた。これでは世界的に一意にならないため、後に1文字の企業識別子(例えばマルコーニ社は「M」)が追加された。複数の国の複数の企業が運営する無線局を迅速に識別する必要性から、1912年までに、国際基準が必要となった。これが今日ITUプレフィックスとして知られているもので、ITUプレフィックスが国ごとに割り当てられ、各国は割り当てられたITUプレフィックスの範囲で、国内で一意に割り当てる仕組みとなった[1]

国際呼出符字列の分配

無線通信規則により、国際公衆通信を行う無線局やアマチュア局など一定の無線局は、呼出符号を持たなければ(指定されなければ)ならない。これは、世界でたったひとつの呼出符号であり、同一の呼出符号が被ることはない。

このため、国際電気通信連合(ITU)[注 1]は、世界無線通信会議(WRC)[注 2]の決定を経て加盟国(国際機関を含む)に3文字の英数字の国際呼出符字列を分配している。

各国は、この符字列の下で自国の無線局に呼出符号を指定する。これにより、呼出符号の最初の1文字ないし3文字により国を識別することができ、この部分はプリフィックス(接頭辞)と呼ばれる。

主な国の分配例


なお、台湾(中華民国)では、「B」のうちの「BM - BQ」及び「BU - BX」の呼出符字列が使用されているが、これはITUから正式に割り当てられたものではない。ITUの無線通信規則(RR) 付属文書42(Appendix 42)によると、これらの呼出符字列は、中華人民共和国に割り当てられている[2]

戦前の呼出符号

ドイツ帝国大日本帝国は、第二次世界大戦以前は、1文字の国籍識別「D」と「J」とをそれぞれ有していた。しかし、1947年のアトランティックシティ会議で、敗北した枢軸国であったため、国籍符字列(および使用周波数)の一部(日本はT以後、ドイツはL以後)を召し上げられ、現在の2文字に変更させられた。

詳しくは#DとJの分配先を参照。

一方、イタリアは連合国と休戦の後、連合国に加わったため[注 3]、これら召し上げの対象とはならず、戦後も「I」の1文字を継続使用できている。

DとJの分配先

「D」「J」の分配先は以下のとおり。

D
  • 1947年
    • DA - DM ドイツ
    • DN - DQ ベルギー領コンゴ
    • DR - DT 旧ソ連・ベラルーシ
    • DU - DZ フィリピン
  • 1959年
    • DA - DT ドイツ
    • DU - DZ フィリピン
  • 1979年以降、現在
    • DA - DR 西ドイツを経て、ドイツ
    • DS - DT 韓国、
    • DU - DZ フィリピン
J
  • 1947年
    • JA - JS 日本
    • JT - JV モンゴル
    • JW - JX ノルウェー
    • JY - JZ 未割り当て
  • 1959年以降、現在
    • JA - JS 日本
    • JT - JV モンゴル
    • JW - JX ノルウェー
    • JY ヨルダン
    • JZ オランダ領ニューギニア(西イリアン)を経て、インドネシア

放送

1940年に発行されたWWVのQSLカード

多くの国で放送局にコールサインが割り当てられている。各国では、放送局のコールサインにいくつかの慣行がある。

北米の放送局は、一般に、国際シリーズのコールサインを使用する。米国では、最初の文字は、ミシシッピ川以西の放送局には「K」、以東の放送局には「W」が割り当てられる。ミシシッピ川以東の歴史的な例外として、フィラデルフィアのKYWとピッツバーグのKDKAがあり、以西の例外にはカンザスシティのWHBがある。新規開設の放送局に対しては4文字のコールサインが割り当てられるが、かつては3文字のコールサインが割り当てられていた。米国のラジオ局は、1時間ごとと放送開始・終了時にコールサインをアナウンスしている。

カナダでは、公的放送であるカナダ放送協会(CBC)がプレフィックス「CB」を使用している。民間放送局は、「CF」および「CH」から「CK」までのプレフィックスを使用している。ニューファンドランド州政府によってセントジョンズに免許された4つの放送局は、元の「VO」で始まるコールサインを保持している。メキシコでは、AMラジオ局は「XE」で始まるコールサインを使用し、FMラジオやテレビ局の大部分は「XH」で始まるコールサインを使用する。放送局のコールサインは通常、4文字から5文字のアルファベットと、該当する場合は「-FM」、「-TV」、「-TDT」のサフィックス(接尾辞)からなる。

南米では、かつてはラジオやテレビ局を識別するのにコールサインを使っていた。いくつかの放送局は、依然として1日に数回、自局のコールサインを放送しているが、この慣習は非常にまれである。アルゼンチンの放送局のコールサインは、2文字から3文字のアルファベット後に複数の数字が続き、2番目と3番目の文字が地域を示す。ブラジルでは、ラジオ局とテレビ局は、「ZY」に続く3文字目のアルファベットおよび3桁の数字で識別される。「ZYA」と「ZYB」はテレビ局に、「ZYI」、「ZYJ」、「ZYL」、「ZYK」はAM局に、「ZYG」は短波放送局に、「ZYC」、「ZYD」、「ZYM」、「ZYU」はFM局に割り当てられる。

オーストラリアでは、オーストラリア通信メディア局によって各放送局に固有のものが割り当てられるが、コールサインの取得は任意である。

ほとんどのヨーロッパやアジアの国では、放送局の識別にコールサインではなく社名が使われるが、日本、韓国、インドネシア、フィリピン、台湾には放送局のコールサインシステムがある。日本では、放送局には「JO」で始まるコールサインが割り当てられている。なお、戦前には朝鮮の放送局には「JB」、台湾の放送局には「JF」、関東州の放送局には「JQ」を割り当てていた。実際の割り当てについては日本の放送局所の呼出符号も参照。

英国は、米国の意味ではコールサインを持たないが、放送局は自分のトレードマークのコールサインを最大6ワードまで選択することができる。


注釈

  1. ^ 1934年(昭和9年)発足。それまでは1908年(明治41年)発足の「国際無線電信連合」だった。
  2. ^ 従前は「無線通信主管庁会議」(ARC)、「世界無線通信主管庁会議」(WARC)。
  3. ^ 1943年(昭和18年)9月8日に休戦。同10月13日に対ドイツ宣戦布告。1945年(昭和20年)7月14日に対日本宣戦布告。

出典

  1. ^ Radio Call Letters” (英語). U.S. Department of Commerece, Bureau of Navigation (1913年5月9日). 2021年10月4日閲覧。
  2. ^ Table of International Call Sign Series (Appendix 42 to the RR)” (英語). ITU. 2021年10月4日閲覧。
  3. ^ GB90MGY - A Special event station to honour the memory of Jack Phillips” (英語). Titanic Wireless Commemorative Group, Godalming, Surrey. 2008年9月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年9月8日閲覧。
  4. ^ エアバンドを聞いてみよう - 航空管制官”. 航空:航空管制官 公式. 国土交通省. 2020年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月11日閲覧。
  5. ^ Gernsback, H (1909-5) (英語) (PDF). First Annual Official Wireless Blue Book of the Wireless Association of America. New York: Modern Electrics Publication. オリジナルの2018-12-11時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20181211130628/https://www.seas.upenn.edu/~uparc/documents/First%20Annual%20Official%20Wireless%20Blue%20Book%20-%201909.pdf 2018年8月14日閲覧。 
  6. ^ Callsign Database” (英語). QRZ.COM. 2021年10月4日閲覧。
  7. ^ Qsl Manager - Qsl Info on-line”. 2021年10月4日閲覧。
  8. ^ World Wide HamCall Callsign Server”. 2021年10月4日閲覧。
  9. ^ QSL INFORMATION by F6CYV” (英語). 2019年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年11月24日閲覧。
  10. ^ DXInfo, your DX web resource”. 2010年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年11月24日閲覧。
  11. ^ QSL Search machine by OZ7C” (英語). 2021年10月4日閲覧。
  12. ^ QSLInfo” (英語). 2021年10月4日閲覧。


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