B-CAS方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:33 UTC 版)
2000年(平成12年)12月1日にBSデジタル放送、2002年(平成14年)3月1日に110度CSデジタル放送、そして2003年(平成15年)12月1日に地上デジタル放送がそれぞれ開始された。当初から現在に至るまで、B-CASは有料放送であるWOWOWとスカパー!(旧・e2)のCASとして利用されている。なお、有料放送はカードに対しての解除信号が送られているためカードを差し替えることで利用できる機器を切り替えることができる。 開始当初、限定受信は有料放送が対象であり、コピー制御も有料放送を除いて行われていなかったが、東京の主婦が録画した「BSデジタル放送のSMAP×SMAPを録画したD-VHSテープがインターネットオークションに出品される著作権侵害があった」とする、ハリウッド系資本の放送事業者の主張により、技術エンスロ委員会で問題視され、2004年(平成16年)4月5日からは、有料放送・無料放送を問わず、著作権保護が目的であるとするコピーガード制御が開始された[要ページ番号]。 ラジオ放送の一部や110度CSデジタル放送、特に広告を目的としたテレビショッピングチャンネルなど無料番組の一部においては、コピー制御・限定受信の一方または両方が行われない番組もある。この制御の実効性を担保する手段として、B-CASの限定受信が応用され、これらはデジタル著作権管理として機能することとなった。 B-CAS方式によるデジタル放送は動画データに、コピー制御信号 (CCI) を加えた上で暗号化(MULTI2暗号・日立製作所開発)して送信される。視聴する際は、B-CASカードに格納されている暗号鍵を用いて復号し、復号されたデータはCCIに忠実に取り扱われる。これにより、B-CAS方式の限定受信の行われている放送・番組では社団法人電波産業会 (ARIB) とB-CAS社に認証されB-CASカードが発行されたチューナー(コピー制御対応チューナー)にB-CASカードを挿入することが必須になり、それ以外の手段では視聴不可能となった。 B-CASカードを使用する受信機には、特定条件に一致した場合に放送局からのお知らせを目的とした文言を画面に表示する「自動表示メッセージ」と呼ばれる機能がある。NHKの衛星放送においては、ユーザー登録を行わないままBSデジタル放送を視聴すると、この機能を利用した「ユーザー登録のお知らせ」と表示され、NHK受信料の納付を目的とした画面が常時現れる。なお、地上デジタルテレビ放送では、ユーザー登録をしなくとも画面上に「ユーザー登録のお知らせ」は表示されない(同様の仕組みをNHKの地デジにも導入する構想はあったが、実現していない)。 B-CAS方式による放送では、デジタル技術を用いた録画機器と一部アナログ録画機器での番組の録画及び暗号化はされていないが、録画にさまざまな制限が掛かる。「B-CASとコピーワンス」、「DVDレコーダー#DVDレコーダーとコピー制御の関係」の項などを参照。これは録画機器メーカーであり、Blu-ray Discの提案者であり、同時に権利者でもあったソニーが提案、後続メーカーはそれに従う形で実装した。 発端となった技術エンスロ委員会の委員長は「簡単に破られるだろう」「ハッカーは歓迎だ。BSが普及する事は良い事だ」と述べたが、実際に突破されて崩壊するまで10年近くを要し、その間ユーザーは不満を募らせ、その怒りをB-CAS社に向けた。しかしそれは厳密には誤りであり、権利者が希望もしないのに、過剰なアクセス制限を自主規制の形で実装した、受信機メーカー業界の本質である事に長らくして気づく[要ページ番号]。
※この「B-CAS方式」の解説は、「B-CAS」の解説の一部です。
「B-CAS方式」を含む「B-CAS」の記事については、「B-CAS」の概要を参照ください。
- B-CAS方式のページへのリンク