法的位置付けに関する議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:46 UTC 版)
「フリーオ」の記事における「法的位置付けに関する議論」の解説
以下には、B-CAS方式に対する議論も含まれる。 フリーオの法的位置付けに関しては、それ自体の製造・販売に対する観点と、B-CASカードの利用に対しての観点で考える必要がある。 日本の放送業界や家電業界は、電波産業会(ARIB)運用規定に準拠しない(B-CASカード発行審査に合格しない)チューナーを「不正チューナ」と定義しているが、これは業界の視点から見て手続きを踏んでいないという意味であり、法的な裏付けに基づくものではない。 日本のデジタル放送が受信可能なチューナーの開発を管理する法律はないため、フリーオのような受信機の開発自体に違法性はない。日本のメーカーはARIBに準拠したチューナーを製作しているが、あくまでも一種の紳士協定的なものに過ぎず法的拘束力はない。また、MULTI2部分を含めデジタル放送の仕様は公開されているため企業秘密の漏洩にも該当しない。MULTI2は、同規格を開発した日立製作所の特許であるため特許権侵害の可能性があったが、該当する特許は2008年(平成20年)4月28日に期限が切れている。 使用については著作権法違反(技術的保護手段の回避。30条1項2号)、開発や販売については不正競争防止法違反(技術的制限手段迂回装置提供行為。2条1項10号)や著作権法違反(技術的制限手段迂回装置提供行為。120条の2第1号)が疑われる。 製造・販売に関しては「総務省がこの種のチューナーの規制を検討」と報じられたこともあり、今後については不明である。 B-CASカード使用許諾契約約款に基づけば、B-CASカードのシュリンクラップを開封した者が、フリーオでB-CASカードを利用すると約款が想定している用途と異なるために、契約違反が成立する可能性があり(同約款第8条第1項・第9条)、ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ側もフリーオにB-CASカードを挿入して使用することを禁じている。シュリンクラップに基づく契約の有効性に関しては、異論がある状況である。電器店が設置するなど使用者がシュリンクラップを開封していない場合には効力が及ばない。 この約款は民事上の契約に該当するため、約款に違反したことをもって刑事訴追の対象とはならない。 各家庭でのB-CASカードの使用実態を調査する仕組みはないため、契約違反を主張しても立証は現実的に不可能と考えられる。 フリーオの公式サイトでは、B-CASカードは利用者が各自入手すべきとされているが、B-CAS社に虚偽の申請をしてカード(=財物)を発行させた場合には詐欺罪(刑法246条1項)に該当する可能性があるとの主張がある。
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