日本への浸透
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日本に流入し「ロシア民謡」と呼ばれたソ連の流行歌は、日本ではロシアの民衆の間で長年にわたって歌い継がれてきた民謡であると信じられた。日本人の好みに合わせ、短調の歌が多く持ち込まれた。そのため、ロシア民謡には他のヨーロッパ各国の民謡に比べて短調の曲が多いという批評がなされるようになった。 日本とロシア帝国やソ連との政治的関係は元々あまり良好とはいえなかったが、ロシア民謡は日本で非常にポピュラーなものとなり、ドイツリートや、呂旋法とほぼ同じ旋法を用いたスコットランド民謡などと肩を並べている。明治の中期頃から戦後まで日本語の訳詞あるいは作詞がなされ、『カリンカ』『ヴォルガの舟歌』『黒い瞳』『アムール河の波(英語版、ロシア語版)』『行商人』『ともしび』『一週間』など、その数は数十曲に上る。『トロイカ』、『ポーリュシカ・ポーレ』などのように、ロシア語と日本語の間で歌詞の意味が大きく異なる曲もある。 日本においてロシア民謡が悲しいメロディーであると言う典型が出来上がった背景には、そうしたメロディーの方が日本の民謡に近いものがあったということが挙げられている。また、ロシア民謡は、特にシベリア抑留から解放された帰国者によって日本に多く持ち込まれた。そのため、流刑囚の歌や当時現地で流行っていた戦時中の歌(最新の歌も多少はあった)が多く、内容的にも物悲しいものが多かったことは特徴として挙げられる。 戦後、日本においてロシア民謡がポピュラーになるのに大きな役割を果たしたのが、「灯(ともしび)」をはじめとする歌声喫茶である。テレビ普及前であった当時、歌声喫茶は大勢の若者が楽しむ娯楽でもあった。ロシア歌曲を得意とするダークダックスが、積極的にロシア民謡を取り上げたことも、日本中に浸透するのに一役買っている。 しかし、ロシア民謡の流行は歌声喫茶の客層に見られるように、ベールに包まれた東側諸国や社会主義や共産主義への憧れと表裏一体のものであった。ソ連の経済が傾き、国家の欠陥を露呈するに従いそうした幻想が衰退していくと、ロシア民謡の流行の最盛期も去っていった。結局、ソ連崩壊後はロシアの流行歌は日本へはほぼまったく流入しなくなり、せいぜいt.A.T.u.やOrigaの一時的な流行が例外として上げられる他、今や時折テレビCMや映像BGMに有名な曲のメロディが使われる等ある程度の一般知名度や、ロシア歌曲の愛好家が存在する程度としている記事も多い。 その一方で、日本の歌謡界でレパートリーとして歌っている歌手もいる。アメリカ合衆国のジーン・ラスキン(英語版)作詞作曲のヒット曲のはずだったが、後にロシアの大衆音楽作曲家ボリス・フォミーン(ロシア語版)のロシア革命直後ごろの作曲であることが分かった『悲しき天使』(ロシア語原題 Дорогой длинною)が、漣健児訳詩で、森山良子や南沙織らに歌われる。「ポーリュシカ・ポーレ」を仲雅美が歌っていた。ソ連の歌手アーラ・プガチョワのヒット曲『百万本のバラ』が、加藤登紀子によって歌われヒットして第40回NHK紅白歌合戦出場曲となる。加藤登紀子は、CDアルバム「ロシアのすたるじい」で、古今の有名無名のロシア歌謡を歌っている。
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日本への浸透
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 22:25 UTC 版)
日本では『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)発売以降、各種報道機関で取り上げられはじめ、本の発売と同時期に小泉進次郎が使用したことで広く浸透した。 2016年2月には小泉進次郎・村井英樹・小林史明・鈴木憲和ら自民党の若手議員によって立ち上げられた「2020年以降の経済財政構想小委員会」が人生100年時代に向けた社会の実現を謳っている。小泉らは「レールからの解放 - 22世紀へ。人口減少を強みに変える、新たな社会モデルを目指して -」という政策提言を行い、その中で人生100年時代の働き方・生き方・教育の位置づけ、社会保障の見直しの必要性を訴えた。 2017年4月、「2020年以降の経済財政構想小委員会」は「人生100年時代の制度設計特命委員会」を経て2017年9月に「人生100年時代戦略本部」へと格上げされた。2017年11月には自民党政務調査会より「人生100年時代・全世代型社会保障への転換〜2020年以降を見据えて〜」が発表された。 首相官邸でも2017年9月に、安倍首相を議長とする「人生100年時代構想会議」が発足し、以下の4つを主なテーマに、超長寿社会における経済・社会システムに関する議論が進められた。 全ての人に開かれた教育機会の確保、負担軽減、無償化、そして、何歳になっても学び直しができるリカレント教育 これらの課題に対応した高等教育改革 新卒一括採用だけでない企業の人材採用の多元化、そして多様な形の高齢者雇用 これまでの若年者・学生、成人・勤労者、退職した高齢者という3つのステージを前提に、高齢者向け給付が中心となっている社会保障制度を全世代型社会保障へ改革していく 2018年6月には「人生100年時代構想会議」より、幼児教育無償化の加速、待機児童問題の解消、介護職員の処遇改善、学び直しの支援、高齢者雇用の促進などからなる「人づくり革命基本構想」が発表された。安倍首相は「人生100年時代を見据えた経済社会システムの大改革に挑戦するのが人づくり革命」と述べた。 2021年(令和3年)11月12日に、岸田内閣は内閣官房の人生100年時代構想推進室を廃止した。
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