地域金融と通貨の統合とは? わかりやすく解説

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地域金融と通貨の統合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 03:47 UTC 版)

東アジア共同体」の記事における「地域金融と通貨の統合」の解説

資本の自由化グローバル化の中で発生したため"21世紀型の金融危機"とも呼ばれたアジア通貨危機の後、1997年8月東京開かれた会合日本は、下落した通貨価値支え資金用意するアジア通貨基金AMF構想打ち出した通貨危機再発防止向けて参加国資金拠出プールする基金創設し日本外貨不足となった国の通貨支えるこの構想対しASEAN韓国賛同したものの、日本リーダーシップ強化懸念する中国米国反対し、この構想同年11月には断念される事となった。 その後1999年ASEAN+3首脳会議で、東アジアにおける通貨・金融分野での自助支援メカニズム強化必要性認められ2000年5月ASEAN+3財相会議でのチェンマイ・イニシアティブCMI)では、ASEAN+3通貨スワップレポ取り決め確立目指す事と既存通貨スワップ網を強化し対象全てのASEAN加盟国拡充する事が合意された。さらに2006年5月ASEAN+3財相会議共同声明では、CMIマルチ化(2国間の連携多国間連携へと移行させるもの)が盛り込まれAMF構想実現への足掛かりになるものと期待されている。 アジア通貨危機には、NIEs諸国債券市場発達の遅れと、それらの国に対す資本自由化への圧力大い影響している。再発防止のため、輸出により稼いだ外貨米国債投資しつつ、米国からリスクの高い短期資本を含む多額外資導入するという現在のアジア各国スタイル是正するという観点から、アジア豊富な資本域内長期投資充てアメリカから独立したアジア資本市場インフラ整備目的とするアジア債券市場ABM構想浮上している。 この構想では、債権決済域内で行う事で、将来的には起債米ドル建てではなく域内諸国通貨か共通通貨バスケット建てとする事を目標としている。2003年6月東アジア・オセアニア中央銀行役員会議(EMEAP)において創設発表されアジア債券基金ABF)は、アジア・オセアニア11中央銀行通貨当局がその外貨準備一部拠出し、合計10億ドル規模となるこの基金をもとに東アジア企業発行する米ドル建ての債権買い上げるというものである。この基金アジアドル建て国債への投資取り決めているため直ち自国通貨建て債券市場発展に繋がるものではないが、域内国債市場活性化寄与するものと考えられる東アジア各国保有する外貨準備が2兆米ドル超えようという水準にある時、安全性流動性のみに重点置いた米国債集中させず、ある程度リスクはあっても、収益性将来性重視したアジア債権シフトさせる、という方針沿ったのであるまた、アジア通貨危機原因として、殆どの国が自国通貨米ドル固定していた事もしばしば指摘される東アジア各国通貨は、通貨危機直後一時期除き概ね1対1割合米ドルリンクされている。東アジア諸国貿易資本取引外国為替市場での外貨取引において米ドル使用圧倒的に多く世界外国為替直物先物スワップ取引高でも米ドル重要な取引通貨であり、円は米ドルユーロに次ぐ第3位となっている。また東アジア諸国政府外貨準備資産大半米ドル保有しており、米ドル計算単位としての地位安定した米国インフレ率など、連動通貨としては適している事も、このような現状生み出す要因となっている。アジア貿易投資関係の実態反映しないドルベック制は、1995年以降ドル高によるアジア諸国輸出競争力を激減させ、結果としてアジア通貨危機引き起こした。この教訓元に固定相場制採用する場合実効レート変動抑制できる為替通貨バスケット制が望ましいとする意見もあり、とりわけ東アジアのように、広く分散した貿易相手国と取引を行う地域にとってはそれが一段と重要になる、とも指摘される通貨危機再発防止のためには、アジア経済相互依存関係を反映した通貨体制構築、すなわち通貨・金融協力最終目標である「アジア通貨圏」の成立推す声も少なくない東アジアでは前述のように金融面における地域協力顕著であるものの通貨協力については殆ど合意得ていない現状があるが、域内貿易投資促進マクロ経済安定経済危機防止といった観点から見れば将来的には各国が独自の為替制度用いるのではなく、共通の為替制度採用向けた国際協調ルールが必要、との観点に基づくものであるこれまでアジアにおいて貿易決済に主に米ドル使用され円の使用伸びなかった要因として、日本の財務省が円を国際化の波にさらす事を避けるためにとってきた消極的な政策挙げる有識者もいる。現在はまだ米ドル建てによる決済円建てによる決済上回っているが、日本東アジア諸国とのFTA締結されれば、円建てによる決済逆転するものと予測され、それにより円の比重上がり国際通貨として使用される展望も、1つ可能性としては充分に考えられるアジア地域通貨金融協力具体化させるためには、円の国際的地位の向上のため、財務省米ドルへの依存体質から脱却前提になるものと考えられる。かつての大蔵省の、アジア極東経済委員会ECAFE) が提案するアジア決済同盟ACU)・アジア支払同盟APU構想への対応 を非難する声は少なくないアジアにおける共通通貨構想2005年第1回EAS会合において議題とされており、共通通貨導入為替相場影響抑え東アジア経済長期的安定もたらし同時に国際社会でもドルユーロと並ぶ存在になるとされるこの構想は、アジア国際的経済上の地位向上にも貢献するものと予測されている。日本では外務省実現積極的とされ、自民党民主党マニフェスト東アジア共同体構築をともに掲げられている。とくに「アジアとの共生」を唱える民主党意欲的である。また韓国では、保守政治家などが主に提唱している。中国・韓国での反日感情の高まり、それに対す日本国内での反発、また“世界秩序維持責任者”を自任する米国の介入干渉予想される事などから一部では共同体可能性そのもの疑問視する声もあるが、この構想近年一段と加速しており、21世紀現実起こりうるシナリオ1つ考えられる一方で、共通通貨導入すれば各国金融政策財政政策主権を失う事にもなる。これにより、自国市場合わせた金融政策財政政策出来なくなる。日本と他の東アジア最適通貨圏ではなく当面そうなる可能性は低い。それにも拘らず性急に共通通貨導入すると、経済悪化させる事になる。事実ユーロ参加しなかったイギリススウェーデンデンマークなどの経済好調なに対してユーロ導入したドイツフランス低迷続けている。このようにアジア通貨単位ACU)の研究設定からACU建て債権発行経てアジア共通通貨創設へと向かう「アジア共通通貨圏」成立への道程未だ遠い。現状では、アジアEUのような通貨統合実現性は低いとの推測なされている。一方OECD事務次長谷口誠著書の中で"未だに金融・資本市場インフラ脆弱なアジアは、アジア通貨危機再発防止重点置いた可能な形での「アジア共通通貨圏」を成立させるべきで、アジア将来米ドルユーロ対抗しうる通貨圏を構築できれば、IMFにおけるアジア主体性確たるものにし、発言力を増す事になり、東アジア諸国にとっても望ましい事である。"と述べている。

※この「地域金融と通貨の統合」の解説は、「東アジア共同体」の解説の一部です。
「地域金融と通貨の統合」を含む「東アジア共同体」の記事については、「東アジア共同体」の概要を参照ください。

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