輸出競争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:35 UTC 版)
例えば、日本では、小宮隆太郎がそもそも経済力(国際競争力)とは何ぞやと批判を呈している。また、外国では、国際競争力という概念の実用性や誤用については特に国の競争力という文脈においてポール・ロビン・クルーグマンらの経済学者が活発な批判を行い、小宮隆太郎と同様に指摘している。何故ならば、貿易を国同士がGDPの額を競い合う輸出競争(ゼロサムゲーム)と捉えた競争などは存在しないからである。 なお、国際競争力を輸出競争力と捉えて或る国の輸出が世界の輸出合計に占めるシェアの伸び率を用い、生活水準の指標として、内外価格差を排除するため購買力平価で計った一人当たり国内総生産(GDP)の伸び率を用いると、国際競争力と生活水準には関係が無いことが判明している。 実際問題として、そのような競争力主義ははっきりとした誤りであり、互いの経済競争において、どの程度であっても、国際的な先進国は無い。経済の貿易がある部門でも無い部門でも、経済厚生水準は第一に生産性により決定される。 したがって、このような意味で競争力向上を目指すのは根本的に誤りである。何故ならば、競争力至上主義は労働者を搾取し失業率を悪化させ、民間企業の利益がそのまま国益にはならないからである。 また、市場には自浄作用など無いということが世界金融危機やリーマン・ショック及び欧州ソブリン危機で如実に現れている。競争力至上主義に囚われて雇用の流動化を推し進めてきたアメリカとその逆の政策を採用したドイツを比較すると、ドイツは労働市場の規制を強めていたために金融危機に対して耐性が有り、その失業率はアメリカよりも低い。
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