劉暁波への批判とそれへの反応とは? わかりやすく解説

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劉暁波への批判とそれへの反応

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 14:46 UTC 版)

丸川哲史」の記事における「劉暁波への批判とそれへの反応」の解説

2011年2月刊行の『最後の審判生き延びて――劉暁波文集』(岩波書店)の「訳者解説」において、解説者である丸川哲史および鈴木将久が、劉暁波と彼へのノーベル平和賞授与批判した解説者たちと岩波書店に対して子安宣邦が以下のように反論した。「岩波書店によるこの書の刊行は、岩波書店歴史だけではない、日本出版史上に汚点を残す大きな不正である。それは道徳的にも、思想的にも許されるものではない」と厳しい批判加えている。子安は「岩波書店および雑誌世界』は、劉暁波が「08憲章」を2008年12月公表してから、中国民主化運動関心を示すどころか劉暁波のノーベル平和賞受賞について雑誌において全く言及しないほど一貫して無視してきたにも関わらず劉暁波のノーベル平和賞受賞後、一転して劉暁波文集について独占的出版権得た」。「・・・『良識』を看板にしてきた岩波書店商業主義的な退廃ここまできたか」と嘆いた解説者たちは「『08憲章』における中国民主的改革構想に、そしてその中心的起草者である劉暁波対すノーベル賞授賞疑問がある」とさえ述べている。子安は以下の「訳者解説」の文章俎上載せた。 「人権表現の自由という理念それ自体に関しては、実のところ誰も反対ていないであれば劉氏への授賞理由長年にわたり、非暴力の手法を使い中国において人権問題闘い続けてきた』こととは別のところで、授賞劉氏と『〇八憲章』の思想にある国家形態転換深く関連してしまう、ということである。平和賞授賞は、中国政府からすれば、やはり中国国家形態転換支持する内政干渉』と解釈されることとなりそうだその意味からも、ノーベル平和賞持っている機能対す問い立てざるを得なくなる。」 以上の訳者解説」の文章について、子安宣邦は以下のように反論した。 「これは実に曖昧で、不正確で、不誠実な文章である。劉暁波問題という現実あまりに不釣り合いないい加減な文章である。これを読んで、何かが分かるか。分かるのはこの『解説』の筆者中国政府立場代弁していることだけであろう劉暁波中国国家体制転覆煽動する犯罪者であり、その国内犯罪者授賞することは内政干渉であるとは、中国政府主張するところである。丸川鈴木この中国政府主張と同じことを、自分曖昧な言葉でのべているだけである。この曖昧さとは、これが代弁しかないことを隠蔽する言語がもつ確信無さである。私はこれほど醜悪で、汚い文章読んだことはない。」 「劉暁波ノーベル賞受賞因んで出版された書に、その授賞そのものを疑う 『解説』が付されていることをどう考えたよいのか。これは常識的に考えられない出版行為である。これは普通ではない特別な意図をもってした出版としてしか考えようがない。」 以上の議論ののち子安岩波書店謝罪訂正改版処置公開要求した。しかし今[いつ?]なお丸川哲史、鈴木将久岩波書店いずれからも応答はない。 高井潔司子安宣邦の「訳者解説批判には事実誤認があるとしつつも、依然劉暁波氏の受賞歓迎しない岩波解説」は、「曖昧さ残している」と指摘した解説者たちは「訳者解説」で「『08憲章に対して書名しなかった人が存在する」として、秦暉挙げた解説者たちは「(秦氏は)『08憲章』がかつてヴァーツラフ・ハヴェル氏などが中心になって署名運動展開したチェコスロバキアの『77憲章』を多く模倣しているとして、しかし社会状態の違う中国においてそのような手法有効だろうか」と問い立てたつづけて、「なぜなら、1977年チェコスロバキアにおいては恐怖圧政第1番課題であったが、現在の中国において喫緊の課題はむしろ経済問題だ。…そのような歴史的前提のない中国においては、それよりも福祉公共サービスどうするかという『生存権』の議論の方が重要であるが、『08憲章』にはそれがない」と疑問符をつけた。劉暁波は「改革開放国家発展社会の変化もたらした」と断言している。くわえて、「仇敵意識弱まりは、政権に対してしだいに人権普遍性受け入れるようになり、1998年には中国政府国連二つ重要な国際人権規約への署名世界約束したが、これは中国普遍的な人権について国際的な基準承認行ったことを示すものであった2004年全国人民代表大会憲法改正し、『国家人権尊重し保障する』という文言をはじめて憲法書き入れ、これは人権がすでに中国法治根本的な原則一つになったことを示している」と述べた高井はこれを受けて劉暁波生存権経済考慮していないという訳者たちの批判は全く当たらないとして、「秦氏こそ、いまや日本追い越し世界第2のGDP大国となりながら、『生存権の方が大事』と主張し政治改革人権改善先送りしようとする中国当局代弁者になり下がっている」と批判する。さらに「訳者解説」では、ノーベル平和賞受賞決定後の10月11日中国共産党内の自由派党員たちが「公民言論出版の自由実現しよう」とする公開書簡運動取り上げられている。いわく、「この公開書簡では、中国共産党総書記胡錦濤国務院総理温家宝言論の自由重要性述べた発言強調された。日本ではあまり注目されていないが、温家宝は、2010年8月深圳講話から始まり国内外数回にわたり政治体制改革進め決意語った」。さらに、「この公開書簡求めた道は、中国共産党内の改革派の力を強めることであり、胡錦濤温家宝発言実現することであった劉曉波氏のノーベル平和賞受賞を境に、温家宝総理政治体制改革への意欲聞かれなくなった長期的に見たとき、こうしたことが中国民主化どのような影響与えるかは未知数である」と説明した高井はこれに対しても、あたかも劉暁波のノーベル平和賞受賞共産党内の改革派の足を引っ張ったかのように記述していると批判した他方矢吹晋2011年4月の『劉曉波中国民主化行方』(花伝社)のまえがきで「本書劉暁波のノーベル平和賞受賞契機として出版されるが、ノーベル賞便乗しようというさもしい本ではない」と反論している。しかし、高井矢吹が「訳者解説」を皮肉っていることは明々白々指摘したさて、丸川哲史柄谷行人との「長池講義」において、劉暁波思想ネオコン思想家として著名なフランシス・フクヤマ思想踏襲したものと指摘したとりわけ08憲章14条における土地私有化15条における「財産権改革通じて多元的市場主体競争メカニズム導入し金融参入敷居下げ民間金融発展条件提供し金融システム活力充分に発揮させる」という箇所について、新自由主義的であると批判した

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