磁性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/26 01:38 UTC 版)
磁気・電気と特殊相対性理論
アインシュタインの特殊相対性理論の帰結として、電気と磁気は根本的に相互に関連していると理解されている。電気を伴わない磁気や磁気を伴わない電気は、ローレンツ力が速度に依存する点から特殊相対性理論と整合しない。しかし、電気と磁気を両方考慮する電磁気学の理論は特殊相対性理論に完全に整合している[1][9]。従って、ある観察者から見て完全に電気に見える現象や完全に磁気に見える現象が、別の観察者から見れば電気と磁気を両方伴うものに見える可能性があり、電気と磁気は系に依存した相対的なものである。つまり、特殊相対性理論では電気と磁気は1つとなり、分けて考えることができない。
磁場と力
磁気現象は磁場によってもたらされる。電流または磁気双極子は磁場を生み出し、その磁場内にある他の粒子に磁力が与えられる。
マクスウェルの方程式(定常電流の場合はビオ・サバールの法則に単純化される)は、そういった力を生み出す場の起源とその振る舞いを記述する。電荷を持つ粒子が運動すると(例えば、電子の運動によって電流が流れる場合や原子核の周りを電子が軌道を描いて回る場合[訳語疑問点])、磁気が現れる。また、磁気は量子力学的スピンによる(電流によるものではない)磁気双極子によっても生じる。
荷電粒子の運動やスピンによる磁気双極子によって磁場が生まれると、磁力も生じる[訳語疑問点]。次の式は運動する荷電粒子についてのものである。
磁場の中を運動する荷電粒子は、以下のベクトル積で表される力 F(ローレンツ力)を受ける[10]。 (ただし、粒子が磁気双極子でもある場合、これ以外の力も受ける。)
ここで、 は粒子の電荷、 は粒子の速度ベクトル、 は磁束密度である。 この力は外積なので、粒子の速度と磁場の両方に対して垂直な方向に働く。このため仕事はなされず、磁力は粒子の運動の方向だけを変え、速さは変えない。力の大きさは、v と B の間の角度を とすると、次のようになる。
力の向きを知るにはフレミング左手の法則が利用でき、電流の向き q v を中指、磁場 B を人差し指で表せば、力 F の方向は親指で表される。
粒子が磁気双極子である場合は、(非一様な)磁場の中で粒子がその速度と垂直でない力を受け速さが変わることもある。
電磁気に関する単位
磁性に関わる国際単位系
名称 | 記号 | 次元 | 組立 | 物理量 |
---|---|---|---|---|
アンペア(SI基本単位) | A | I | A | 電流 |
クーロン | C | T I | A·s | 電荷(電気量) |
ボルト | V | L2 T−3 M I−1 | J/C = kg·m2·s−3·A−1 | 電圧・電位 |
オーム | Ω | L2 T−3 M I−2 | V/A = kg·m2·s−3·A−2 | 電気抵抗・インピーダンス・リアクタンス |
オーム・メートル | Ω·m | L3 T−3 M I−2 | kg·m3·s−3·A−2 | 電気抵抗率 |
ワット | W | L2 T−3 M | V·A = kg·m2·s−3 | 電力・放射束 |
ファラド | F | L−2 T4 M−1 I2 | C/V = kg−1·m−2·A2·s4 | 静電容量 |
ファラド毎メートル | F/m | L−3 T4 I2 M−1 | kg−1·m−3·A2·s4 | 誘電率 |
毎ファラド(ダラフ) | F−1 | L2 T−4 M I−2 | V/C = kg1·m2·A−2·s−4 | エラスタンス |
ボルト毎メートル | V/m | L T−3 M I−1 | kg·m·s−3·A−1 | 電場(電界)の強さ |
クーロン毎平方メートル | C/m2 | L−2 T I | C/m2= m−2·A·s | 電束密度 |
ジーメンス | S | L−2 T3 M−1 I2 | Ω−1 = kg−1·m−2·s3·A2 | コンダクタンス・アドミタンス・サセプタンス |
ジーメンス毎メートル | S/m | L−3 T3 M−1 I2 | kg−1·m−3·s3·A2 | 電気伝導率(電気伝導度・導電率) |
ウェーバ | Wb | L2 T−2 M I−1 | V·s = J/A = kg·m2·s−2·A−1 | 磁束 |
テスラ | T | T−2 M I−1 | Wb/m2 = kg·s−2·A−1 | 磁束密度 |
アンペア回数 | A | I | A | 起磁力 |
アンペア毎メートル | A/m | L−1 I | m−1·A | 磁場(磁界)の強さ |
アンペア毎ウェーバ | A/Wb | L−2 T2 M−1 I2 | kg−1·m−2·s2·A2 | 磁気抵抗(リラクタンス、英: reluctance) |
ヘンリー | H | L2 T−2 M I−2 | Wb/A = V·s/A = kg·m2·s−2·A−2 | インダクタンス・パーミアンス |
ヘンリー毎メートル | H/m | L T−2 M I−2 | kg·m·s−2·A−2 | 透磁率 |
その他の単位
- ガウス – 磁場(磁束密度)のCGS単位。
- エルステッド – 磁場の強さのCGS単位。
- マクスウェル – 磁束のCGS単位。
- ガンマ (γ) – 地磁気の磁束密度の単位。1ガンマは1ナノテスラに等しい。
- μ0 – 真空の透磁率を表す記号(4π×10−7 N/AT2)
- ^ a b A. Einstein: "On the Electrodynamics of Moving Bodies", June 30, 1905.
- ^ Heisenberg, Werner K. (1928). “zur theorie des ferromagnetismus”. Zeitschrift für Physik A Hadrons and Nuclei 61 (3-4): 619-636.
- ^ Bloch, Felix (1930). “zur theorie des ferromagnetismus”. Zeitschrift für Physik A Hadrons and Nuclei 61 (3-4): 206-219.
- ^ Stoner, Edmund C. (1930). “The magnetic and magneto-thermal properties of ferromagnetics”. Philosophical Magazine Series 7 10 (62): 27-48.
- ^ Mott, N. F. (1949). “The Basis of the Electron Theory of Metals, with Special Reference to the Transition Metals”. Proceedings of the Physical Society. Section A 62 (7): 416.
- ^ Anderson, P.W. (1959). “New Approach to the Theory of Superexchange Interactions”. Physical Review 115 (1): 1.
- ^ B. D. Cullity, C. D. Graham (2008). Introduction to Magnetic Materials (2 ed.). Wiley-IEEE. p. 103. ISBN 0471477419
- ^ Catherine Westbrook, Carolyn Kaut, Carolyn Kaut-Roth (1998). MRI (Magnetic Resonance Imaging) in practice (2 ed.). Wiley-Blackwell. p. 217. ISBN 0632042052
- ^ Griffiths, David J. (1998). Introduction to Electrodynamics (3rd ed.). Prentice Hall. ISBN 0-13-805326-X. OCLC 40251748, chapter 12
- ^ Jackson, John David (1999). Classical electrodynamics (3rd ed.). New York: Wiley. ISBN 0-471-30932-X
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