フェリ磁性体とは? わかりやすく解説

フェリ磁性

(フェリ磁性体 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/04 23:04 UTC 版)

フェリ磁性
結晶中の微小なレベルでみれば、スピンの向きを正反対な2つの副格子が弱め合うが、強度が異なるためその差がマクロな磁性となってあらわれる。
スピンの向きが正反対ではない2つの副格子の場合もフェリ磁性をあらわす。
フェリ磁性化合物の強磁性場中の磁化曲線特性

フェリ磁性(フェリじせい、英語: ferrimagnetism)は、結晶中に逆方向やほぼ逆方向の磁気モーメントを持つ2種類以上の磁性イオンが存在し、互いの磁気モーメントの大きさが異なるために全体として非零の磁化を持つ磁性のことである。

性質

強磁性反強磁性と同様に転移温度常磁性になるが、低温側の転移温度までの温度と磁化の関係(M-T曲線)は非常に複雑である。2種類の磁性イオンでネール温度: Néel temperature)が異なるとフェリ磁性を持つ物質は温度に対して複雑な挙動を示すことがある。強度のより高い方の磁性イオンのネール温度がもう一方より低いと、温度上昇によって磁気分極が消失してしまい、さらに温度の上昇によって磁気分極が反転する現象が起きる。

また、希土類原子(R)と遷移金属原子(TM)からなるフェリ磁性化合物の粉体に強力な磁場をかけると化合物の磁化の強さが2段階に変化する。これは、一方の磁気分極の方向が強力な外部磁界によって回転し、最終的にはもう一方の磁気分極方向とそろうことで起きる現象だと理解される。

物質

フェリ磁性を持つ物質の代表は、マグネタイト(Fe3O4)のようなフェライトと呼ばれるFe系の磁性材料である。 希土類-遷移金属間合金にもフェリ磁性を持つ物質がある。

歴史

フェリ磁性は1948年ルイ・ネール(Louis Eugène Félix Néel、1904年 - 2000年)によって発見された。当時はフェライト(FeO·Fe2O3)の磁性のみに使われた言葉だが、現在は反平行等のスピンを持つ化合物全般に用いられる。

関連項目


フェリ磁性体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 01:10 UTC 版)

強磁性」の記事における「フェリ磁性体」の解説

詳細は「フェリ磁性」を参照 フェリ磁性体とは内部強磁性体反強磁性体部分あわせ持つ磁性体である。酸化物磁性体フェライト呼ばれる FeO・Fe2O3MnO・Fe2O3NiO・Fe2O3CoO・Fe2O3 が代表である。前半分(FeOMnO部分)の2価磁気モーメントだけが残り磁性寄与するのでこちらは強磁性体となり、後ろ半分Fe2O3)は3価の鉄イオンスピン電子が反平行で反強磁性体である。たとえばFeO・Fe2O3、は1+0=1となって差し引き1つだけ磁気となって現れる別にフェリ磁性を示す代表として絶縁性のフェリ磁性体であるガーネットザクロ石ともいう)M3・Fe5O12がある(MにはFeMnが入る)。具体的にイットリウム鉄ガーネット(YIG)Y3・Fe5O12である。後半のFe5の中では3個と2個のFeが反平行を向いているので、差し引き1個の磁気モーメントが残る。

※この「フェリ磁性体」の解説は、「強磁性」の解説の一部です。
「フェリ磁性体」を含む「強磁性」の記事については、「強磁性」の概要を参照ください。

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