強磁性体
強磁性体
強磁性
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 04:42 UTC 版)
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強磁性 (きょうじせい、英: ferromagnetism) とは、隣り合うスピンが同一の方向を向いて整列し、全体として大きな磁気モーメントを持つ物質の磁性を指す。そのため、物質は外部磁場が無くても自発磁化を持つことが出来る。室温で強磁性を示す単体の物質は少なく、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウム(18℃以下)である。また、ミネソタ大学で正方晶のルテニウムが常温で強磁性を示すことを実験的に確認している(ルテニウムは通常は六方最密充填構造を取る)。
単に強磁性と言うとフェリ磁性を含めることもあるが、日本語ではフェリ磁性を含まない狭義の強磁性をフェロ磁性と呼んで区別することがある。なおフェロ (ferro) はイタリア語で鉄を意味する[1]。
物理的起源
磁性イオン間の交換積分が正である場合、交換相互作用はスピンが互いに揃うように作用し、強磁性を示すことになる。
強磁性体の性質
強磁性体は、ある温度以上になるとスピンがそれぞれ無秩序な方向を向いて整列しなくなり、常磁性を示すようになる。この転移温度を、キュリー温度(Curie Temperature、キュリー点とも言う)と呼ぶ。
キュリー温度以上では、磁化率(帯磁率)を
内部の層ごとに磁性の方向が回るようにずれてゆき、らせんを描くように磁性の向きが変わってゆく磁性体をヘリカル磁性体と呼ぶ。希土類金属に例がある。スピンのフラストレーションを最小にしようと自己組織化した結果最も安定な配向に落ち着いたのがらせんとなった。
スピングラス
金や銀、銅などの非磁性物質に鉄などの電子スピンを持った物質(磁性不純物という)を混ぜると、スピンの向きがばらばらなまま分散する。このまま合金として冷え固まるとアモルファスとなり、まるでガラスの内部で結晶が微小なまま固まったように、微小な電子スピンを持った磁性不純物が、あるところでは強磁性を、あるところでは反強磁性を、ばらばらに示す磁気構造が出来上がる。そのスピンがガラスのように空間的に方向がばらばらになって固まっているので、スピングラスと言う。それぞれのスピンには周りのスピンに対してフラストレーションが生じている。
メタ磁性体
反強磁性体の一種で、磁化の特性が突然進んで突然飽和してしまうもの。中にはCsFeCl3のように細かなステップになるものもある。
新発見された強磁性体
2004年に炭素同素体の一つ、カーボンナノフォームからなる強磁性体が発表された。室温では数時間後にはその現象は消失してしまったが、低温ではより長く続いた。その物質は半導体でもあり、ホウ素と窒素の等電子化合物をはじめとする同じような性状の物質も強磁性体ではないかと考えられる。ZnZr2という合金も28.5 K (−244.7 °C)では強磁性体となる。
用途
- 永久磁石
- 高透磁率材料
- 磁気記録媒体
脚注
関連項目
参照資料
- 新しい物性物理 伊達宗行 講談社BLUEBACKS ISBN 4-06-257483-7
- "Nanofoam makes magnetic debut," Physics World 17 (5), 3 (May 2004)
- 岡山大学 磁性用語辞典
強磁性体
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