ローレンツ電子顕微鏡法
透過電子顕微鏡を用いて強磁性体試料の磁区構造を観察する手法。強磁性体に入射した電子は磁化の方向に依存するローレンツ力を受けて進行方向を変える(偏向する)。隣り合う磁区では異なる偏向を受けるので、これを利用して隣り合う磁区のコントラストを得る。Fresnel法(defocus法)では隣り合う磁区から異なる偏向を受けた電子線の重なりにより、磁区境界は明るいまたは暗い線として観察される。Foucault法(infocus法)では隣り合う磁区からの回折斑点が後焦面で少しずれた位置にできるので、その一方を選んで結像する。選ばれた回折斑点に対応する磁区の像は明るく、選ばれなかった回折斑点に対応する磁区の像は暗く見える。通常の透過電子顕微鏡では、試料は対物レンズの強い磁場中に置かれるので、試料全体が単一磁区になってしまう。磁区観察には試料位置にほとんど磁場がかからない専用の対物レンズを用いる必要がある。
- ローレンツ電子顕微鏡法のページへのリンク