査証 査証の概要

査証

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/24 06:19 UTC 版)

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ラオススタンプタイプの査証。滞在期限が満了する前に隣接国に出国し、査証を取得するビザラン(Visa Run)と呼ばれるもの。見た目は入国許可・出国許可のスタンプと変わらない
アメリカの査証。

概要

査証の主目的は、入国しようとする外国人が入国するにふさわしいかを事前判断する身元審査である。犯罪歴があるなど身元審査で不適格と判断された者には査証が発行されず、その場合原則として入国は許可されない。また査証は、事前段階における入国許可申請証明のあくまで一部であり、査証を持っていても入国を拒否されることがある。

査証は在留許可(ないしは滞在許可)と混同されがちだが、査証が入国申請を行うための要件の一つであるのに対し、在留許可は『入国するため、或いは入国後滞在を続けるための資格』である。また、旅券は『国籍証明』と考えると理解しやすい。混同の原因として、一般的に査証の項目に滞在目的・滞在資格が併記されていたり、また一部の国では査証と在留許可が同時に与えられることが挙げられる。最終的な在留・入国許可は、国境検問所空港にいる入国審査官の裁量で決定する。

査証の審査や発行

査証は外国人が入国する前に行われるため、その審査や発行は、原則在外公館大使館領事館など)で行われる。一部の国家を除き、旅行対象国が世界中に持つすべての在外公館において受給が可能である。遠く離れた国家にある在外公館よりも、旅行者の交流が多い隣国にある在外公館の方が、申請を受けてから発給されるまでの所要日数が短いことが多く、発行手数料も安いことが多い。そのため、旅行中に隣国の在外公館を訪れて発給申請できる。

国家によっては、国境や空港の入国審査所(付近を含む)において即時発行が可能なことがある。ただし、この場合も即時発行できる地点が限られていることが多い。国家によっては、旅行者の居住国あるいは国籍国の在外公館でのみ査証を発行する国もある。

また、滞在目的に応じて審査基準が異なり、数日間の観光・通過滞在目的ならば比較的発行されやすいが、留学・就労・長期滞在目的での申請の場合、その受け入れ保証(入学許可、申請者の学歴、ないし雇用企業の招聘状など)がなければ発行されないことが多い。背景には、外国人労働者の安易な導入は、自国民の雇用に悪影響を与えるという発想がある。

通常、査証の発行には手数料が必要である。基本的には互恵主義による。手数料は発行国や査証の種類、国籍によって違い、また同一国であっても発行場所によって違うことも多い。国家によっては、手数料のほかに特別料金を上乗せして支払うことにより、通常よりも短い日数で、あるいは即時発行できることもある。反対にロシア連邦等は、早期に申請すれば手数料を軽減、あるいは無料にするところや、全て無料で行う国家もある。

査証の発行には旅券・申請書のほか、証明写真が必要であることが多く、その他にも国家や旅券の種類によって申請に必要なものが異なることがある。同一国の同一種類の旅券であっても、発行場所によって申請に必要なものが異なることさえある。

近年では、査証受付業務を大使館外の民間企業にアウトソーシングしている例もある(これらは「ビザ申請センター」を名乗ることが多い)。この場合、査証手数料のほかに、別途手数料が徴収される。ただし、ビザ申請センターでは受付、受領業務のみを行い、実際の審査、発行業務は従来通り大使館が行う。

査証発行の格差

査証免除

一部の国には、観光目的かつ短期間の滞在なら、査証の発行を受けずに入国できる。ただし入国審査において査証が無くとも良いという意味であり、入国申請や在留許可は別に必要である。また査証免除を認めている国の間では、旅行代理店による代理申請を認めている場合もある。

ビザ無しで渡航できる国の数は、所持するパスポートの発行国により異なる。コンサルティング会社のヘンリー・アンド・パートナーズは国際航空運送協会(IATA)の資料に基づき2008年以降、ビザ無し渡航できる国数を示す「パスポート指数」を公表している。2019年1月時点では、日本が首位(190カ国)で、韓国・シンガポール(189カ国)、ドイツ・フランス(188カ国)が続く。朝鮮民主主義人民共和国は42カ国[2]で最低がアフガニスタン・イラク(30カ国)、[3]国の経済水準や治安、対外政策、国内体制による差が大きい。

  • 滞在国の永住権を持っている場合。この場合は、母国の旅券と永住権を付与された国の許可証等を提示することになり、出入国管理上はそれぞれの国への“帰国”。
  • 欧州連合(EU)加盟国(未加盟国のスイスノルウェーも含む)の国民は、査証申請をせずに別の欧州連合加盟国に居住し、就労することが可能である。
  • 当該国間で密接な友好関係がある場合。当該国間で渡航者が非常に多く、大きなトラブルを起こさず、商業上重要な関係を持っている場合、短期の渡航については、相互主義により査証取得が免除される。
  • 滞在国が特定国に対して、観光客や投資の誘致を目的とした、一方的に優遇政策を取っている場合。条件によっては更に、第三国行きの航空券を入国審査時に所持している場合。
    • 例 : 中華人民共和国日本国旅券保持者に対する査証免除。逆に、中華人民共和国旅券保持者に対しては、短期観光目的でも日本国への査証免除はない。
  • 特殊な政治的理由に起因する場合。
  • 国際博覧会FIFAワールドカップオリンピックなどといった、世界的な大イベントが開催される場合、開催期間中に限り査証なしでの入国を可能とする措置が取られることが多い。この場合は母国の選手証や選手団員証・職員証、アクレディテーションカード(資格認定証)が、査証として扱われる。
  • 日本が中華人民共和国からの30日以内滞在予定の修学旅行生(中国国内の小中高校に相当する学校の生徒が対象)のみ短期滞在査証を免除している例など、特別な条件の団体のみ査証免除を行う場合がある。
  • 地域を限定して、その地域(周辺地域も含む)にのみ滞在する場合、査証免除にしている場合がある。
    • 例 : 中国の上海市北京市海南島珠江デルタを訪問する場合。ただし、指定の空港から出入国する必要がある。
    • 大韓民国済州島を観光目的で訪問する場合。この場合、韓国本土へ行くことはできず、通過のための120時間以内の本土滞在のみが認められる。

査証が発行されない場合

特定の国家が、特定の国家に対して査証の発行を行わない、またはその条件が厳しいことがある。

  • 敵対している国家に対しての場合
    • 例 : イスラエル国民や、過去のイスラエル訪問の記録が、旅券に残されている第三国の国民に対するイスラム国家の、またイスラム国家の国民や過去のイスラム国家訪問の記録が、旅券に残されている第三国の国民に対する、イスラエルの査証却下(イスラエルと対立国家を同時期に訪問するときには、旅券の二重取得が認められている国が多い)。
  • 政治上の理由(情報統制や国家体制維持など)による場合
  • 宗教上の理由による場合
  • 犯罪抑止対策の理由による場合
    • 渡航元からの不法就労不法滞在退去強制フーリガン・渡航元から自国で犯罪を犯す人物が多い等、渡航元から自国での法令違反行為が多い場合には、査証発行のための審査や調査や財産証明調査が、通常の審査よりも厳格化されることがあり、措置を不当と見なした相手国からも、報復措置として査証の審査が厳格化されることがある。

国家元首

外国の国家元首は、国際慣例によりパスポートなしで入国を認めるため、査証も不要。


  1. ^ 海外渡航の自由がない国家において、自国民に対する出国許可を「出国ビザ」と称する場合がある
  2. ^ 【Econo Graphics】ビザなし渡航国数、日本がシンガポール首位に『日経ヴェリタス』2018年4月29日(50項)。
  3. ^ 韓国パスポート「世界2位」 189カ国にビザなし渡航可能=1位日本”. 2019年3月17日閲覧。
  4. ^ 海外安全基礎データ リビア 外務省 2013年8月10日閲覧
  5. ^ サウジアラビア政府による日本国民を含む一部外国人に対する観光ビザ発給開始の発表 - 在サウジアラビア日本国大使館 令和元年9月27日


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