総括電報とは? わかりやすく解説

総括電報

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 17:00 UTC 版)

硫黄島の戦い」の記事における「総括電報」の解説

3月7日栗林最後戦訓電報戦闘状況大本営報告する一連の電報)である総括電報「膽参電第三五一号」を発する名義は膽部隊長第109師団長栗林)で、宛先参謀次長参謀本部大本営陸軍部)と、栗林中将陸軍大学校時代兵学教官である恩師蓮沼蕃陸軍大将当時帝国最後侍従武官長であった(「参謀次長宛膽部隊長蓮沼侍従武官長ニ伝ヘラレ度」「以上多少申訳的ノ所モアルモ小官ノ率直ナル所見ナリ 何卒御笑覧サレ度 終リニ臨ミ年釆ノ御懇情深謝スルト共二閣下ノ御武運長久ヲ祈リ奉ル」)。 後の作戦立案などに生かすため参謀本部大本営陸軍部)に送る戦訓電報を、畑違いである蓮沼侍従武官長にも宛てた理由としては、栗林強く訴えている陸海軍統帥一元化海軍批判黙殺されることを危惧したためであり、また、栗林硫黄島展開した一連の防衛戦術は、栗林陸大学生時代蓮沼教官から教わったものを基本としていることによる(「硫黄島防備就中戦闘指導陸大以来閣下ノ御教導精神ニ基クモノ多シ 小官所見何卒批判ヲ乞フ」)。 防衛計画段階において海軍側が水際防御飛行場確保終始こだわったこと(地下陣地の構築海軍反対アメリカ軍上陸時に栗林厳禁としていた上陸用舟艇艦艇への砲撃海軍海岸砲が行った結果防衛戦術)、摺鉢山火砲陣地露呈させてしまい全滅したこと(アメリカ軍の上陸海軍摺鉢山危険な魚雷庫を配置した結果先述砲撃により誘爆起こし爆発し周辺兵員死傷させたばかりか、爆発時に空いた大孔によりアメリカ軍突破口与えてしまい摺鉢山早期陥落つながったこと(摺鉢山の戦い) 特に海軍側の数多い大失態の例として以上の3例があり、以下の「膽参電第三五一号」の原文太字陣地構築および戦闘中における海軍不手際無能・無策批判となる。なお、栗林このように海軍側および中央猛烈に批判しているが、栗林自体軍人目指す弟に対し陸士ではなく海兵受験薦めるなど海軍嫌いというわけではない。 一 現艦砲威力二対シテハパイプ山地区ハ最初ヨリ之ヲ棄テ水際陣地施設設備最小限トシ 又主陣地飛行場掩護拘泥スルゴトナク 更二後退シテ選定スルヲ可トス本件ツテ来ル所海軍側ノ希望聴従セシアリ) 二 主陣地拠点施設ハ 尚徹底的ナラシムルヲ要ス其ノ然ルヲ得サリシハ 前項水際陣地多大資材兵力日子ヲ徒ニ徒費シタルカ為ナリ 三 主陣地二於テ陣前撃滅企図不可ナリ数線ノ面的陣地二夫固有部隊配置スル縦深的抵抗地区ヲ要ス 四 本格的防備着手セシハ昨年六月以降ナリシモ 資材入手困難土質工事不適当空襲連続等二依リ 工事進捗予期ノ如クナラサリシ 実情ナリ兵力逐次増加セラレシ為兵カ部署彌縫的トナリシ怨ミアリ海軍兵員陸軍過半数ナリシモ 其ノ陸上戦闘能力ハ全く信頼ニ足ラサリシヲ以テ陸戦隊キハ解隊上陸軍兵力ニ振リ向クルヲ可トス本島ニ対シ海軍投入セシ物量陸軍ヨリカニ多量ナリシモ之カ戦力化メテ不充分ナリシノミナラス 戦闘上有害ノ施設スラ実施スル傾向アリシニ鑑ミ陸軍ニ於テ之カ干渉指導の要アリ 之カ陸海軍縄張主義一掃両者一元的ナラシムルヲ根本問題トス絶対制海制空権下ニ於ケル上陸阻止不可能ナルヲ以テ 敵ノ上陸ニハ深ク介意セス専ラ地上防禦ニ重キヲ置キ配備スルヲ要ス 七 敵ノ南海岸上直後並二北飛行場突破入時 攻勢転移機会アリシヤニ観ラルルモ 当時海空ヨリノ砲撃銃撃メテ熾烈ニシテ自滅覚悟セサル限リ不可能ナリシカ実情ナリ防備上最モ困難ナリシハ 全島殆ト平坦ニシテ地形上ノ拠点ナク飛行場位置設備カ敵ノ前進入ヲ容易ナラシメタルコトナリ 殊ニ使用飛行機モ無キニラス敵ノ上陸企図濃厚トナリシ時機二至中央海軍側ノ指令ニヨリ第一第二飛行場拡張ノ為 兵カヲ此ノ作業吸引セラレシノミナラス 陣地益々弱化セシメタルハ遺憾ミナリ防備上更二致命的ナリシハ 彼我物量ノ差余リニモ懸絶シアリシコトニシテ結局戦術対策モ施ス余地ナカリシコトナリ 特二数十隻ヨリノ間断ナキ艦砲射撃並ニ 一日一六〇〇ニモ達セシコトアル敵機ノ銃爆撃二依リ 我カ方ノ損害続出セシハ痛恨ノ至リナリ

※この「総括電報」の解説は、「硫黄島の戦い」の解説の一部です。
「総括電報」を含む「硫黄島の戦い」の記事については、「硫黄島の戦い」の概要を参照ください。

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