絵札の主
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 09:56 UTC 版)
九頭龍慧一(くずりゅう けいいち) / クズリュー 演 - 阿部力 「♦K」を名乗る国民。国際弁護士。絵札を除く全ての「げぇむ」を「くりあ」した後に放送されたテレビ中継に出演した1人で、眼鏡をかけた知能派の男性。「ふぁあすとすてぇじ」を乗り越えた猛者「ぷれいやぁ」達の思考や不測の事態でさえ容易に計算に組み込む驚異的な頭脳の持ち主。 かつては『命の価値は平等』という理想に燃えて弱者救済に尽力していたが、アメリカ大企業の顧問弁護士団に加わったことを契機に、経済大国の専横的行為を目の当たりにして無力感と罪悪感に苛まれる。その後も、格差や搾取システムを肯定する富裕層と関わっているうちに命の価値が分からなくなってしまい、失意のまま日本へと帰国した際に今際の国へと誘われた。 国民の身でありながら「ビーチ」設立時からの幹部(初登場時の序列はNo.3)として堅実にボーシヤを支えたり、死の可能性を認識したうえで「らんなうぇい」に負傷者役として参加する等、国民となってからも「命の価値」という命題に答えをもたらす可能性を探し求め続けた末、「びじんとうひょう」にて「命の価値は自分で勝手に決めればいい」と生殺与奪をわざと委ねてくるチシヤを前に、『命の価値は平等』というかつて自らが抱いた理想を問い直し、「命の価値を自分では決めない」という生き方を貫いて運否天賦に勝敗を委ねた。結果としてチシヤに敗れたが、最期に自分の生き方を見つけられたことに満足しながら「げぇむおおばぁ」となる。その最期はチシヤから羨望や尊敬も含めて「勝ち逃げ」と称され、命に価値を見出せない己との対比で彼に深い影響を与えた。 得意ジャンルは「♦」。企画する「げぇむ」は、彼自身の信念を反映してか偏執的な程に公平さが重視されている。 加納未来(かのう みら) / ミラ 演 - 仲里依紗 「♥Q」を名乗る国民。精神科医にして脳科学者。絵札を除く全ての「げぇむ」を「くりあ」した後に放送されたテレビ中継に出演した1人で、人形のような表情を崩さない長髪の女性。 どこまでも無邪気な好奇心を行動原理とし、人間観察のため「ビーチ」内に滞在者として潜伏(初登場時の序列はNo.7)したり、「げぇむ」を主催する動機を「病気」と称する等の不気味な言動を繰り返す。 「くろっけぇ」では、多くの思わせぶりなことを語ってアリスを翻弄しつつ、紅茶に盛った幻覚剤を利用した洗脳で生存本能を奪い「とちゅうきけん」に追い込もうと試みる。しかし、ウサギの決死の自傷行為に応えたアリスの保護本能が抑えられずに敗北を悟り、最後までクロッケーを楽しんだ後、アリスに「人生を楽しみなさい」と言い残し、静かに「げぇむおおばぁ」を受け入れた。 得意ジャンルは「♥」。企画する「げぇむ」は、人の心を弄び自滅と絶望を促すものが多い。「かくれんぼ」も自分がアリスたち4人を狙い撃ちにして企画した「げぇむ」だと語っている。 続編の『今際の路のアリス』に登場する脳科学者・加納我文の実姉にあたり、姉のことは『今際の路のアリス』内でもわずかではあるが語られている。 久間欣治(きゅうま ぎんじ)/ キューマ 「♣K」を名乗る国民。ミュージシャンにしてヌーディスト。絵札を除く全ての「げぇむ」を「くりあ」した後に放送されたテレビ中継に出演した1人で、底抜けに陽気な芸術家肌の男性。 スリル中毒を自称し、「げぇむ」を通じてありのままの自分を表現することに生き甲斐を覚える楽観主義者。アリスらの入国の5ヶ月前にバンドのメンバー共々「ぷれいやぁ」として「今際の国」に入国し、ほぼ同時期に同じく「ぷれいやぁ」として入国していたシーラビ、クズリュー、ミラと出会い意気投合した。 初対面のクイナからも「ふざけた奴」と評される程とぼけた言動が多いが、その端々から研ぎ澄まされた感性や優れた決断力、高いカリスマを滲ませる。今を悔いなく全力で生き、伝えたいことを今伝えることこそが重要だと考え、アリスの心に強い影響を与え、彼自身もアリスに対し興味と友情を感じていた。 「ねくすとすてぇじ」初日に、仲間4人と共にアリス、ウサギ、クイナ、ニラギ、タッタの5人と「すうとり」で対決。「じんち」への特攻作戦でシタラの命と引き換えに圧倒的優位を築きながら最後はタッタの捨て身の奇策により敗れるも、友人としてアリスの生きる意味が見つかることを心から願い、「一片の悔いもない良い人生だった」と晴れやかに告げて「げぇむおおばぁ」となる。 得意ジャンルは「♣」。企画する「げぇむ」は、仲間を愛する彼らしく助け合いが「くりあ」の鍵になっているものが多い。「らんなうぇい」も彼が企画した「げぇむ」のひとつ。 稚羅日勲(しいらび いさお)/ シーラビ 「♠K」を名乗る国民。傭兵。絵札を除く全ての「げぇむ」を「くりあ」した後に放送されたテレビ中継に出演した1人で、真夏でも肌を極力隠す厚着をした老境の男性。 職業柄から戦い慣れており、「ふぁあすとすてぇじ」を乗り越えた実力者集団である重武装のサバゲーチームさえも、様々な火器を巧みに扱って容易に殲滅する。 平和ボケを蔑みつつも戦場でしか生きられない自分もまた因業な存在と考え、全ての人間との間に一線を引いてきた厭世家だが、自分を「友」と呼ぶ同業者アパッチを切り捨てきれず過酷な戦場へと赴き、致命傷を負ったアパッチの嘆願で彼に止めを刺した過去を持つ。その体験からPTSDを患っており、生きることを「苦痛」、死を「苦痛」から解放するための「救済」と捉えて、「げぇむ」でも敵対心ではなく憐憫を以って標的が苦しまないように殺戮を行う。 「ねくすとすてぇじ」開催6日目から7日目にかけてアグニ、ドードー、ヘイヤの一行と死闘を繰り広げ、最後はドードーが殺されたと思い激昂したアグニの捨て身の突撃で首を折られて敗北、朦朧とした意識の中でアパッチに懺悔の言葉を並べ、アグニの「救ってくれてありがとう、友よ」という言葉に友人の面影を見ながら息絶えた。 得意ジャンルは「♠」。企画するげぇむは、彼の思想を現すが如く即座に死に至る危険なものが多い。 駒山阿門(こまやま あもん)/アモン 「♦J」を名乗る国民。暴力団代打ち。関西弁を話す、紋付き袴姿の強面な男性。 関西ルールの麻雀で「げぇむ」を行い参加者達を圧倒。オーラスの局面でベタ降りしたチシヤを一度は「安全思考の合理主義者」と蔑むものの、関西ルールを逆手に取った妨害策でリーチからのツモ和了りを封じられたことで、チシヤを一流の博打打ちと認める。流局で仕切り直して決着をつけようと考えたその瞬間、既に負けが決まっていた下位の参加者に「国士無双」をロン和了りされて「げぇむおおばぁ」となった。 皮肉にも、最初にチシヤの捨て牌を見送らずにロン和了りしていればアモンが断トツ一位になれていたことが「げぇむ」終了後に分かり、逆にチシヤから「安全思考の合理主義者」と蔑まれてしまう。 松下苑治(まつした えんじ)/エンジ 「♥J」を名乗る国民。催眠療法士。右目を前髪で隠した男性。 永遠に「げぇむ」を楽しみたいがために「今際の国」の国民になったと称する「支配中毒者」。既に「♥J」として「げぇむくりあ」した経験があると匂わせる実力者であると同時に、「『ぷれいやぁ』は貴金属の持ち込み禁止」という「るうる」の網をすり抜けて、自分だけはカンニング用のモニター付き義眼を平然と隠し持つ卑劣な性格の持ち主でもある。「げぇむ」を自分のために用意された舞台劇と考え、高い演技力と職業由来の巧みな話術で舞台を巧妙に構築していく。 「どくぼう」では、ヤバとバンダが最後まで生き残ると即座に見抜き、逆転移を利用してバンダの傀儡に成り済ますことに成功する。さらに2ターン目でヤバのパートナーであるコトコに催眠をかけ、ヤバとの繋がりをも崩していく。それからはコトコの催眠を強化する以外は目立った動きをせず、「殺し合いの『げぇむ(ショー)』を間近で安全に」楽しんでいたが、残り4人になった段階でコトコを操りヤバとバンダに嘘のマークを教えて「ぷれいやぁ」の全滅を図ったところ、既に裏で繋がっていたヤバとバンダに企みの全てを看破されたうえで生き延びられてしまう。その後、2人に「今際の国」の情報を引き出すための執拗な拷問を受け、長らく忘れていた「恐怖」という感情を思い出したことで、わざと不正解のマークを宣言し「げぇむおおばぁ」となった。
※この「絵札の主」の解説は、「今際の国のアリス」の解説の一部です。
「絵札の主」を含む「今際の国のアリス」の記事については、「今際の国のアリス」の概要を参照ください。
- 絵札の主のページへのリンク