政府寄りの著名人の反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 11:54 UTC 版)
「2022年ロシアのウクライナ侵攻」の記事における「政府寄りの著名人の反応」の解説
スポーツ界 以前からプーチンを支持する発言を繰り返していた、ロシアのフィギュアスケート元選手で金メダリストのエフゲニー・プルシェンコは3月1日、自身のInstagramで、ロシアとベラルーシの選手がフィギュアスケート世界選手権から参加を除外されたことについて「スポーツと政治を混同してはならないし、アスリートが今のように罰せられ、パフォーマンスや競技をする権利を奪われるようなことがあってはならない。これは差別であり、アスリートの権利を直接かつ著しく侵害するものだ」と決定を批判し、さらに「私は私たちの大統領を信じています」という投稿を行ったが、プーチンを擁護しているとしてネット上で批判が続出した。3月6日、プルシェンコはInstagramを更新し「ロシア人であることを誇りに思っている。ジェノサイドをやめろ。ファシズムをやめろ」と対露批判に反発する投稿を行い、さらに国際世論からの批判が続出しているが、プルシェンコはウクライナ批判などをしているInstagramアカウントの複数投稿に「いいね」を押すなどプーチン政権を擁護する姿勢をとり続けている。また、プルシェンコの妻でタレントのヤナ・ルドコフスカヤも自身のInstagramで夫の主張を擁護する投稿を行っている。 ロシアの2022年北京五輪クロスカントリースキー三冠のアレクサンドル・ボルシュノフ(ロシア語版)は、3月7日に自身のInstagramにソ連時代の代表ユニフォームとみられるものを着用してスキーをする写真を投稿し「CCCP(ソ連の略称)1980」とのメッセージを添付した。この投稿に対し、ノルウェースキー連盟会長のエリック・ロステやスポンサーなどが非難するなど批判が続いていたが、同月9日までに投稿は削除された。その後、ボルシュノフは3月18日にモスクワのルジニキ・スタジアムで行われたロシアのクリミア半島併合記念コンサート「クリミアの春」にも参加するなど、プーチン支持の姿勢を続いていたことから、ドイツのグローブメーカーのKINETIXXはボルシュノフの行動を批判したうえで、ボルシュノフやロシア人選手と絶縁する方針を明言した。 ロシアのイワン・クリアク(ロシア語版)は、3月5日、カタールのドーハで行われた体操の種目別ワールドカップ(英語版)に出場した大会での国旗の使用が禁止されているため、ロシアで勝利を意味しロシア軍の戦車にも描かれている「Z」の文字を白いテープでつくり、胸のエンブレムを隠したユニフォームを着用して競技に臨んだ。 これに対し、国際体操連盟はクリアクの懲戒手続きを開始するよう体操倫理財団に求めると発表した。この動きに対しクリアクは「『勝利のために』『平和のために』を意味している。私は誰かの不幸を願ったわけではなく、自分の立場を示しただけ。アスリートとして常に勝利のために戦い、平和のために立ち上がる」と釈明し、「もし、もう一度チャンスがあり、『Z』印をつけるかどうかを選ばなければならないとしたら、全く同じことをするだろう」と発言した。 国際体操連盟は同年5月17日、クリアクに対する処分について、独立機関の体操倫理財団から国際体操連盟および加盟団体主催の試合への1年間出場停止、3月のワールドカップの成績について失格とし、平行棒で獲得した銅メダル剥奪と賞金500スイスフランの没収、係争費用の2,000スイスフランの支払いを命じた。 クリアク以外にもロシアのアスリートによる「Z」マークの着用の動きが続いており、3月18日にモスクワのルジニキ・スタジアムで行われたロシアのクリミア半島併合記念コンサート「クリミアの春」に、2022年北京五輪スキージャンプ団体戦銀メダリストのイリーナ・アブバクモワとエフゲニー・クリモフ(ロシア語版)が胸元に「Z」の文字があるジャケットを着用し出席。同様に北京五輪アイスダンス銀メダリストのヴィクトリヤ・シニツィナとニキータ・カツァラポフや2021年東京五輪競泳背泳ぎ二冠のエフゲニー・リロフなども「Z」マークの入った衣服を着用して出席した。この動きに対し、他国のメディアやアスリート、企業などからの強い反発が出ており、リロフはスポンサーシップを締結していたイギリスの水着メーカーSPEEDOとの契約を即刻破棄されている。 芸術界 ロシアのピアニストであるボリス・ベレゾフスキーは3月10日、同国政権寄りのメディアであるチャンネル1のトーク番組に出演し、「素朴な質問がある。彼ら(ウクライナ)に情けをかけ、慎重に物事を進めているのは分かる。だが、彼らを気にかけるのはやめて(キエフを)包囲し、電力を遮断したらどうだろうか」と発言した。また「西側メディアが報じていることは真っ赤な嘘だ」「我々はこの戦争に勝ち、この国で何かいいもの、素晴らしいものを築かなければならない。最後には真実が人々に届くと確信している。1年後には真実が勝つ」などとプーチン政権によるウクライナ侵攻を擁護する発言を行った。 この発言に対し、ドイツ出身のピアニスト・指揮者のラルス・フォークト(ドイツ語版)は自身のTwitterで「私の元友人、ボリス・Bがこのような発言をしたとは信じられない。だが、私は彼の口からその言葉を聞いた。私たちの友情は正式に終わった」と絶縁を表明する投稿を行うなど、音楽関係者を中心に反発が広がっている。 ボリショイ劇場は、ロシア文化省主催による、ウクライナにおける「特別軍事作戦」を支援する「オープン・カーテン(ロシア語: Открытый занавес)」と名付けた大規模なチャリティー公演シリーズの初演を2022年4月2日に行った。公演目的はロシア軍とドンバスからの「避難民」を支援することとしている。 サンクトペテルブルクの名門マリインスキー劇場の芸術監督ヴァレリー・ゲルギエフは、プーチンの30年来の友人であり、過去に再三に渡って支持を表明。ウクライナ侵攻に対してノーコメントを貫いた結果、ロシアの侵攻に反対する各国の交響楽団からゲルギエフの解雇や解任が相次いだ。 聖職者 プーチンの長年の盟友でロシア正教のトップであるキリル総主教は、世界教会協議会総幹事代理のイオアン・サウカからの書簡に対する返書の中で、対立の起源は西側諸国とロシアの関係にあるとした上で、「あからさまにロシアを敵とみなす勢力がその国境に近づいてきた」「NATO加盟国は、これらの兵器がいつか自分たちに対して使われるかもしれないというロシアの懸念を無視して、軍備を増強してきた」「ウクライナ人やウクライナに住むロシア人を精神的にロシアの敵に作り変えようとした」と西側諸国の指導者らを非難。また、今回の経済制裁について、「ロシアの政治・軍事の指導者だけでなく、とりわけロシア国民を苦しめようとする意図が露骨に表れている」との認識を示し、「主の力によって、一刻も早く正義に基づく恒久的な平和が確立されるよう」「世界教会協議会が政治的偏見や一方的な見方から自由であり続け、公平な対話のためのプラットフォームであり続けることができるよう」求めた。 教育界 ロシアの名門大学であるモスクワ大学の学長を1992年から務めるヴィクトル・A・サドーヴニチィは、ウクライナ侵攻の際して、クレムリンの方針を支持する文書を作成。この文書には、サンクトペテルブルク大学を含む300を超えるロシアの大学学長らが共同署名。プーチンとロシア軍を、ロシア大学学長連盟として支持することを表明している。 その他 ロシアのチェスグランドマスターのセルゲイ・カヤキンは、プーチンとウクライナ侵攻を支持する発言をSNSで繰り返したため、国際チェス連盟は3月21日の懲戒委員会で、カヤキンを「倫理規定に違反し、チェス競技の評判を落とした」として6か月の資格停止を満場一致で決定した。カヤキンは同日、自身のTelegramで連盟の決定は恥ずべきものだと批判し、ロシアのチェス連盟は決定に対し異議を申し立てている。
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