政府専用機・軍用機・プライベート機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 03:46 UTC 版)
「ボーイング757」の記事における「政府専用機・軍用機・プライベート機」の解説
757は政府専用機、軍用機、プライベート機などにも採用され、要人輸送のほか航空機の研究のためにも使用されている。これらの派生機のベースには757-200が用いられている。757を政府専用機として最初に採用したのはメキシコ空軍で、1987年11月にVIP仕様の757-200を受領した。 C-32 アメリカ空軍はVIP仕様の757-200を4機運用している。この4機はC-32Aと命名され、「エアフォースツー」のコールサインで副大統領の移動にも用いられることもある。C-32Aの機内は4区画に分けられ、通信センター区画、専用の洗面所や更衣室を備えた貴賓室区画、会議・スタッフ設備区画、一般座席区画が設けられている。アメリカ空軍は、C-32Bと名付けられた45座席仕様の757-200も運用しており、アメリカ合衆国国務省の「Foreign Emergency Support Team」と呼ばれる緊急時対処要員が使用する。C-32Aはアメリカ空軍の要人輸送機で使用される青と白の塗装が施されている一方で、C-32Bは白一色に塗装され最小限の識別マークのみとなっている。最初のC-32は1998年に納入され、C-137輸送機を代替した。 F-22 フライングテストベッド 757の初号機はボーイングが所有しており、1998年にアメリカ空軍のF-22戦闘機の開発に際して、アビオニクスやセンサーシステムの試験に用いられた。機体のコックピットの上方には戦闘機の翼に組み込むセンサー配置をシミュレートするためのカナード翼が取り付けられたほか、機首の前にはレーダーなどのシステムを搭載したF-22の胴体前半部が取り付けられ、さらに、キャビンには30席の研究スペースが設けられ、通信システム、電子戦システム、ナビゲーションシステムが搭載された。 ニュージーランド空軍 757コンビ型 ニュージーランド空軍は、STエアロスペース社による757-200M改造機を2機運用しており、装備の輸送、医療救助、兵員輸送、要人輸送に用いている。貨物扉と収納式のタラップ(エアステア)が備えられ、補助動力装置のアップグレードと通信システムの強化が行われている。727-100QCの代替機として導入され、ニュージーランド首相の移動に使用されるほか、ニュージーランドが南極大陸に設置したスコット基地への輸送にも用いられている。 757-200は上述以外にも要人輸送に使用されており、アルゼンチン空軍とメキシコ空軍は、それぞれの国の大統領専用機として757を運用している。ロイヤルブルネイ航空の757-200は、1980年代から1995年にカザフスタンに売却されるまでの間ブルネイ国王の移動に使用されたほか、サウジアラビア王室は757-200を「空飛ぶ病院」として用いている。 また、ビジネスジェットやプライベート機としても使用されており、2004年アメリカ合衆国大統領選挙では、候補者のジョン・ケリーが選挙期間中に「Freedom Bird」とニックネームを付けた757-200型機をチャーター使用したほか、2008年アメリカ合衆国大統領選挙の期間中には上院議員だったバラク・オバマがノースアメリカン航空の757-200をチャーターして使用した。 2008年には、ヘヴィメタル・バンド「アイアン・メイデン」が世界ツアー用に757をチャーターし、バンドのメインボーカルを努めるブルース・ディッキンソンが「エドフォースワン」と命名されたこの機体を自ら操縦した。 アメリカ大統領で富豪のドナルド・トランプは2015年9月から757-200をプライベート機として使用しており、この機体は大統領専用機のエアー・フォース・ワンに肖り「トランプ・フォース・ワン」と呼ばれている。なお、大統領就任中は大統領専用機であるVC-25Aが使用されている。
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