主要な写本とは? わかりやすく解説

主要な写本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/10 13:45 UTC 版)

源氏釈」の記事における「主要な写本」の解説

本書は「『源氏物語』注釈始まりともされる『源氏物語』注釈史の中で重要な書物ありながら現存する写本極めて少ない。主要な写本としては以下のようなものがある。写本勘物の形で存在する吉川本除いていずれも1巻この他十数断簡存在確認されている。 北野本(九曜文庫本)もと高野辰之所蔵。のち北野克の所蔵となりこの時期同人によって広く紹介された。後早稲田大学名誉教授中野幸一のものとなり、同人個人コレクション九曜文庫入った。現九曜文庫蔵全部で8のみ残存しており、末摘花後半から紅葉賀の頭の一部のみに相当するが、その中にも脱落している部分がある。『源氏釈』の中では最も原初的形態であると見られており、注釈書梗概書巻名歌集との性格併せ持つ表題奥書も無いため本来の書名不明あり、かつては北野克によって命名された「末摘花紅葉賀断簡」と呼ばれていた。田坂憲二によって梗概書中でも鎌倉時代と見られる書写時期の古い『源氏古鏡』(佐佐木信綱旧蔵・現天理図書館蔵本)との近親性が注目されたが、近年になって源氏釈』の一伝本であることが明らかにされた。 書陵部新出本『源氏物語注釈』なる書物所収されている「源氏抄物」と題されている写本近年になって伊井春樹によって見いだされた。 冷泉家本冷泉家時雨亭文庫蔵本)「源氏物語釈」と題されている。冷泉家時雨亭文庫蔵書調査の中で見いだされた、鎌倉期書写と見られる写本宮内庁書陵部蔵本祖本でありほぼ完本である。「第一次本」と呼ばれる系統代表的な写本宮内庁書陵部本源氏物語釈」と題されている。「巻子本」「桂宮本」とも呼ばれる冷泉家本江戸時代初期転写しと見られるもの。桐壺帖から明石帖までしか残っていない。 前田家本 前田育徳会尊経閣文庫本二条為定筆本。鎌倉時代写本わずかな欠落明石から澪標にかけて一葉蓬生一葉)はあるものの完本である。「第二次本」ないし「増補本」と呼ばれる系統代表的な写本で。 吉川本『源氏物語』の写本吉川本源氏物語』の各巻巻末書かれ勘物の形で存在する前田家本似た内容持っており、注釈加えている場所について比べたときの一致率は約92%とされている 都立日比谷図書館所蔵大津有一によってその存在報告されたものである前田家本の約1.7倍の分量を持つ。「伊行源氏釈」の表題を持つ『源氏物語』注釈書写本であるが、内容通常の源氏釈』とは大きく異なっており、『花鳥余情』などの影響強く見られることから本書の内容自体室町時代中期以降成立であり、他の『源氏釈』と共通するように見え部分は『河海抄』など後世注釈書経由してたまたま共通しているように見えに過ぎないとされる。本写本自体江戸時代成立と見られる現行の写本では、それぞれの写本ごとの異なりが非常に大きく、同じ部分に対して全く異な注釈加えている。伊井春樹は伊行自身による大幅な改訂が行われたためであるとしており、冷泉家本第一次本、前田家本第二次本であるとしている。『源氏釈』は『奥入以降さまざまな注釈において引用されることが多いが、「伊行釈」「伊行」などと書名を記さない形で引用されるときに現行の写本のいずれにも含まれないものも多いため、伊行自身による改訂のほかに別人独立した注釈書にするために編纂する当たって大幅な内容取捨選択が行われたと考える説もある。

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主要な写本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/10 09:13 UTC 版)

河内本」の記事における「主要な写本」の解説

主要な写本として以下のような写本があり、そのうちいくつか複製影印刊行されている 尾州家1258年正嘉2年5月北条実時出来上がったばかりの源親行所有河内本原本借用して能筆家書写させ金沢文庫入れたものとされている、河内本として成立年次の最も古い写本である(一部後世補写された巻がある)。室町時代所在不明であるが、関白豊臣秀次所有となった徳川家康のものになり、1616年元和2年)、徳川家康死去に伴い第九子の徳川義直に「駿河御譲本」と呼ばれた約3,000冊の蔵書一つとして分与され尾張徳川家のものとなった1931年昭和6年尾張徳川家から第19当主徳川義親によって設立され徳川黎明会管理移り1950年昭和25年)に名古屋市管理移り名古屋市蓬左文庫管理となった。現在国重要文化財指定されている。 御物本『東山御文庫本』や『各筆源氏』とも呼ばれる青表紙本別本本文を持つ巻も含まれている。 七毫源氏 高松宮家本代表的な耕雲本。旧高松宮家所蔵本。現在は国立歴史民俗博物館所蔵中山本現在は国立歴史民俗博物館所蔵。「若紫」、「絵合」、「行幸」、「柏木」、「鈴虫」、「総角」(一部)のみ現存する。元々の成立事情異なと見られるいずれも鎌倉時代写本である。元はこの他に「末摘花」、「幻」があったらしいが現在は失われた。「柏木」と「総角」は青表紙本である。 平瀬54帖の揃い本。近代入って行われた源氏物語の写本調査の中で1921年大正10年)に山脇毅によって良質な河内本写本として初め発見され写本発見時は大阪平瀬家の所蔵であった1998年平成10年)に文化庁購入しその所蔵になった大島河内本大島本とも)青表紙本大島本とは別の古写本であり、区別の為、普通「大島河内本」とよばれる。現在は中京大学図書館所蔵天理河内本かつては池田亀鑑のもとにあり、「本書学会重宝として貴重すへき希有珍本にしてよろしく校本源氏物語底本として学界弘布へきものなり」としているため『源氏物語に関する展観書目録』において「校本源氏物語底本 河内本禁裏御本転写) (室町時代)写 」と説明されている「校本源氏物語」(のちの『校異源氏物語』及び『源氏物語大成』)の底本であった考えられている本。のちに天理図書館所蔵となり、「天理河内本」との名称で『源氏物語別本集成 続』で校合対象一つになっている鳳来寺本 吉川本

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