グリフォン・スピットファイアとは? わかりやすく解説

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グリフォン スピットファイア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 23:53 UTC 版)

スーパーマリン スピットファイア」の記事における「グリフォン スピットファイア」の解説

ロールス・ロイス社のマーリンエンジン後継が、同社2000馬力エンジンであるグリフォンエンジンである。同じV型12気筒ながら、マーリン27,000 ccから37,000 ccへと、大幅な排気量アップなされていた。しかし、同じ2段2速過給器搭載型で比較すると、 マーリン61 全長1.98m、全幅0.757m、全高1.145m グリフォン65 全長2.05m、全幅0.749m 全高1.14m と、両者はほとんど大きさ変わっておらず、それゆえスピットファイアにも搭載可能であった。 ただし乾燥重量だと948kgあり、744kgだったマーリンより200ほど増えたので、対策として、大型垂直尾翼採用により、操縦性の向上と同時に機首エンジンとの重量バランス取ったMk.XIV以降)。 排気量大きくなり、オイルタンク大きくなった事で、機首下部にあったオイルタンク燃料タンク前に移設した。この改修により、従来よりエンジン取り付け位置前に移ったことと、さらにスピナー大型化したことで、機首伸びたまた、グリフォンエンジンの出力軸マーリンより少し低い位置にあるため、プロペラ軸位置も少し下に下がり、さらに機首下部オイルタンク無くなったことで、スピナー向けて機首絞りこまれた。これらの結果、グリフォンスピットは、細身印象機体となった。 グリフォンエンジンのクランク回転方向マーリンのそれとは異なり減速後の軸の回転左回りパイロットから見て反時計回り)となるため、プロペラのピッチ(ひねり)もマーリンエンジン機とは逆である。シリンダーヘッド張り出し大きく排気管上のフェアリング大きな膨らみがある。これらの相違搭載エンジン外観上の識別点となる。ただし、このフェアリング膨らみは、グリフォンエンジン自体大きくなったからではなくグリフォン大きさマーリンとほぼ変わらない)、機首絞り込みにより、機首上面曲面整形したことによるプロペラ軸がやや上方にあるマーリンエンジンでは、機首上面はやや角ばって整形されている。 総じてグリフォン搭載型は、エンジン出力の向上に機体強度追いつかず、また、マーリンエンジンとはプロペラ回転トルク反対方向になるため、当て舵逆になることから、「高性能だが操縦難しい」とされ、これらを失敗作評価する向き見られる。 なお、「グリフォン」という名称は、の上半身ライオン下半身をもつ伝説上の生物ではなくシロエリハゲワシから取られたものである。「マーリン」も、アーサー王伝説魔法使いではなくコチョウゲンボウの事である。そもそもロールス・ロイス航空エンジンが、「イーグルファルコンホーク」と猛禽類からの命名だったため、以後踏襲したのであるロールス・ロイス グリフォン搭載したスピットファイア Mk. XII1942年の夏までに配備された。このMk. XIIはわずか8分で高度1万メートル達することができ、水平飛行で約640km/hの速度達した。このタイプマーリンエンジン搭載機比べれば速度武装向上したが、燃料消費多く航続距離搭載量深刻な欠点かかえていた。そのため、限定的な航続距離しか必要とされない本土防空戦闘機の役割与えられ、もう一方マーリンエンジン搭載機ヤーボとして運用された。 MK. 21以降は、正式にはスーパー・スピットファイアの名称が与えられているが、この名称は一般に浸透せず、単にスピットファイア呼ばれることが多い。 Mk. XIIタイプ366Mk. VIII及びMk. IXエンジンマーリンからグリフォン換装して製作されたのがMk. XIIタイプ 366)である。1号機完成1942年10月、第41飛行隊(タングメーア)と第91飛行隊(ホーキンジ)の2個飛行隊にのみ配備された。Mk. VIIIからの改造機55機、Mk. IXからの改造機45機である。Mk. VIII、Mk. IX違いから尾輪引き込み式固定式2種類存在するMk. XIVタイプ 369/373/379) 1943年7月Mk. VIIIグリフォン60系エンジン搭載したタイプ369を基に、機首延長プロペラ枚数増加(5翅)、大型化された尾翼などを採用したタイプ379Mk. XIV1943年12月20日1号機完成している。総生産数957機。 F/FR Mk. XVIII(タイプ 3941943年暮れから、スーパースピットファイアと称する開発始まったスーパーマリン社では、戦訓活かしMk. XIV燃料タンク増設図ったMk. XVIIIを完成させた。Mk.XVIIIは、1944年12月から開発開始1号機シリアルナンバーSM844)の英空軍への引き渡し1945年5月28日香港の第28飛行隊配備された。 FRとして202機が製造されカメラ搭載99機は戦闘攻撃機として、対地攻撃使用された。中にはRATOGとアレスター・フック装備されたF XVIIIもあった。スーパーマリン製造されタンデム複座タイプ518TR XVIIIとして練習機として使用された。 第60飛行隊Mk XVIIIは、1951年1月1日ジョホール戦域Kota Tinggiでテロリストへの攻撃使用された。 PR Mk XIXタイプ 389/390) Mk. XX Mk. 21タイプ 368) 翼内スペース効率的な利用のために翼内構造改めた機体であり、翼内への燃料タンク追加により航続距離延長された。また、主脚延長されBf109のように胴体対し角度付けて設置しトレッド拡げることで地上滑走における安定性の向上が図られている。飛行性能の面では、翼端形状変更しエルロン改良することでロール性能向上した。なお、この型より層流翼変更されたという誤解一部存在するが、翼型従前通りのNACA2200シリーズであり層流翼ではない。1号機完成1944年1月27日、総生産数120機。これ以降スピットファイア型式は、ローマ数字からアラビア数で表記されるようになった。「ヴィクター」の呼称予定されていたが不採用となっている。 Mk. 22タイプ 356) Mk. 21キャノピーをバブル・ウインドとし、スパイトフル尾翼流用電源を12Vから24V変更したのがMk. 22タイプ 356)であり、278機が生産された。 Mk. 23 Mk. 21を基に高々度用として設計されたのがMk.23(タイプ372)である。Mk. 21からの違いは、垂直尾翼大型化尖端翼の採用である。生産はされていない。名称は「ヴァリアント」の予定であった。 Mk. 24 Mk. 22後部燃料タンク変更1946年2月から1948年2月までに81機が生産された。 スパイトフル 詳細は「スーパーマリン スパイトフル」を参照 スピットファイア Mk. 20シリーズのために用意され新設主翼は、開発途中で別系統主翼生み出された。翼断面P-51 マスタング同様の層流翼型にし、前後縁も直線テーパーにした。この新設計翼をスピットファイア Mk. XIV組み合わせた機体が、社内タイプ371として1944年半ば試作された。しかし、新し主翼従来胴体にはうまく合わず胴体新設計にするべきという結論達しスピットファイアとは別にスパイトフル名づけられた。

※この「グリフォン スピットファイア」の解説は、「スーパーマリン スピットファイア」の解説の一部です。
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