公金還流問題
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2016年4月29日、松本が代表を務める自民党東京都第7選挙区支部が、マンションの家賃として松本の妻に約10年間で計約2,000万円(6年間では計約1360万円)を支払っていたことが判明した。 東京都中野区本町の新中野駅前に位置するこのマンションは12階建てで、部屋はその6階にあり、広さは約70平方メートル。松本の妻が2006年10月に購入した。妻によれば、マンションは「母の遺産と私の貯金で購入」したという。その後、自民党支部が松本の妻と賃貸契約を結び、遅くとも2007年2月には既に事務所として使用していた。 当初の家賃は月18万円で、2010年からは19万1800円となった。そして自民党支部が事務所の家賃として毎月19万1800円を松本の妻に振り込んでいた。妻は「他人に貸せばもっと多くの家賃収入になる」と話しており、家賃は相場よりも低いとの見解を示している。しかし、地元の不動産関係者によると、この部屋の家賃相場は16万円前後、管理費を含めても17万円前後であり、家賃は相場よりも高い。そのため、差額分については、税金が原資の政党交付金が親族に還流したとみられ、利益供与にあたる可能性がある。 松本の事務所は、あくまで「相場の家賃を支払」っているとしており、「法律上の問題はない」「法令に従い適正に処理し報告している」などとコメントしている。また、松本の秘書も「同じマンションの他の部屋に比べ、家賃が特別高かったり、安かったりするわけではない。適正な価格できちんと賃貸契約を結んでおり、問題ないと考えている」と説明した。 しかし他方で、松本の事務所は、「相場より高いのであれば、家賃の減額請求を検討したい」とも述べている。松本の秘書も、家賃が相場よりも約3万円高いことに関して、「相場が下がっているのであれば(賃料を見直す)検討の余地があるかもしれない」との見解を示した。また、松本の事務所は、親族への利益供与という誤解を招いたことから事務所の移転などを検討するとしている。しかし、2016年6月の時点では差額分の返金や家賃の見直しが実際に行われたとは報じられておらず、また事務所もまだ新中野駅前のマンションからは移転していない。 この問題に関して神戸学院大学の上脇博之教授は、「政党交付金を含む政治資金が結果的に松本氏の親族に還流していた格好となり、政治的、道義的に問題だ。政党交付金の原資は税金であるため、本来は政治資金を充てず、無償提供という寄付の形にすべきだ。家賃の支払総額がマンションの購入代金を上回ると、税金が親族のポケットマネーに入ることになる。家賃が相場より高いことも問題で、差額分は政治資金の寄付に当たる。結果的に、政治資金でマンションの購入費用を賄ったといわれても仕方がない」と述べている。 なお、松本が代表を務める支部が松本の妻が所有するマンションの1室を借り、事務所費として月18万円の賃料を妻に支出していたことについては、2010年の段階で既に報じられていた。このとき松本の事務所は、「公私をしっかり分けており、家賃も相場より少し安い程度」と説明していた。
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