ひかり109号
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車両のミニチュアは1台1メートル余りあり、12両編成で12メートル。これを2セットで計24両製作。この2台で2000万円かかった。東映の「紡錘形を作らせたら日本一」といわれる美術担当者が、新幹線特有の紡錘形を再現した。新幹線などのミニチュアの実製作は、長らく映画・テレビの特撮作品で金属模型を手掛けた郡司製作所が担当した。撮影所正門反対側の中庭260平方メートルに線路を敷いたオープンセットを建設。線路は全長50メートル、150メートル、300メートル と文献によって長さの記載が異なる。特撮シーンは特殊技術の成田亨によるもので、新幹線のミニチュアは自走式では無く、小型のスキージャンプ台のように30度の傾斜をつけて走らせ撮影した。当時、このミニチュアが大変話題になり、宣伝部はここぞとばかりパブリシティを展開した。この新幹線と線路のミニチュアは、のちに『ウルトラマン80』でも使用されており、109号が爆破されるイメージカットは東映の特撮ドラマなどにも流用されている。爆破場面以外でも『大鉄人17』で新幹線ロボットの登場する前後編(第18話・第19話)などで流用された。背景の都市はミニチュアではなく、ビルのモノクロ写真を引き伸ばしてパネルに貼り付け、着色したものである。これは成田の発案で、限られた予算内で撮るためのアイデアの1つだった。この特撮のため、1日のレンタル料が100万円だった当時最新鋭のシュノーケル・カメラを借りている。シュノーケル・カメラはそれまでCMでしか使われたことがなく、同カメラを使用した映画は、本作が初めてといわれている。このカメラを約1か月使用した 2年後、同じカメラが『スター・ウォーズ』で使用されたという。これらミニチュアの新幹線と実際の新幹線を撮った映像を組み合わせ、迫力のある走行シーンを撮り上げた。 『新幹線大爆破』『東京湾炎上』と邦画のパニック映画大作が世間でも大きな話題呼んだため、1975年5月23日に東映、5月27日に東宝がバスをチャーターし、それぞれマスメディアを集めて、本社前集合から大泉、砧へ撮影見学会が行われた。道中、幸田清東映東京撮影所長から丸一年を要した製作苦心談や、ミニ新幹線が近所の子供たちの評判を呼んだため見学希望者が殺到した。丁寧に断ってはいたが、子供たちが撮影所内に侵入しミニ新幹線に悪戯しようとするため、ガードマンを付けているなどの説明があり、現場では新幹線ミニチュア(新幹線東映号)や特設レール建設の細かい説明の他、爆弾が仕掛けられたひかり号に救援車が近づく実際の撮影シーンや、ラッシュ試写も見せた。高倉と宇津井が新幹線の模型を持つスチル写真は、この日セット撮影の合間をぬい、二人がここを見学した時に写されたもの。高倉は「パニック映画というより人間ドラマです。素晴らしい映画に参加できてうれしい」宇津井は「子どもが見に来たがって困ってるんですよ」と話した。 前述のように東京撮影所の近所の子供たちから「ミニ新幹線を見せて欲しい」と要望が殺到したため、幸田東映東京撮影所長が「子供たちの夢を叶えてあげたい」と1975年6月15日に撮影所を開放し、ミニ新幹線撮影会を催し、アマ・セミプロのカメラマン2000人が参加した。 新幹線の爆破シーンは1975年6月20日、東京撮影所の野外オープンセットで行われ、報道陣にも近距離からの撮影を許可した。リハーサルなしのぶっつけ本番とあって慎重に慎重を重ねて準備し、予定を2時間オーバーした。本番1回目は爆破が遅れ、報道陣が近寄った時、突然爆破しカメラを担いで逃げ出すハプニング。2回目は予想外に火力が大きく、周辺に植えられていた木々に燃え移り、撮影所の消防車が出動する騒ぎになった。爆破シーンは映画では数秒であるが、ドカーン一発で2000万円がすっ飛んだ。 新幹線車内は材料の質感が本物そっくりに出ないと作品が全部絵空事になるという判断から、ベニヤ板でセットを組まず、当時実際に国鉄へ納入していた日立製作所や東芝などから実物の椅子や壁面、網棚などを発注して原寸大の車内を再現した。これに手間と時間がかかり、撮影が遅れる一因になった。後日、各会社は国鉄から怒られたという。本物そのままのセットは5年間保存され、新幹線の車内が必要なテレビドラマ『新幹線公安官』などに使われ、そのレンタル料で完全に元を取った。 司令室も内部の写真の提供を拒否されたため、美術監督が見学者を装って司令室に潜り込んだと書かれた文献もあるが、2002年のトークショー以降は佐藤が「国鉄は外国人に弱いから日本で無名の外国の俳優をドイツの鉄道関係者に仕立てて、全部盗み撮りしてきた」と話している。映画での司令室のCTC表示板は起点である東京駅が本来は左側であるところが右側となっているが、これは映画進行上のイマジナリーラインを右から左としているための意図的な演出である。ただし、本来の表示の左右だけを反転させて上下を反転させていないため、表示と実際の線路配置とでは左右(上り線と下り線)が逆になっており、CTC表示板でのひかり109号が停車している東京駅19番ホームの位置と実際に19番ホームを発車するひかり109号の映像の間に、矛盾が生じている。 実際の「ひかり109号」は東京9:48発の博多行きで、途中の停車駅は名古屋・京都・新大阪・新神戸・姫路・岡山から先各駅停車といういわゆる「Aひかり」と言われる列車であり、時刻は以下の通りである。 東京(9:48発/17番線発)→名古屋(11:49着/11:51発)→京都(12:41発)→新大阪(12:58着/13:00発)→新神戸(13:17発)→姫路(13:45発)→岡山(14:15着/14:17発)→新倉敷(14:31発)→福山(14:46発)→三原(15:01発)→広島(15:27着/15:29発)→新岩国(15:48発)→徳山(16:08発)→小郡((現:新山口)16:28発)→新下関(16:51発)→小倉(17:02着/17:04発)→博多(17:36着/11(現:13)番線着)
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