に

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に

出典:『Wiktionary』 (2021/08/22 15:03 UTC 版)

• 平仮名
• 五十音図: な行 い段
• いろは順: 4番目
• 字形: 仁の草体
• 片仮名:ニ
• ローマ字:ni

発音

• /ni/

名詞

に【荷】

1. 運搬して移動させる目的となるもの。荷物（にもつ）。
2. 精神的な負担、負担となるもの。

成句

• 荷が重い
• 肩の荷が降りる/肩の荷を降ろす

助詞

格助詞

1. 時。
   • 三時に待ち合わせをする。
2. 場所。（現代語では、存在を表現する動詞とともに用い、単に動作が行われる場所を表現する「で」と使い分ける）
   • 東京に住んでいた。
   • ヴェニスに死す（擬古的表現。現代語では「ヴェニスで死ぬ」）
3. 帰着点・方向。（多くの場合「へ」と言い換えられる。「へ」との違いはこちらを参照。「まで」は事柄などの範囲を意味する点で違いがある。なお「までに」には言い換えられない）
   • 「AからBにVする」（Aは起点。「Vする」は移動動詞）の形で
     • そこに行ってきた。

       （「まで」と言い換えられる。）

     • 南に赴く。

       （「まで」とは言い換えられない）

   • バスに乗る。（『大辞林』による）
   • 山にのぼる。
   • 池にはまる。
4. 行為を行う対象。相手。
   • 不正に厳正に対処する。
   • 一言一句にこだわる。
   • 「AがBにCをVする」（「Vする」は授与動詞）の形で
     • この姿をあなたに見せたい。
5. 動作・状況・感情の原因・理由・機縁。
   • 秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる（『古今和歌集』・藤原敏行）
   • ごほうびにお菓子をあげる。
   • 選挙に落ちる。
6. 受動・使役の対象。
   • 犬にほえられた。
   • あいつにやらせてみよう。
7. 行為の行われ方。
   • 直角に曲がる。
   • 個々に検討する。
8. 同等。類似。遠近。比較。優劣。勝敗。
   • 詐欺に等しい。
   • 母親に似ている。
   • 完成にはほど遠い。
   • 去年のものに比べて甘味が増している。
   • 前年同期に劣る。
   • 敵に勝つ。
9. 結果。目標。
   • 「AがBになる」「AがBにViなる」（「Viなる」は変化などを表す自動詞）「AからBにVtする」「AをBにVtする」（「Vtする」は変化などを表す他動詞）の形で
     • 君の発言で、台無しになったよ。
     • 信号が赤に変わる。
     • 黒を白に変える。

       （「と」と言い換えられる。「なる」「する」「帰する」などと異なり「変わる」「変える」などの動詞を伴う場合は「へと」に言い換えられる。）

     • 山田を委員に推薦する。
     • 山田を委員に選ぶ。
   • 危篤におちいる。（この「に」は「結果」を表すとするのが『大辞泉』、「帰着点」を表すとするのが『大辞林』）
10. 知覚や判断の結果。
    • 匿名で届いた手紙を不審なものに感じる。
11. 「AをBに」の形で、(Aを)Bにしての略。そのような物として扱って。
    • 学生を対象に心理実験を行った。 (「学生を」は動詞「行った」の目的語ではない)
    • 前年度を基準に計算した。 (「前年度を」は動詞「計算した」の目的語ではない)
    • 失敗を機にますます努力した。 (「失敗を」は動詞「努力した」の目的語ではない)
12. 「に」を用いた連語・慣用句:恩に着る。気に病む。ばかにする。
    • どうせ死ぬのだから、なまじい人の情を恩に着るのはかえって心苦しい。（夏目漱石『野分』　「～を」が残る）
13. 追加、添加。
    • 酢に味噌を混ぜてよく和えます。
    • 僕が好きな動物は犬に加えて猫もそうだ。
14. 並立・列挙。
    • 僕が好きな動物は犬に猫だ。
15. 「動詞連用形または動作性名詞+に」の形で、目的。
    • 遊びに行ってくる。
16. 「動詞連用形+に+同じ動詞」の形で、くりかえし。継続。強意。
    • クリーンナップが打ちに打ちまくった。
    • 待ちに待った夏休み。

翻訳

• 英語: to ^(en)
• フランス語: à ^(fr)
• 朝鮮語: 에 ^(ko), 에게 ^(ko), 로 ^(ko)

派生語

• には

接続助詞

1. 思考、感覚、主張、理由などの内容を導く表現。
   • 私が思うに、その主張には無理があるのではないだろうか。
   • その証拠に、彼はその日自宅にはいなかったというではないか。
2. 軽い不満や詠嘆を含んだ逆接。
   • 重病人でもあるまいに、いつまでもごろごろして。
   • こともあろうに、警官が詐欺に手を染めるとは。

終助詞

1. 現実と異なることを仮定した場合の、軽い不満を含んだ詠嘆。
   • 無駄遣いをしなければ、きっと買えていただろうに。

接尾辞

に【似】

1. 似ていること。
   • 父親似。空似。

接尾辞

に【煮】

1. 煮ること。煮たもの。
   • 甘辛煮。芋煮。

接尾辞

に

1. 形容動詞連用形の活用語尾。
2. 助動詞「ぬ」の連用形「ず」につく虚辞。
   • そんなこととも知らずに、のこのこ出てきてしまった。
3. （方言）形容詞連用形がウ音便形化したものにつく虚辞。
   • 「魚はように燒いておくんなされよ。」（島木健作「生活の探求」）
   • 「ちょっと、此処をきつうに締めとおくれやす」（谷崎潤一郎「蓼喰う虫」）
   • 「早うに、女郎に売りとばしたら良かつたなア」（坂口安吾「孤独閑談」）

万葉仮名

二、人、日、仁、爾、迩、邇、尼、耳、柔、丹、荷、似、煮、煎、而、弐、珥、瓊

名詞：古語

に【丹】

1. 鉱物性の染料。赤土（あかつち）、あかに
   • あをに

に【土】

1. つちに同じ。
   • 赤に／やほに／そほに

に【瓊】

1. たま。色の赤いたま。