その他の武人
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松永久秀 声 - 飯塚昭三 第1話に登場する大和の大名。傷のある髭面で老練な顔立ちの老将。史実における信貴山城の戦いにおいて、降伏要求の使者としてやってきた織部を迎える。しかし、彼が交渉そっちのけで名物「平グモの釜」に目を奪われているのを見て呆れ返りながら、武か数寄か、自分の生き方をいずれ決めねばならないと諭す。その後、新たな使者としてやってきた秀吉に唆される形で、平グモに爆薬を詰めて天守閣にて爆死する。 史実通り平グモは消失したものの、爆風で吹き飛んだその蓋は織部が回収しており、後にも織部が自分の趣向を見直すアイテムとして登場する。 荒木村重(荒木村重→荒木道糞) 声 - 広瀬正志 織田に謀反を起こした武将。数寄者としても知られているが物欲の権化として描写され、名物集めに余念がない。織部の働きによって側近の中川清秀と高山右近が離反したために追い込まれ、最後はその物欲から一族郎党を見捨て、集めた名物を持って独りで隠し通路から城を脱出する。その際に織部と出会って、彼が同じ強欲の者と見抜き、名物の1つを渡す代わりとして見逃してもらう。 豊臣の天下となった後に再登場し、名を道糞(どうふん)に改め、秀吉の計らいで堺にて茶人として生きていた。病によって死期を悟ると織部と再会、一族皆殺しにされても自分の命や名物を優先したことを恥じるどころか肯定し、武人として生きるか、数寄者として生きるかの選択を改めて織部に突きつける形となる。織部の欲深さを気に入った上で、一族に一人生き残り(岩佐又兵衛)がいること、その彼を見つけ出し、自分の生きざまを語ることを依頼する。その代償として名物の1つを織部に譲る。その後、間もなくして病没し、生前の約束に従ってその名物は秀吉の物となる。 細川幽斎(細川藤孝→細川幽斎) 声 - 小林修→堀勝之祐 細川家当主で忠興の父。有職故実に通じた当代屈指の教養人であり、歌や茶にも見識が深い。さらには武芸の達人でもあり、猛将としても知られる息子・忠興を難なくいなす。常に冷静沈着であり、周囲の異変や企みなどを察するなど、自分や細川家が巻き込まれることを嫌い、直情的な忠興を折檻したり、利休に警告を行ったりする。また、織部の父・重定と旧知の仲で、幼少の織部に歌や書も教えていた縁があり、彼とは古くから面識がある。 数寄者ではあるが古典を重視し、わび数寄とは距離を置く。特に初期の織部の工夫は「悪ふざけ」と酷評し、北野大茶湯での忠興の工夫(一畳で立ったままの茶会)にも怒りを見せる。しかし、最終的に徳川の治世の頃には、織部の創意を認めるようになっている。 作中にはもっぱら忠興の父としてや、古典を重視する者として登場し、上記のように利休や織部の創意の数寄とは距離を置く。本能寺の変では策謀の匂いを嗅ぎ取り、縁戚関係にある明智の要請を断って中立に徹する。関ヶ原の戦いでは居城・田辺城を西軍に包囲されるが(田辺城の戦い)、古今伝授の喪失を恐れた朝廷の勅令によって講和・開城する(その際には徒手空拳で未だ警戒を解こうとしない敵兵をいなしていく)。晩年には猪熊事件を受けて、古今伝授の弟子であった烏丸光広の助命に苦慮する。 容姿のモデルは細川の末裔である細川護熙。『モーニング』2010年19号では作者と細川護煕との対談が行われた。 秋月種実 声 - 田中完 九州筑前の大名。ナマズのような髭を生やした中年の武将。島井宗室から半ば脅し取った天下三肩衝の一つ楢柴肩衝を所有する。秀吉による九州平定において、居城・益富城に籠城し、降伏や楢柴肩衝の要求を拒絶する。しかし、織部に娘・竜子(声 - 儀武ゆう子)を拉致されたことで降伏を決意する。なおも偽物の楢柴を渡そうとするなど往生際の悪さを見せるが、織部に見破られ、最後は剃髪して秀吉に拝謁し、許しを得る。 織部によって楢柴の蓋は偽物とすり替えられており、これはバレず、そのまま本物の蓋のみ織部の所有となった。 真田信繁(真田信繁→真田好白) 声 - 佐々木啓夫 信州上田の武将。数多の間者を使い山の神の申し子と呼ばれ、調略の名手として知られている。秀吉による九州平定で織部と出会い、誼を築く。後に大坂の陣で再登場し、史実通りの活躍を見せる。なお、作中では真田紐の開発は、織部からヒントを得たことになっている。 作中には益富城戦で登場し、手柄を立てたい織部に協力して間者を貸し出し、約束通り秀吉からの恩賞の半分をいただく。関ヶ原の戦いでは西軍に組みしたため、戦後は改易されて父・昌幸と共に隠遁生活を送る。有力武将として上田宗箇より豊徳合体への協力を持ち掛けられるが、隠棲している父を憚り申し出を断る。 大阪の陣で召し出されるが、史実通り当初は豊臣家幹部の武将らから浪人衆として軽んじられる。真田丸の構築などにより活躍し、冬の陣終盤では豊臣諸将からの信頼を得る。また、この時の戦いぶりで頼長に関心される。夏の陣では劣勢の中、頼長が残していったダ・ヴィンチのカラクリを使って家康本陣への奇襲を敢行するも、家康の精神を揺さぶることもできず、討ち死にする。 北条氏直 声 - 稲田徹 北条家当主。宗二の歯に衣着せぬ言動を怒るどころか大いに気に入り、家臣たちにわび数寄を指南するよう乞う。宗二を悟らせた人物。 北条幻庵 声 - 八木光生 北条早雲の息子で北条家五代を補佐してきた重鎮。耳毛を生やしており、北条家の中で最も数寄に通じており、自身の死後、数寄の芽が絶えることを案じて宗二を相模国に呼び寄せた。 毛利輝元 声 - 檜山修之 毛利元就の孫で中国地方120万石の大名。井戸茶碗を所有し、満潮の厳島神社より引き潮の姿が好みと言っている。利休に天下取りを唆された。関ヶ原の戦いでは安国寺恵瓊や長束正家の働き掛けにより不本意ながら西軍の総大将を務めた結果、領国を大幅に削減されてしまう。戦後は政よりも数寄へ傾ける刻を欲し隠居する。 島津義弘 九州薩摩を治める大名。家臣ともども薩隅方言がきついため薩摩以外の人間との会話が困難である。台詞は「よか」「じゃっどん」といったいくつかの単語を除き草書体で表現されている。 関ヶ原の戦いで石田派に与したが、戦略において三成と尽く反りが合わず、独自行動を展開する。関ヶ原から脱出する際に家臣が小堀作介を連れ去っており、人質として保護する。作介返還後は織部と誼を通じるようになり、薩摩焼への助言などを受け入れるようになる。 島津家久 義弘の息子。織部と親しかった伊集院忠棟を謀殺するなど「酷薄な人物」と称されているが、人質時代の小堀作介と、彼の作る白い器には好感を抱いている。尚寧王と共に東上し織部からの饗応を受けるが、「ひょうげ」に理解を示さず険悪な雰囲気となるが、作介と金森重近の執り成しで事なきを得る。
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