エイコサペンタエン酸 存在

エイコサペンタエン酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/12 20:33 UTC 版)

存在

DHAは、脳内にもっとも豊富に存在する長鎖不飽和脂肪酸で、EPAは脳内にほとんど存在しない[12]。これは投与されたEPAは脳内に移行したのち、速やかにDPAさらにはDHAに変換されるためである[13]。他方、ラットの動物実験で脳のリン脂質においてDHAを摂食すると脳リン脂質中のDHAの割合は増加したが、DPA及びEPAは摂食しても脳のリン脂質脂肪酸組成にはほとんど影響を及ぼさなかったことから、DHAは血液脳関門を通過できるが、EPAを含めた他のω-3脂肪酸は血液脳関門を通過することができない可能性が示唆されている[14][信頼性要検証]

また、ヒトモデル細胞実験で各種脂肪酸によるDHA取り込みに対する阻害効果を検討した結果、リノール酸アラキドン酸及びエイコサペンタエン酸(EPA)によって阻害され、オレイン酸によって阻害されなかった。従って、DHAは何らかの脂肪酸選択的な輸送機構を介して取り込まれることが示唆された[15][信頼性要検証]

脂肪酸は血液脳関門を通れないため、は通常、脳関門を通過できるグルコースをエネルギー源としている[16]。グルコースが枯渇した場合、アセチルCoAから生成されたケトン体も例外的に血液脳関門を通過でき[17][信頼性要検証]、血液脳関門通過後に再度アセチルCoAに戻されて、脳細胞のミトコンドリアTCAサイクルでエネルギーとして利用される[16]

食品中での存在

EPAは、魚油食品、肝油ニシンサバサケイワシナンキョクオキアミから得られる。魚介類100g中の主な脂肪酸については、魚介類の脂肪酸を参照のこと。また、母乳にも含まれている。

EPAは、マイクロアルジェに存在し商業用に開発されている[18]。EPAは、ふつう高等植物では見られないが、スベリヒユで微量確認された[19]

商業ベースでは、「イマーク」(日本水産)や「エパデールT」(大正製薬)が健康食品・スイッチOTCとして発売されている。「エパデールS」(持田製薬)やその後発医薬品は医薬品であり、食品ではない。

エゴマ油、アマニ油などにはEPAではなくα-リノレン酸が含まれている。α-リノレン酸は、摂取後体内でEPAに変換される。上記の魚油がEPA製剤に用いられているが、魚類はEPAを体内で合成することはできず、魚油のEPAも元は植物プランクトン由来である。


注釈

  1. ^ 糖代謝異常の改善にも効果があることが明らかとなった。
    及川眞一 (JELIS Investigators)、セッション Late Breaking Clinical Trials II、第72回日本循環器学会総会、2008年3月29日。 - 水田吉彦「糖代謝異常の主要冠動脈イベントリスクもEPAで2割減」JCS2008『日経メディカル』、2008-04-01。

出典

  1. ^ Drug Bank
  2. ^ 脂肪酸の不飽和化と鎖長延長、木村 修一、油化学、1971年 20巻 10号 p. 670-677, doi:10.5650/jos1956.20.670
  3. ^ 岡田斉、萩谷久美子、石原俊一ほか「Omega-3多価不飽和脂肪酸の摂取とうつを中心とした精神的健康との関連性について探索的検討-最近の研究動向のレビューを中心に」『人間科学研究』第30巻、2008年、 87–96。
  4. ^ 蒲原聖可 『サプリメント事典』平凡社、2004年、194–195頁。ISBN 978-4582127263 
  5. ^ DHA・EPA - 疑似科学とされるものの科学性評定サイト”. 明治大学科学コミュニケーション研究所. 2017年9月2日閲覧。
  6. ^ Yokoyama, M.; Origasa, H.; Matsuzaki, M. et al. (2007). “Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELIS): a randomised open-label, blinded endpoint analysis”. Lancet 369 (9567): 1090–1098. doi:10.1016/S0140-6736(07)60527-3. PMID 17398308. 
  7. ^ “Eicosapentaenoic acid inhibits oxidation of high density lipoprotein particles in a manner distinct from docosahexaenoic acid”. Biochemical and Biophysical Research Communications 496 (2). (2018). doi:10.1016/j.bbrc.2018.01.062. 
  8. ^ “Administration of high dose eicosapentaenoic acid enhances anti-inflammatory properties of high-density lipoprotein in Japanese patients with dyslipidemia”. Atherosclerosis 237 (4). (2014). doi:10.1016/j.atherosclerosis.2014.10.011. PMID 25463091. 
  9. ^ DHA・EPA」- 疑似科学とされるものの科学性評定サイト
  10. ^ EPAが注目された理由」 - 持田製薬「エパデール」
  11. ^ グリーンランド人の急性心筋梗塞の発症に関する仮説
  12. ^ Quinn, J. F.; Raman, R.; Thomas, R. G. et al. (November 2010). “Docosahexaenoic acid supplementation and cognitive decline in Alzheimer disease: a randomized trial”. JAMA 304 (17): 1903–1911. doi:10.1001/jama.2010.1510. PMC 3259852. PMID 21045096. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3259852/. 
  13. ^ Ishiguro, J.; Tada, T.; Ogihara, T.; Ohzawa, N.; Murakami, K.; Kosuzume, H. (1988). “Metabolic Disposition of Ethyl Eicosapentaenoate and Its Metabolites in Rats and Dogs”. Journal of pharmacobio-dynamics 11 (4): 251–261. NAID 110003636862. 
  14. ^ 高橋尚子、ラットにおける n-3 および n-6 系多価不飽和脂肪酸の生理作用に関する研究((修士論文) 2008年
  15. ^ 健全な神経発達の為に新生児の血液脳関門がもつ機能性脂質供給ルート解明と投与設計」 研究期間2008年度~2009年度 (科学研究費助成事業データベース)
  16. ^ a b ケトン体合成”. 講義資料. 福岡大学機能生物化学研究室. 2011年10月18日閲覧。
  17. ^ 太田成男 「体が若くなる技術」Q&A Q4
  18. ^ Jess Halliday (12/01/2007). Water 4 to introduce algae DHA/EPA as food ingredient. Retrieved on 2007-02-09.
  19. ^ Simopoulos, Artemis P (2002). “Omega-3 fatty acids in wild plants, nuts and seeds”. Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition 11 (s6): S163–S173. doi:10.1046/j.1440-6047.11.s.6.5.x. ISSN 0964-7058. 


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