実用性
実用
実用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 06:45 UTC 版)
江戸時代から、本当に剣術に対抗できるのか、存在意義はあるのか、といった論争がある。剣術は表芸であり居合は隠し芸・秘術であったという伝承があるほか、難易度の点から剣術や柔術を一定以上習得していなければ居合を習うことができなかった場合もあったと言われている(逆に「居合は剣術の根本であるから剣術よりも先に習え」と記すような伝書もある)。また一方では、剣術流儀・総合武術における単なる付属武芸(いわゆる外物・別伝)として扱われていた場合も多々ある。「身に付けないよりは身に付けておいたほうが良い」と言ったものから、「居合は近間の弓鉄砲(のように恐ろしいもの)である」といった高い評価まで各種の論が伝書類に散見されるが、自身の流儀が重んじる立場から他武芸を批判する、あるいは本末を論ずる伝書類は居合に限らず存在しているため、その点については留意する必要がある。 居合と対峙する者からすると、相手(居合術者)の抜刀前の刀身は鞘に収まった状態で相手の後方に伸びており、加えて一般的に鞘離れの直前あるいはその瞬間まで刃の軌道が読めないことから、居合の脅威は、間合(距離感)と太刀筋が読めないところにあるという見方があるほか、大刀の片手操作により、小太刀や脇差よりも離れた距離まで攻撃できるところに居合の脅威がある、という見方もある(居合が「近間の弓鉄砲」と言われる所以)。 剣術家と居合術家の対決を描いた書物については、その信憑性については定かではないものの、『撃剣叢談』(1790年刊)に記された水鴎流と堤宝山流の対決が著名である(詳細は水鴎流#撃剣叢談を参照)。この例では、剣術家が対決について「何の難きことか之あらん。抜かしめて勝つなり」と言い放っており、このように居合は刀を抜かせる、すなわち初太刀を外すことで、もはや恐るるに足らないものとするような内容を記す文献は、実際に少なくない。これは剣術家側からの視点に限らず、居合流派の伝書にも以下のように同様の記述が見られる。 元来和田氏の本意は兵法の達人にも兵法にさせずして勝を取る也(中略)兵法の上手と立合ひ、兵法の場へ遣り立てては、居合にては決して勝れずと云は正道也 —新田宮流『所存之巻』 それ故に居合は「生死を鞘離れの一瞬にかける」とも言われ、刀を抜く気配を見せず、また抜いたら一撃のもとに、剣術における両手の斬撃に勝るとも劣らない斬撃力を以って相手を倒さなければならないとされている。あるいは、先に出した『撃剣叢談』の事例を逆の観点から捉えると、むしろ「刀を抜かせなければ危ない」と考えられていたわけであり、それは居合の実用性を示す証拠ともなる。なお、「剣術家が居合と立ち合う場合は、相手(居合術家)の鯉口に切先を付けよ、刀が抜け出てくる鯉口を押さえよ」と記す剣術流派の伝書や、「柄を取られては刀は抜けなくなるから、まず柄を取られない様にせよ」と記す居合流派の伝書もあり、実戦に至っては居合に刀を抜かせまいとするような攻防も見られていたようである。 また、 先師曰、剣術を得たりとも、抜刀を不レ知ば、刀あれども持べき手なきが如し。〈中略〉譬ば、剣術は身体なり、抜刀は手足なり、其身体を捨て、手足のみにては勝べからず —『古今武芸得失論』 とされ、 居合と剣術とは本来表裏一体で一つのものだという捉え方もある。これは近世以降、武芸が専門化・細分化していくなかで、共に刀剣を扱う武術である両者の関係が見直される必要があったということができる。前述したように、剣術では木刀や竹刀を使って対人的攻防を学び、居合においては真剣の扱いを学ぶという、両者に明確な役割が与えられる場合もあった。近代以降も同様にして、中山博道を中心とする剣道界において、竹刀を使う剣道のみでは本当の刀術は学べないという考え方から、戦後紙本栄一によって「剣居一体」という言葉が提唱され、剣道人は日本刀を扱う居合を並行して学ぶべきである、とされた。 幕末の日本に滞在したデンマーク人のエドゥアルド・スエンソンは、 日本刀を完璧に扱える日本人は、刀を抜いたその動作から一気に斬りつけ、相手がその動きを一瞬の間に気づいて避けない限り、敵の頭を二つに両断することができると言われている。当然のことながらこの武器は極度に危険な物と見なされ、刀を抜きそうな素振りを見せた時にはその場で直ちにそのサムライを殺しても正当防衛と認められる。一瞬でもためらえば、自分の方が犠牲になるのは明白だからである —『江戸幕末滞在記』 と記しており、居合の技術は当時恐れられていたという。実際、生麦事件における奈良原喜左衛門らのチャールス・リチャードソンへの初太刀や追い討ちは抜き打ちであったほか、幕末の四大人斬りのうち、河上彦斎と桐野利秋の二人が居合の名手であったとされることから、居合は暗殺術としても使用されていたと言われる。また福沢諭吉の著書には、幕末当時浪人による辻斬りが横行しており、福澤自身も夜道を歩いているときに、前方から大男が殺気を放って近づいてきたときのことを いよいよとなれば兼て少し居合の心得もあるから、如何して呉れようか。〈中略〉愈よ先方が抜掛れば背に腹は換えられぬ。此方も抜て先を取らねばならん —『福翁自伝』 と、両者互いに居合の機会をうかがう探り合いの状態であったと記している(なおこの出来事は結局両者の物怖じから、すれ違いざまにお互い一目散に逃げたという笑い話になっている)。 ほかにも薩摩藩に伝わるところによると、 殊に薩摩藩士は他藩に勝れて居合の術を習ふ事の流行せしより最も辻斬の妙を極め當時薩摩の辻斬と云へば劔道を心得たる者さへ怖れたる程なり(中略)劔道手練の者と雖も歩みながら人を斬る事は非常の難事にして不意に行人を斬らんとするには己先づ立留まり軆を構へて而る後に刀を抜かざるべからず、然るに薩摩人は居合の一流として歩みながら刀を抜くことに妙を得たれば人とすれ違ひざま一刀に斬放し置き忽ち刀を納めて悠々と歩み去る故斬らるゝもの殆ど避くるの隙無く、且つ之を捕らへんとしても容易に物色し難き事情あり —『西郷隆盛一代記:繪入通俗(甲)』 とある。 このように、不意打ちとしての居合の実用性の高さを示す事例は多数見られる。
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実用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 15:36 UTC 版)
2008年7月にアルトマンは、Z値に基づいて5年以内のGMとフォードの倒産確率は46%程度との見解を示し、それは2009年に入って現実に近づいた。アルトマンはそれ以前にも米国の航空会社の倒産予測を的中させている。 SAF2002ではさらに的確な予測を行った例がある。 1999年の旧SAFモデルでは、倒産企業との比較のために選ばれた1996年度の優良企業として選定した企業の中でソニーと日立だけがなぜかSAF値が芳しいものではなかった。これは当初、SAF値が倒産判別のためのモデルであり、優良企業に対しては若干の問題があるものと認識されたが、現実には、1999年に日立は赤字企業に転落し、ソニーもまもなく業績不振をささやかれるようになった。 SAF2002での分析においては、2005年におけるトヨタ自動車は、優良企業ベスト100にも入らなかった。これも当初は、当時の経済情勢から考えて日本の企業には優良企業がたくさんあるのだという解釈がなされたが、2008年に同社は赤字に転落した。 これらの結果から判断すれば、SAF2002は企業格付けにも十分な実効性のあるモデルであると考えられる。なお、ネット上の多くの投資サイトや、学術論文において引用されているだけでなく、財務省財務総合政策研究所研究員によるディスカッションレポート等にも引用されている。 なお、SAF2002モデルが当初開発された2000年から直近の2016年までの間のSAF値の閾値の全格付けの変動については、新刊本に明細が記載されている。 SAF2002に基づく格付け基準は以下のように定義されている。 S&P 格付けSAF格付けSAF2002AAA AA 1.53900 以上 AA+ A 1.53900未満~1.18717以上 AA AA- A+ BB 1.18717未満~0.75261以上 A A- BBB+ B 0.752611未満~0.41490以上 BBB BBB- C 0.41490 未満
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実用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/26 17:59 UTC 版)
アイオロスの球が古代に「エンジン」として実用に供されたかどうかは不明である。ヘロンの図に描かれているのは単独の装置であり、おそらく「見世物」を意図したものと思われる。これは Pneumatica にある他の装置も同じである。 一方ウィトルウィウスは、水の物理的特性を示す目的でアイオロスの球を使っている。彼はアイオロスの球について次のように記している。 「 … 天の法則に潜む神の真理を発見するための科学的発明である。 」 そして、装置の構造を説明した後(上掲)、次のように結論付けている。 「 … したがって、このちょっとした短い実験で、我々は万能で素晴らしい天の法則と風の性質を理解し判断することができるかもしれない。 」
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実用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/21 09:22 UTC 版)
クリステは、上述の反応が起こる表面を大きく増やす。もしこれがなければ、内膜は回転楕円体の形で、反応速度は大きく低下していたはずである。従って、クリステはミトコンドリアの機能の効率を向上させている。 数学モデルによると、ミトコンドリア内のクリステの光学特性は、組織の中の光の伝搬に寄与していることが示唆された。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/30 05:18 UTC 版)
データベースとの連携が際立って容易であり、ODBCでMicrosoft Access、SQL Server、Oracleなどのデータベースを相手に、データの取得・更新・削除の機能を有している。 データベース連携プログラムの構築の容易さだけでなく、データの取得スピード自体もVBAで作成した同機能よりもはるかに速く、データベース連携面でVBAが優位性を示せる側面は皆無といえる。 また、Excelシート上のテーブルを相手にレコードの更新・削除を行う機能も用意されている。これにより、小規模でローカルなマスタはExcelBook上に持たせることも選択肢となりうる。 豊富なExcel機能(関数、条件付書式、入力規則、ピボットテーブル、グラフ等)をそのまま利用できるため、応用範囲は非常に広く、また、プログラムの基本処理となる順次処理・分岐処理・繰り返し処理の機能が備わっているため、業務アプリケーションの開発環境としては高い実用性を有する。
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実用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/08 05:10 UTC 版)
「アルティマ・スポーツ・アルティマRS」の記事における「実用性」の解説
アルティマ・スポーツ社はこの車を用途が広いスポーツカーとしており、旅行するのにも理想としている。 レーシーな車ではあるが、油圧式のリフトアップシステム、トランク、エアコン、ナビゲーション、バックカメラ、パーキングセンサーがあり、実用的で公道でも走ることは可能とされている。
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実用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/09 07:51 UTC 版)
鼻眼鏡の流行していた当時から、レンズを眼の前に固定する手段として鼻眼鏡は耳掛眼鏡ほど実用的でないことが知られていた。鼻眼鏡の長所として当時言われていたことは、掛け外しの手軽さ、見た目が良く洒落ていること、外見を極力変えずに視力を矯正できることであった。短所として指摘されていたことは、長時間の装用が耳掛眼鏡ほど快適になりがたいこと、顔つきによっては掛けられないこと、そして光学上の問題点であった。19世紀末にはすでに近視・遠視・老視のみならず乱視や斜位の矯正法も知られていたが、乱視や斜位の矯正では処方どおりの角度でレンズを眼前に固定することが求められるため、レンズが回転してしまいやすい鼻眼鏡はこれらの矯正に適さないことが指摘されていた。レンズが回転しやすい短所は、C-ブリッジ型の、ブリッジ自体がバネを兼ねる構造によるものであり、それを解消するためにバー・スプリング型を始めとするブリッジとバネを分離した形式が作られたが、重く不恰好であることが嫌われてなかなか一般化しなかった。鼻の上の落ち着きやすいところに置いただけではレンズと眼との間隔が正しくなるとは限らないことも光学上の問題点として指摘され、当初レンズと同一平面上にあった鼻当てを後方に片寄せたオフセット・ガードも工夫された。 19世紀末の書籍では、プリズムが不要で乱視もないか軽い人が適切に調整されたオフセット・ガードつきのものを掛けるならばとの条件つきで、縁無しの鼻眼鏡がもっとも「現代的」で端麗な眼鏡として推薦されていた。ガードによって引っ張ることで当時手術の難しかった蒙古ひだを「除去(remove)」することが可能だとする記述も見られる。1921年に眼科医フランク・G・マーフィーも、耳掛け眼鏡をかけると鼻眼鏡より装用者が老けて見えるとし、その理由を耳掛け眼鏡のテンプルが目尻のしわに似るからだとした。
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実用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/16 02:39 UTC 版)
このアルゴリズムの様々な実装があり、大きなパフォーマンスの違いがある。あるデータセットに対して、最も早いアルゴリズムでは 1.4 秒で終わるが、最も遅いものでは 13803 秒かかる。この差異は実装の質、言語、コンパイラの違い、またアクセラレーションのためのインデックス(索引)の使用による。 Apache_Commons Math は 2 次のオーダーで動作するアルゴリズムの Java 実装を含む。 ELKI(英語版) はDBSCAN、GDBSCAN とその変種、の実装を提供している。この実装はほぼ 2 次の計算オーダーのための様々なインデックス(索引)構造を使用できる。また、任意の距離関数および任意のデータ型をサポートしている。しかし、小規模データに関する低レベルの最適化(および特殊化)実装が性能を上回るかもしれない。 R は fpc パッケージに DBSCAN を含み、距離行列を介した任意の距離関数をサポートしている。しかし、インデックス(索引)のサポートをしていない。(それゆえ、2 次の計算オーダーおよびメモリ消費の計算複雑性を持つ。) また、R インタープリタのため、かなり遅い。高速バージョンが kd木 を用いた C++ で実装されており、dbscan パッケージにある。 Scikit-learn は、任意のミンコフスキー距離に対して、DBSCAN の Python 実装を含む。これはkd木およびen:Ball_treeを用いて高速化させることができるが、最悪な場合における 2 次オーダーのメモリ使用量となる。HDBSCAN* アルゴリズム が github で提供されている。 SPMF は kd木をサポート(ただしユークリッド距離のみ)したDBSCAN アルゴリズムの GPL-V3 Java 実装を提供している。 Weka は 2 次オーダーの計算時間および線形メモリ使用量で動作するDBSCAN の基本的な実装を(最新バージョンのオプショナルパッケージとして)含む。
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実用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 08:19 UTC 版)
現実の翻訳は互いの言語の関係によっても大きく異なる。自然言語はそれぞれ孤立して存在するものではなく、多かれ少なかれ互いに影響し合っている。特に共通の歴史が長い言語同士では、文法や語彙に共通性、あるいは共通の起源を多く持つことがある。そのような場合、極端に言えば単語を置き換えるだけでもある程度のレベルの翻訳が可能であるから、機械翻訳もより容易い。 だいたいの意味を知るための概訳については、フランス語、スペイン語、イタリア語などインド・ヨーロッパ語族ロマンス語系諸語間の自動翻訳は比較的順当であり、英語とロマンス語系あるいはゲルマン語系言語との間の自動翻訳も実用レベルに達しているといえる。日本語からの翻訳の場合、実用レベルにあるのは朝鮮語との相互翻訳である。日本語と朝鮮語は膠着語であるという文法的共通性や漢語からの借用語などが多く、単語の置き換え以外にはあまり複雑な処理を必要としない。このため、「GoKorea」「KJCLUB」などの自動翻訳掲示板なども存在する。 日本語の場合は助詞や同音異義語が多数存在し、主語の省略も行われる。このため、形態素解析の段階で解析誤りが発生し、推測しなければならない情報も数多く存在する。一般に英日翻訳に比べて日英翻訳の能力は低い段階にある。 翻訳支援の場合、特定の分野の翻訳に適したユーザー辞書を作成することにより、翻訳ソフトの品質は大幅に向上する。だが一定規模の企業・組織ユーザー以外の、一般ユーザーによる小規模な利用シナリオでは、ユーザー辞書の効果よりも辞書の作成にかかる時間・労力のほうが大きい。その理由には、辞書作成に技能を要する、ユーザー辞書のコンテンツがない、辞書の相互利用のためのインフラがない、翻訳の量が少ない(規模が少ない・頻度が少ない)といった理由が挙げられる。これらの問題を解決するために、AAMT(アジア太平洋機械翻訳協会)がユーザー辞書を共有するための用語集仕様であるUPFを策定した。その後UPFの検討は中止され、2006年に後継の仕様であるUTXの策定が開始され、2013年現在ではバージョン1.11が公開されている。
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実用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 05:39 UTC 版)
「メッサーシュミット Me163」の記事における「実用性」の解説
連合軍はMe 163の驚異的な上昇力と高速に当初は驚愕したものの、航続距離が極端に短い事が判明し、同機が配備されていた飛行場を避けて通るようになった。こうしてMe 163は会敵することも出来なくなった。飛行場を移そうにも、Me 163は高温の燃焼ガスを噴出するため滑走路はその対策を施したものでなければならず、燃料と酸化剤も特別の保管施設が必要なため、移動は困難であった。また、その燃料と酸化剤は爆発性と腐食性が極めて強く、搭乗員や整備員は非戦闘時も常に生命の危険にさらされていた(Me 163のパイロットが不時着そのものでは無傷だったが、燃料漏れが発生して強い腐食性を持つ推進剤を浴び、死傷した例もある)。 ロケットエンジンの信頼性も低く、爆発や故障による不時着や墜落が続発した。空中戦の際には急角度上昇から水平飛行に移る際の機動に非常に気を使わないと、配管内の燃料に懸かる加速度の影響で燃料の供給が途絶して、ロケットエンジンが失火することがあり、また接敵できても敵機との相対速度差があまりにも大きいため射撃のタイミングを捉えるのが難しいと言う欠点があった。更に、エンジンの燃焼時間が短いため一度攻撃が失敗すると再攻撃は困難で、燃料を使い切った後のMe 163は加速も上昇もできない単なるグライダーに過ぎないため、ダイブで振り切れる高高度滑空中はともかく、一旦着陸態勢に入ると護衛戦闘機の好餌となった。 機体下部には着脱式の主輪が装着され、これは重量と空気抵抗を軽減させるため離陸後に投下され、着陸時には収納されていた橇(そり)で滑走しつつ着陸する方式となっていたが、この橇は細く絞った機体下部に収納する都合上幅が狭いために接地時の安定性が低く、着陸時にバランスを崩して滑走路に激突する事故が多かった。さらに着陸後は自力で移動・避退できないため、対地攻撃の絶好の標的とされた。 しかしながら搭乗員たちはその高速飛行性能を極めて高く評価し、上記の致命的な諸欠陥さえも「悪女の魅力」とみなして本機を愛好した。
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