1960s
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 09:47 UTC 版)
1960年代になると絵画ではない表現が多く見られるようになる。”政治的なイデオロギーからの逸脱”とは異なる概念的なアートや、ハプニング、社会関与など、事象を取り扱うムーブメントも勃興してくる。世界的な社会情勢として、反戦運動、女性解放運動、LSDを使った平和を訴えるフラワーパワージェネレーションなどの市民運動が盛んな時代。 抽象表現 ミニマリズム(Minimalism) 抽象表現主義に対する運動として1960年から70年代初頭にアメリカで始まった視覚芸術の動向。ファッションや音楽とも関係する。ポスト・ミニマリズム(Postminimalism) 1960年代末から現われた彫刻の動向。ミニマリズムの作品で多用された堅い工業用素材に代わり、素材の可塑性、重力、時間的プロセスなどに焦点が当てられた BMPT パリに拠点をおくミニマリズムのグループ ライト・アンド・スペース(Light and Space) 1960年代に南カリフォルニアで始まったエンジニアリングと航空宇宙産業の最新技術を組み込んだ視覚芸術の運動。ジェームス・タレルなどが関わり、ミニマリズムの一面も持つ アブストラクト・イメージズ(Abstract Imagists) 1961年にグッゲンハイム美術館で開催された展覧会「American Abstract Expressionists and Imagists」から始まった運動 ポスト・ペインタリー・アブストラクション(ost-painterly Abstraction) カラーフィールド(Color field) リリカル・アブストラクション(Lyrical Abstraction) (American version) ハード・エッジ(Hard-edge painting) 幾何学模様などで、差の激しい色を使った色彩同士のエッジを際立たせた絵画の動向。1959年、批評家J・ラングスナーが「四人の抽象古典主義者」展で初めて用いた。 具象表現 資本主義リアリズム(Capitalist realism) 1960年代初頭にドイツのデュッセルドルフの学生だった、シグマー・ポルケやゲルハルト・リヒターたちが作った語で、その名を使った展覧会などがあるが、活動期間は短い。アメリカの資本主義と消費主義の西ドイツへの批判的考察に基づき、中産階級の価値観と願望に疑問をなげかける表現活動。 シカゴ・イメージズ(Chicago Imagists) シカゴ派(Chicano art movement) アメリカン・フィギュラティヴ・エクスプレッショニズム(American Figurative Expressionism) ボストンから始まった主に絵画における比喩的な表現主義 ベイエリア・フィギュラティブ・ムーブメント(Bay Area Figurative Movement) 抽象表現主義からの反動としてサンフランシスコをはじめとする西海岸でうまれた運動 ヌーヴォー・レアリスム(Nouveau Réalisme) ニューヨーク派(New York School) プロジェクト プロセス・アート(Process Art) 作品よりもそれが起こりうるプロセスを強調した、1960年代後半から1970年代に多くみられた表現の動向 アート・インターベンション(Art intervention) 1960年代から始まったコンセプチュアル・アートを背景とした、アートに直接介入するパフォーマンスの形態 ネオ・ダダ ダダイズムから影響をうけた1960年代から1970年代初頭にアメリカやヨーロッパ、日本などにあらわれた、抽象表現主義や伝統的な芸術に対するような総合芸術。ポップ・アート(Pop Art) フルクサス(Fluxus) 1960年代から1970年代の芸術家、作曲家、デザイナー、詩人たちの国際的なコミュニティ。ネオ・ダダに影響を受けなおかつプロセス・アートの側面が強い。 美術家共闘会議(美共闘) 日本において、1969年に、美術の制度性を問い直す団体として立ち上がった。議長は、堀浩哉 コンセプチュアル・アート(Conceptual art) ソーシャリー・エンゲージド・アート 1960年代からみられる社会関与型のコンセプチャルアートの一種。ハプニグやフェミニズム運動などとも関連しながら形成された。 アート・アンド・ランゲージ (Art & Language) イギリスのコンセプチュアル・アーティストたちのグループ システム・アート(Systems art) コンセプチュアル・アートの一種。 ハイ・レッド・センター 日本において、1963年に社会に対して公共性を偽装しながら介入することを志向して結成されたアーティストグループ ニューメディア ヴィデオ・アート(Video art) ビデオテープや電磁記録媒体などを使う、映画とは異なる映像表現。1963年にナム・ジュン・パイクが西ドイツで初期の作品を発表。 コンピューター・アート(Computer art) アスキーアート(Ascii Art) 1963年のASCII標準で定義された文字を使用したグラフィックであるが、テキストベースのビジュアル・アート全般をさす。コンピュータアートのパイオニアであるケン・ノウルトンによる1966年の作品が初期だが、1970年代後半から1980年代前半の電子掲示板システムで、匿名による使用が一般的。 その他 パフォーマンス・アート(Performance art) 1960年代にヴィト・アコンチ(Vito Acconci)やヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)、フルクサスなどが始めた、アーティスト本人または依頼した身体を媒体とした芸術表現。 キネティック・アート(Kinetic art) 動力を使わずに動く、また動いているように見える映画やヴィデオを含まない視覚芸術。先駆的な例として1910-20年代にマルセル・デュシャンらの制作もある。オプ・アート 錯視を利用し、動いているように見える視覚芸術。命名は64年の『タイム』誌上の匿名記事 ゼロ(Zero) 1957年にデュッセルドルフで結成さた、光とモーションを利用した表現を使うアーティストグループ ソフト・スカルプチュア(Soft sculpture) 1960年代からみられる柔らかい素材を用いた彫刻。初期に、草間彌生やクレス・オルデンバーグがNYのギャラリーで発表している サイケデリック・アート(Psychedelic art) 1960年代に一般化したLSDなどの向精神薬を使用し、その幻覚を利用して精神の内面を表出させた視覚芸術。特にアメリカのカウンターカルチャーに広く受け入れられた。 もの派 1960年代末から70年代初頭にかけて現われた日本の美術の動向。自然素材や未加工の素材をそのまま使用することで「もの」との関係を問い直した。李禹煥が理論の中心を築いた。 パブリックアート(Plop Art) ニューディール制作で多くのアート作品が作られたように、以前からプロパガンダとして多くのパブリックアートは制作されているが、彫刻の概念の更新や、サイトや制度批判的な視点から、制作は国家からその地域へのものへと変化した。
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