1960–1969
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「量子力学の年表」の記事における「1960–1969」の解説
1961 – クラウス・イェンソンによる電子を使った最初の二重スリット実験。 1961 – アナトール・アブラガムによる核磁気共鳴の量子論についての教科書「The Principles of Nuclear Magnetism」が出版 1961 – ジュリアン・シュウィンガーが発展させた電弱相互作用モデルをシェルドン・グラショーが拡張。短距離中性カレントZ_oを含めた。 1962 – レオン・レーダーマン、メルヴィン・シュワーツ、ジャック・シュタインバーガーが2つ以上のニュートリノが存在することを示す。 1962 – マレー・ゲルマンとユヴァル・ネーマンがそれぞれ独立にゲルマンが八道説と呼んだシステムに従ってハドロンを分類。1964年のクォークモデルに繋がる。 1962 – ジェフリー・ゴールドストーン、南部陽一郎、アブドゥッサラーム、スティーヴン・ワインバーグが、現在ではゴールドストーンの定理として知られるものを発展。 1962 to 1973 – ブライアン・ジョゼフソンが超伝導電流のトンネル効果を予言。1964年には結合した超伝導体に理論を適用。後にベル研究所で実験的に確認された。1973年にノーベル物理学賞。 1963 – ユージン・ウィグナーにノーベル物理学賞。量子力学における対称性と原子核構造の基礎的研究の基礎を築いたことに対して。 1963 – マリア・ゲッパート=メイヤー、ヨハネス・ハンス・イェンゼンにノーベル物理学賞。原子核の殻構造に関する発見に対して。 1963 – ニコラ・カビボが数学的な行列を導入し、クォークの第一、第二世代を予言。 1964 – マレー・ゲルマンとジョージ・ツワイクが独立にハドロンのクォークモデルを提案。アップ、ダウン、ストレンジと呼ばれるクォークが予言された。ゲルマンはジェイムズ・ジョイスのフィネガンズ・ウェイクからクォークと名付けた。 1964 – フランソワ・アングレール、Robert Brout、ピーター・ヒッグス、Gerald Guralnik、C. R. Hagen、Tom Kibbleが、現在ではヒッグス場と呼ばれる量子場が空間に広がっており、それと相互作用するとヒッグス機構により基本的な亜原子粒子に質量を与えると仮説した。ヒッグス場はクォークやレプトンに質量を与えると仮説するが、その質量は陽子や中性子などその他の亜原子粒子の質量のごく一部にしか過ぎない。この場合、クォーク同士を繋ぐグルーオンが質量の大部分を与える。これらの結果は独立した3つのグループから得られた。フランソワ・アングレールとRobert Broutのグループ、フィリップ・アンダーソンのアイデアに基づくピーター・ヒッグスのグループ、Gerald Guralnik、C. R. Hagen、Tom Kibbleのグループである。 1964 – シェルドン・グラショーとJames Bjorkenがチャームクォークの存在を予言。 1964 – ジョン・スチュワート・ベルがベルの不等式を発表。アインシュタイン=ポドルスキー=ローゼンのパラドックスの欠陥を示し、局所的な隠れた変数理論では量子力学を再現できないことを証明した。 1964 – ニコライ・バソフ、アレクサンドル・プロホロフ、チャールズ・タウンズにノーベル物理学賞。レーザー、量子エレクトロニクス、メーザーに関する研究に対して。 1967 – スティーヴン・ワインバーグとアブドゥッサラームが SU(2) X U(1) 超対称性群を用いてヤン=ミルズ理論を記述した論文を出版。自発的対称性の破れによる弱い相互作用のW粒子の質量を導く。 1968 – スタンフォード大学SLAC国立加速器研究所は陽子がより小さい物質から構成されており、素粒子ではないことを深非弾性散乱実験で示した。当時はこの物質がクォークであるとすることに消極的であり、ファインマンが命名した「パートン」と呼ばれた。SLACで観測された物質は後にアップクォークとダウンクォークであると判明した。それでもなお「パートン」は、ハドロンの構成粒子(クォーク、反クォーク、グルーオン)の総称として用いられる。ストレンジクォークの存在は、SLACの散乱実験から間接的に正当化される。ゲルマンとツワイクの3クォークモデルに必要な構成粒子であるだけでなく、1947年に宇宙線から発見されたK中間子とパイ中間子に説明を与える。 1969 to 1977 – ネヴィル・モットとフィリップ・アンダーソンがガラスやアモルファス半導体など非結晶中の電子の量子論を発表。磁性体と無秩序系の電子構造の研究で1977年にノーベル賞を受賞。電子スイッチングとメモリーデバイスの発展に寄与した。同年ジョン・ヴァン・ヴレックも磁性体の電子の振る舞いの理解への貢献でノーベル賞を受賞。磁性の量子論と結晶場理論(金属錯体の化学結合)の基礎を築いた。 1969 and 1970 – Theodor V. Ionescu、Radu Pârvan、I.C. Baianuが縦磁場中の重水素ホットプラズマ中の電磁放射の量子増幅刺激を観測。ホットプラズマ中のイオンと結合した収束イオンビームによるラジオ波とマイクロ波の増幅コヒーレント放射の量子論を発表。 1970 – グラショー、John Iliopoulos、ルチャーノ・マイアーニがチャームクォークの存在を予言。その後、実験的に確認されノーベル賞を受賞。
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