藍州
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州牧:孫陵王(『はじまり』の約3年前に兵部尚書に昇格)、姜文仲(『紫闇』にて中央に異動)南部に位置する水の都。13の山脈と千年以上続く大河が走る。水路が張り巡らされ、移動手段は主に舟。陸路で藍州に入ろうとすると水路の場合より日程が3倍に延びるが、武を志す者は陸では弱いと言われることを嫌って馬を使うことが多い。藍家水軍の通り道を使うには高度な操舵技術を要し、州兵による監視ができない。つまり藍家関係者ならば関塞を通らず越境もできる。海賊水賊を除けば治安は良い。良質な塩産地と高度な製塩技術に恵まれ、塩の生産量は国内最高を誇る。国に流通する半分が藍州産で、その殆どが高級品。最高級のものは金属の金で取引される。新規に参入する場合は、組合から製塩権を得るか、既存の製塩場を買う必要があり、どちらにしても大金がかかる。藍家の取り締まりは厳しく、塩の横領は自殺行為といわれる。米なども栽培しており、藍家商人が隠蔽しているが、収穫高は紅州に追随する。農作業の折々に南栴檀の煮汁を散布する風習があり、雲霞や飛蝗の害は他州より少ない。長雨により収穫量が半減した。紫劉輝が手厚く救済した後は、文仲と藍家が大運河と堤を設計し、水害をよく防いでいる。藍州八珍味に「藍鴨の卵の塩漬け」「喉頭茸」がある。藍州人は独特の美しい発音を持つ。藍州人と紅州人は反りが合わない。 玉龍(ぎょくりゅう) 藍州の州都。石造りの家が水に浮かぶようにして並び、橋はどれをとっても国宝になりそうな細工と歴史を備える。水路が張り巡らされているにも関わらず、悪臭がしない。何十年も戦火を免れ、突き抜けるように明るく開放的な雰囲気。貴陽よりも栄える。モデルは烏鎮か。湖海城(こかいじょう) 藍本家の居城。表の本邸。縦横に堀や水路を巡らし、王城よりも強固な水の要塞。上から見ると水に浮かんでいるように見えることから、その名が付けられた。その絶景を詠う詩歌は千を超えるといわれる。 龍牙塩湖(りゅうがえんこ) 良質な塩の産地。内陸最大の塩湖。神器破壊による長雨で他の塩湖共々氾濫、農地の水没と塩害を引き起こした。 臥竜山脈(がりゅうさんみゃく) 玉龍より奥にある、人跡未踏の高峰。九彩江を擁する。九彩江(きゅうさいこう) 江と付くが、河川だけでなく臥竜山脈も含めた一帯を指す。玉龍からは通常3日、無茶をすれば半日で着く。万年雪を頂く12の山に108の湖沼が点在している。溶け出した土の影響で、湖水は翡翠色になっている。プランクトンなどは底の白土に吸われて、水底が見えるほど透明度が高い。同時に殆どの池に魚は棲んでいないが、湖の1つだけ、鱗のない魚が棲んでいる。 蒼玄と蒼遥姫が108の妖を宝鏡に封じたところ、耐えきれず割れた。遥姫が二胡を奏でると、鏡の破片は湖沼となって妖を封じたとの伝説が残る。縹家指定の神域で、12の山にはそれぞれ宝鏡が安置され、全部が割られない限りは封印を保てる。州府の支配が及ばない禁域で、古からの契約に則り藍家が管理する。昔からある村々を除けば、立ち入りには藍家の許可が要る。ここで犯罪が行われていても、藍家、縹家、州府何れも責を負わない。王が立ち入った場合、配下は手助けしてはいけないとの暗黙の掟がある。かつて足を踏み入れた王族の多くが死んだり、気が狂ったとされる。踏み込んだ者が行方不明になるので、州府も入り口に命が惜しければ回れ右との立て看板を立てたり、観光本では自殺名所と扱われている。 藍家直系と麓の村の人間はこの中でも迷わない。この地で藍龍蓮の名は特別な意味を持ち、雨を鎮めるなどできる。熊猫(パンダ)は九彩江の主と見做されている。藍鴨と喉頭茸はここにしか生息しない。神器破壊による長雨で濁流となり、かつての景観は見る影も無くなった。モデルは九寨溝か。竜眠山(りゅうみんざん) 楸瑛の足で丸1、2日登った高度にある高峰。麓に蒼湖と社がある。社は九彩江を守るもので、蒼玄の時代から基礎や骨組みは変わっていない。貴陽別邸よりも小さく質素で古ぼけた館だが、「盟約」により藍家当主は夏の間ここで過ごし、藍家の総本山と扱われる。藍家直系はここで過ごす内に高山病への耐性を付ける。 宝鏡山(ほうきょうさん) 竜眠山の隣の山。次の様なお伽話が残されている。「昔々、時の王が9人の息子による跡目争いに辟易して、宝鏡山に行って帰ってこいと命じた。6人は帰らず、3人は気がふれた。息子はもう1人居て、王からは引き留められたが宝鏡山に立ち入り、無事に帰って国は栄えた」。史実でも類似例が数多く残る。姜文仲は、王が兇手を使って息子達を始末、末息子だけは臣下の助けを得て名君になれたのではないかと推測し、縹家が王侯貴族を吟味する場として利用して来たとも確信している。鎮めの社(しずめのやしろ) 高標高に位置する急勾配で苔むした針葉樹林、108段の石段を抜けた先にある。仙洞宮を思わせる古く壮麗な造りで、そこそこの広さ。藍家が定期的に掃除、修繕をしている。縹家の巫女が非常駐で滞在する。近くに激流の滝や河もあり、舟で行き来できる。縹家に通じる「通路」がある。 外れの仕掛け扉から地下に続く階段を降りると、木の格子で遮られた座敷牢が並んでいる。最奥の間には離魂用の鏡があったが、黒狼に割られた。別に山の名の由来となった、妖が封印された宝鏡も奉斎されている。封印の要となる神体で、破壊されれば宝鏡山が吹き飛んでもおかしくないが、旺季派に割られ、社は崩壊し、長雨、ひいては水害、塩害も引き起こす。 蒼湖(そうこ) 竜眠山の麓にある湖。108の湖沼の中でもっとも標高が高い所にあり、長大な面積を誇る。朝夕には凪いで水面は鏡面のようになる。 彩八仙の池(さいはっせんのいけ) 九彩江にある湖沼の一つ。九彩江では唯一、旱魃でも枯れず、真冬でも枯れない為、現地人の命綱。これは九彩江の大いなる謎のひとつでもある。温泉が沸いているが、水深があり過ぎ、上流から雪解け水が流れ込んでいる為、水面では熱くない。 龍頭山脈(りゅうずさんみゃく) 藍州と紅州を隔てる山脈。紅邵可に言わせると、この山脈の標高が低ければ、紅藍両家は四六時中喧嘩してとっくに両家の家名は消えていた。 龍牙山脈(りゅうがさんみゃく) 近くの峠の旅籠に、紫劉輝らが泊まった。
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