神経 芽腫とは? わかりやすく解説

しんけいが‐しゅ【神経芽腫】

読み方:しんけいがしゅ

副腎交感神経節発生する腫瘍5歳以下の幼児発症することが多い。小児癌(しょうにがん)の一種1歳未満場合自然に消滅したり、手術化学療法によって治癒することが多い。神経芽細胞腫


神経芽細胞腫/神経芽腫 (しんけいがさいぼうしゅ/しんけいがしゅ)

主に乳幼児発生するがんで、現在は「神経芽腫」と呼びます副腎や、脊髄両脇にある交感神経節などから発生しサインとしては、おなかが大きくふくれる・おなかにしこりができる・腹痛胸痛などがあります抗がん剤手術放射線などで治療します。 なお、以前早期発見のために生後6~7か月赤ちゃん対象尿検査集団検査マススクリーニングが行われていました。けれど、この方法で「陽性病気疑いあり)」とされた子の中にはかなりの数で治療を必要としない子がいる(1歳以下でこの病気発見される場合自然に消えてしまうことがあります)こともわかってきました。そのため、全国規模の上検査2004平成16)年4月中止されています。

神経芽細胞腫、神経芽腫


神経芽腫

概念
腎臓の上にある副腎や,頸から骨盤までの脊椎両側にある 交感神経節 から発生する腫瘍で,小児にできる固形悪性腫瘍固まり作るがん)の中では脳腫瘍次に発生頻度の高い腫瘍です.悪性腫瘍ですが,自然に消失した化学療法によって成熟して良性腫瘍変化したりすることもあり,同じ神経芽腫であってもその性状それぞれ大きく異なっています.

神経芽腫

発生頻度部位
年間発生頻度は,米国500人以上,日本では200人以上と考えられています.小児全体としては,米国15歳以下の白人小児の場合100万人に8人程度発生頻度です.小児悪性腫瘍全体として発生数は約10%程度ですが,死亡原因としては15%を占めています.平均診断年齢22カ月で,95%は10歳以下で診断されます.発生部位は, 副腎35%)が最も多く続いて 後腹膜3035%), 後縦隔20%),頸部(1〜5%),骨盤2%となっています.

症状
痛み発症することが多く発生部位によって腹痛胸痛発生します腫瘤による症状として,お腹大きくなったりしこりをふれたりします.頸部腫瘍では,瞳孔狭くなったり顔面半分発汗がなかったりします全身症状として,不定発熱貧血食欲不振嘔吐腹痛下痢,やせ,高血圧などが見られます.転移巣による症状としては,眼球突出眼窩周囲鬱血,骨・関節部の疼痛四肢痛),跛行肝腫大皮下結節などがありますまた,日本では早期発見のため全ての赤ちゃん対象として生後ヶ月時に尿検査によるマススクリーニングが行われています.また,出生前胎児超音波診断されることも希にあります

腫瘍特徴
この腫瘍特徴は,悪性度各々腫瘍極端に異なっていることで,一歳未満で見つかる腫瘍多くおとなしく治りやすく,中には自然に消失してしまうこともありますが,一歳を過ぎて発見されるたちの悪い治りにくい腫瘍増えてきます.おとなしいうちに早期発見する目的マススクリーニングでは,予想以上に多く腫瘍が見つかっており,なおりやすい腫瘍ばかり見つかる傾向にあることがかえって問題視されています.
現在は,病気進行度病期),発生部位組織分類嶋田分類)に加え腫瘍性質把握するためにはがん遺伝子N-myc遺伝子など)の数の異常染色体異常神経の発達細胞増殖関わる 遺伝子 やその 受容体発現Trk A, テロメラーゼなど)によって腫瘍特徴判定しています.

診断
交感神経節細胞由来する腫瘍細胞のために,カテコールアミンという物質産生する性質があり,9割以上の患者さんで尿中VMA,HVAと呼ばれるカテコールアミン代謝産物がたくさ排泄されています.マススクリーニングではこの両者測定しています.単純X線検査で,3割の患者さんで腫瘍部位淡い石灰化認められます. 超音波検査CTMRI画像診断として有用で,骨転移巣の発見には,全身撮影骨シンチが行われています.骨髄穿刺は,骨髄転移調べるために行われます

治療
早期発見され腫瘍摘出可能な場合は,腫瘍摘出術を行いますマススクリーニング発見され場合は,条件選んで治療自然経過観察する方法試されています.
根治手術できない進行した腫瘍では,最初にまず腫瘍生検行って一部腫瘍細胞とりだし組織検査遺伝子検索行って腫瘍性状調べて有効な治療法選択しています.1985年全国統一治療プロトコール始まり,まず強力な多剤併用化学療法行い腫瘍縮小をはかり,可能であれば外科切除行います.現在では, 造血幹細胞移植用いたさらに強力な化学療法行われ治癒率を向上させる努力なされています.

治療の現状
年齢病期N-myc遺伝子の増幅がはっきりとした予後因子治りやすいか,治りにくいかの指標)で,その他に組織学的予後因子N-myc以外の遺伝子異常など,非常に細かく検討されています.良好な予後因子のみを保有する場合は,ほぼ100%に近い生存得られますが,転移伴い予後不良因子多く保有する場合は,5年生存率未だに50%をきっているのが現状です.


神経芽細胞腫

(神経 芽腫 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/22 04:50 UTC 版)

神経芽細胞腫(しんけいがさいぼうしゅ、neuroblastoma)は、小児がん組織型の一種。現在は神経芽腫と呼ばれる。小児がんにおいては白血病についで患者数が多い。神経堤細胞に由来する悪性腫瘍で、主に副腎髄質交感神経幹から発生する。副腎から発生する腫瘤として発見される。転移先として肝臓骨髄が多い。




「神経芽細胞腫」の続きの解説一覧

神経芽腫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/01 17:30 UTC 版)

副腎腫瘍」の記事における「神経芽腫」の解説

詳細は「神経芽腫」を参照 神経芽腫は、未熟な神経細胞神経前駆細胞一つ)に由来する極めて悪性度の高いがんである。小児がんの中で最も頻度の高い疾患のひとつであり、日本における診断時の年齢3歳以下が79%を占める。この腫瘍はときに診断時には遠隔転移伴っていることも多いが、その転移先が、肝臓皮膚骨髄に留まってい場合INSS分類病期IVS)、多く症例治療可能であるという点で他のがん大きく異なっている。典型的な副腎原発の神経芽腫は乳児では急速に増大する腹部腫瘍として認識されるが、幼児では限局的腫瘍発見される例は多くなく、病巣進展にともなう多彩な症状呈する。これに対し悪性度比較的低い腫瘍には、成熟度が高い神経細胞から構成される神経節細胞腫」や「神経節細胞腫」が挙げられる。神経芽腫では通常バニリルマンデル酸 (VMA) やホモバニリン酸 (HVA) といったカテコラミン代謝産物血中濃度上昇伴い血管作動性腸管ペプチド (VIP) の産生亢進による重篤下痢をきたしうる。治療は、病変限局している場合手術放射線適応となり、転移を伴う場合化学療法施行される

※この「神経芽腫」の解説は、「副腎腫瘍」の解説の一部です。
「神経芽腫」を含む「副腎腫瘍」の記事については、「副腎腫瘍」の概要を参照ください。

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