柳北国
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首都は朔州の芝草、王宮は芬華宮。劉王は助露峰、麒麟は劉麒。著名な法治国家であり、芳極国の先王である仲韃もこの国を範として法を整備したが、芳とは異なり民を直接取り締まる法律よりも、むしろ法が公正・厳格に施行されることを目的とした体制整備に重点が置かれていた。この体制が功を奏して、厳正な法治体制の下で安定した治世が120年間程続いていた。 しかし最近ではこれまでの法治体制を自ら崩すような政策が続き、地方にいくと公然と賄賂を要求する官吏が現れている。王と麒麟が健在で且つ法治体制の破綻も顕在化していない段階であるが、天候不順や虚海沿岸に妖魔が出没し始めるなど荒廃の兆しが現れ、政が荒れる前に国が荒れて沈もうとしており、巧国や戴国と同じように何か通常とは異なる事態が発生しているのではないかと危惧されている。国が傾きだしてからは犯罪件数が少しずつ増えており、国民の多くはこれを以って国の治安が悪くなったと不満の声を上げているが、それでもなお他国や劉王即位前と比べると犯罪件数は少ない。 主要な産業は林業と石材。鉱山や玉泉もある。石材が豊富なため、それを利用した地下室を持つ家が多く、地下室同士をつなげて地下街にしている街があり(天井(てんせい)という吹き抜けから明かりと空気を確保するため、雨が多い北東部では地下室は少ない)、地下街の方が地上より気温が安定していて風雪や妖魔の来襲を凌げるため地上より地下の方が賑やか。そのため、この国では建物に掛かる税金は地下室の広さで決められる。地下室で商売をすると更に税金を取られる。北東部以外では雨が少なく、いい茛が少ない。麦の出来は悪い。 現在の平均的な市民のひと月の収入は約五両。窃盗は原則として杖刑百打に徒刑九十日ほど。黥面を復活させる際に代わりとして大辟を禁じた。
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柳北国
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助露峰(じょ ろほう) 現在の劉王。法治国家を築いた賢君として治世も120余年に及ぶ。近年は施政に興味を失くしたかのように振舞うようになり、国も傾きつつある。即位前は、地元では評判はいいが、中央にあまり知られていない地方官だった。 劉麒(りゅうき) 柳国の麒麟。昇山者ではなかった現王を選ぶのに20年程かかった。 頑丘(がんきゅう) #黄海参照。 瑛庚(えいこう) 秋官司刑、現代日本で例えるなら裁判官に近い役職についている。位は下大夫。 感情を表に出す事が少なく、恵施との最初の結婚がうまくいかなかった。2番目の妻は清花(せいか)、その娘は李理(りり、8歳)。五十を目前に地方官から州官へ抜擢されて昇仙。その時恵施との子供のうち長男と長女は成人し結婚していた為地上に残り(その後、普通の人として先立たれた)、未成年だった次男だけを引き取って仙籍に入れた(後に次男は茅州の州官となった)。清花とは恵施が起こした詐欺事件の醜聞の責任を取って一度職を辞し、仙籍を離れて蟄居していた時に知り合い結婚。下野から3年後に国に呼び戻された。清花とは、外見においては彼女より二十歳は年上に見えるが、実年齢は八十近い開きがある。 蒲月(ほげつ) 天官宮卿補、位は中士。瑛庚の孫(瑛庚の次男の子)だが、李理からは実年齢の関係もあって「兄さま」と呼ばれ、慕われている。 如翕(じょきゅう) 典刑。罪人の罪を明らかにし、刑法に沿って罰を引き当てる。現代日本の検察官に似た役割を担う。外見は30代半ば。 率由(そつゆう) 司刺。三赦、三宥、三刺の法を司り、罪を減免する事情の有無を裁定する。現代日本の国選弁護人に似た役割を担う。 淵雅(えんが) 柳国の太子。かつて大司徒(地官長)を務め、現在は大司寇(秋官長)を務めている。一度決定したことは決して変えようとしない頑なな性格で、批判や撤回を受け付けずに押し通そうとする。そのため、時流によって変化するような政治に対応できず、結論ありきの、現実を無視した正論を唱えて、部下の障害となることも多い。 後述の狩獺の件について、瑛庚たちが「(淵雅の発言にも)一理ある」と感じているように、全くの無能というわけではないのだが、実は「『自分の意見』を持っていない(持つことができない)」というのが、彼に対する周囲の評である。父王が決定を下すまでは決して『自分の意見』を表明しようとせず、父王が下した決定を知ると、それが最初から『自分の意見』であったかのように振る舞うようになる。仮に父王が決定を変更した場合には、公私問わず父親である劉王を妥協せずに諌めようとするが、もともとが『自分の意見』では無い上、父親よりも才覚がないため、成功した例はなかった。これらの言動の根底には、名君と評される父王への対抗心がある様子。それ故に『劉王以上の劉王』と陰であだ名されている。 狩獺(しゅだつ) 姓名は何趣(かしゅ)で、狩獺は通称。三十前後。痩せぎすで中背。黒髪に黒目の特徴のない男。金銭目的の強盗殺人で道州、宿州、均州において裁かれた(先の2度は強盗致死だったが、均州では最初から強盗殺人目的であった)。均州で裁かれた後に徒刑六年を終えて市井へ放たれ、わずか半年で次の凶行に及び、以来ほぼ二年の間に十六件の事件を起こし二十三人の犠牲者を出した。 犯行は全て認めるが反省の意志は全く無く、自ら拘制よりは殺刑を望む。彼が起こした犯罪の残虐さから「大辟(死刑)を用いず」の柳国にありながら民の間から殺刑を望む声が高く、その声もあって司法官たちも彼の処罰の決定に難儀する。殺刑の停止と復活のどちらにも一理あって結論は出なかったが、最終的には狩獺に更生の可能性があるかどうかが焦点になる。そして結局、狩獺自身が更生を拒む態度であったため、殺刑の適応もやむを得ないとの決獄となる。 瑛庚は決獄に際して、狩獺にとっては反社会的行為をあえて行うことや、更生を拒むことが、何かに対する復讐であるらしいと感じている。実際、狩獺の言動からは、柳国の黥面制度を犯罪者への差別が目的だと考えている様子が見受けられる。 駿良(しゅんりょう) 首都・芝草に住む八歳の明るく元気な子供だった。芝草で小店を営む夫婦の息子。桃を買いに行く際に持っていた、わずか十二銭のために狩獺に扼殺された(殺害時、狩獺は懐に十分すぎるほどの大金を所持しており、殺してまで奪う必要はどこにも無かった)。狩獺を非難する人々の偶像となっている。 恵施(けいし) 瑛庚の最初の妻。王宮で60年近く暮らした後、「私は貴方が思うほど愚かじゃない」と最後に言い残して去っていった。瑛庚の支援を拒んで生活していたが、60年に渉る地上との隔絶で周囲との交流が途絶えており生活に困窮し、瑛庚の名前を出して金品を騙し取る詐欺を働き逮捕された。最初の徒刑を終えた後も、同様の犯行を幾度となく繰り返した。何度も同じ犯罪を繰り返したのは、自分を愚者扱いした瑛庚(と恵施は考えている)への復讐という意味合いがあった様子である。
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