八軒家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 09:21 UTC 版)
「銀の匙 Silver Spoon」の記事における「八軒家」の解説
八軒 慎吾(はちけん しんご) 声 - 小西克幸 勇吾の実兄。初期のカブを乗り回している。体格がよく、表情豊かに良く笑い、軽いノリで冗談をよく飛ばすなど弟の勇吾とは正反対で非常にマイペースな性格である。勇吾からは「話が通じない・噛み合わない」と言われ、その価値観の相違から敬遠されている。 勇吾が秀才タイプであるのに対し、慎吾は要領よく勉強をする所謂「天才」タイプであり東京大学入学も難無く突破した。勉強のコツをノートにまとめて残しているが、字は弟と対照的に乱筆気味。 勇吾と同じく味覚のセンスは良いが、料理のセンスは本人も自覚しているほど悪く、なぜかカップラーメンでさえ不味く作れてしまう。 父の家長としての威厳を尊重して東大に入学したが、自分の意思ではなかった進学(志望校)だったこともあり反発心を抱いていたため中退し、とあるラーメン屋の味に感銘を受けて主人(師匠)に弟子入りする。勇吾と再会した時には、師匠の「究極の食材を集めて来い」との命令で全国を旅している途中だった。将来はのれん分けして貰い、自分の店を持ちたいと考えている。 食材集めで北海道内を巡っている途中、勇吾と連絡が取れないことを心配した母の頼みで、エゾノー経由で御影牧場を訪れ、アルバイトに勤しむ弟と再会。以前に比べ、生き生きとした生活を送っている勇吾の近況を喜ばしく感じており、両親にもその旨を伝えて応援の意思を示している。その際、御影牧場の面々に自身の不味いラーメンを振る舞い、エゾノーでの経験で舌が肥えていた勇吾に大ダメージを与えた上、アキには「お兄さんはいつかラーメンで人を殺しそう」とまで言われている。御影牧場を去った後も旅費を稼ぐためエゾノー近辺に滞在しており、たびたび勇吾と鉢合わせては動揺させている。夏祭りの焼きそば屋台では食い気に逸るエゾノー生を自身の焼きそばで全滅させて以降、エゾノー生からは「殺人焼きそばの人」として知られている。 天真爛漫で能天気な言動が目立ち、それが原因で勇吾の神経を逆撫でさせることも多いが、慎吾自身も未だ自分を模索しており、時折その内心を吐露する場面がある。両親と距離を置きたがる勇吾に両親と向き合うようしばしば諭しているが、自身も父・数正と鉢合わせしたときに逃げ出すなど顔を合わせることを避けており、母・美沙子と連絡は取りつつも結婚するまで帰省は長くしていなかった。年末に稚内の宗谷岬近くで遭難していたところを助けられたロシア人・アレクサンドラと両親に無断で結婚し、勇吾の度肝を抜いた。結婚後は札幌のアパートに住み、妻の勧めでインターネットを通じての家庭教師をしており、ラーメン屋の開業資金も貯めるつもりでいる。勇吾により、2年の夏から南九条の家庭教師を依頼される。それでも3年の夏でオール2の結果に「人生初の挫折」をした。それでもどうにか彼女を卒業させる事には成功し、彼女の親戚一同や担任である旭山から悉く感謝を述べられている。 八軒 数正(はちけん かずまさ) 声 - 堀内賢雄 / 演 - 吹越満 八軒兄弟の父。職業はサラリーマンだが、普段から固く厳つい顔つきを崩さない上に鋭い目つきのせいもあって、動物からは畏怖され初対面の人(特に勇吾と同世代の学生)にはヤクザと勘違いされている(本人に自覚は無い)。己の本分・稼業を全うすることに重点を置き、息子たちに対する姿勢も「学生の本分は学業である」と一貫しており、学業以外のことに興味は基本的に示さない。その考えに背くように東大を中退した慎吾と、進学校からエゾノーへ入学した勇吾を、この時点では「碌でもない」と非難している。家族とあまり会話がなく、正論で立つ瀬もないまでに追い詰めてしまう傾向があるために、勇吾がイメージする父は背中を向けたまま冷徹な言葉を発する姿が多い。エゾノー祭の準備で忙殺されて過労で入院した勇吾にも心配とは思えない心無い言葉を投げつけ、見舞いに来た担任の桜木にも勇吾の過労は学業に専念させていなかった学校の管理体制が原因だと強く罵倒した。ただし表情や口調を省けば内容のほとんどは至極真っ当なものであり、多摩子以上に冷徹で徹底したリアリスト。 実はノイローゼからエゾノーに進んだころの勇吾に関心を向けなかったのは当時の勇吾を「(自分の考えを持たず)周囲に流されていただけ」と評価していたためであったと思われ、それまでの罵倒も「勇吾自身の思い・考え」を問う意図があったらしく、勇吾が一時帰省した際に自分に向かって反論して以降は「本気には本気で返す」という姿勢を見せている。その後の言動から勇吾が努力しかつ成果を出していることに対しては内心で好意的に評価している様子が伺えるが、小さな満足や安易な妥協に終わることを許さないのは相変わらずなので外見的には厳しい対応になってしまう。逆に言えば、それだけ(現在の)勇吾の将来性を高く評価しているということでもある。 慎吾の結婚については、言質はないものの息子夫婦の前で普段以上に表情が固くなっており、かなり戸惑っている様子。 豪志とは異なり、御影との仲は認めている模様で、彼女から「八軒君が口先だけの人じゃないって、私が証明します(八軒に勉強を見て貰い、大学に合格する事)」と約束され、エゾノーの卒業式にて再会した彼女から「八軒君の事、信じて上げて下さい」と言われるが、それに対して「もう信じているし、一人前だと思っている」と返す。 八軒 美沙子(はちけん みさこ) 声 - 今井由香 / 演 - 宮本裕子 八軒兄弟の母。二人とも顔立ちはどちらかというと母親似である。昔から子ども達のことを考えて手料理を作っており、それが結果として勇吾と慎吾の味覚センスを育んだことに繋がっている。 高校進学とともに寮生活に入り、夏休みも帰郷しなかった勇吾を気に掛けているが、強気で厳格な夫に逆らえず、気後れしている様を子どものころから見ている勇吾は、心配の言葉を綴った母からのメールも「今更」と素直に受け入れることが出来ず反発していた。夫や子ども達に気を回しすぎた言動が裏目に出ることもある。夫と結婚した理由は「笑顔が素敵だったから」とのこと。 久々に帰省し食事を共にした勇吾が夫に初めて反抗するなど成長した姿を目にし、彼の高校生活を何も知らなかったことにショックを受ける。その生活ぶりを知りたいとの思いが募りエゾノーを訪れ、カルチャーショックを受けながらも彼の成長ぶりを目にする。そして勇吾と和解を果たし、札幌へ戻っていった。その後は勇吾の夢を後押しする姿勢を取り、下宿にも賛成した。 慎吾の結婚については、言質はないものの息子夫婦の前で機嫌の良さそうな笑顔を見せており、歓迎している様子。 アレクサンドラ・ドロホヴィチ 慎吾と結婚したロシア出身の巨乳美女。日本語は片言だが堪能(勇吾には当初日本語が通じないロシア人と思われていた)。いつもニコニコした穏やかな女性だが、日本の常識を超えた発言で勇吾たちを唖然とさせる。慎吾より年上で、ソビエト連邦の崩壊とその後の混乱などで苦しい生活を味わってきたためか、慎吾との不安定な結婚生活にすら前向き。その上単行本のおまけページでは作中で唯一慎吾の料理を笑顔で食べるタフさを見せている(もっとも最初に食べた時は凍り付いていたが)。正月は八軒家で迎えている。幼少時のゴタゴタで満足に学校に通えなかった経験を持ち、慎吾にインターネット家庭教師を勧めた。馬好きで鞍なしの馬にも乗れ、同じく馬好きのアキとも意気投合する。勇吾が3年の冬(12月10日)に3,580グラムの子を出産、母子ともに健康。 八軒 麦(はちけん むぎ) 慎吾とアレクサンドラの子、女の子。目つきが祖父(数正)に似ており、勇吾からは「眠れるロシアの血よ!早く目覚めるのです!(母親似になってくれ)」と懇願されている。オマケページでは、叔父・勇吾から将来の夢について聞かれた際、「ロシア大統領」と答えている。
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