ニコンF2桁シリーズ
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「ニコンの銀塩一眼レフカメラ製品一覧」の記事における「ニコンF2桁シリーズ」の解説
レンズ内の距離環の示す距離の絶対値を信号として発生するDタイプレンズに対応したオートフォーカス一眼レフカメラシリーズ。距離情報をオートフォーカスの高速化や、露出やスピードライト制御の高精度化に利用している。またキヤノンやミノルタと比較して遅れていたオートフォーカスセンサーのワイドエリア化、クロスタイプ化、そして多点測距化も導入された。 ニコンF90(Nikon F90 ) - 被写体までの距離情報を用いる「3D測光」が初めて採用され、より測光精度が向上したモデル。専用コードで電子手帳と接続することによりカスタムセッティングの設定や撮影データの保存が可能(後にPCリンクキットも登場)。世界24地域の現地時間・夏時間に対応したデータバックも用意されており、本格的かつ高度に電子化されたパイオニア的モデルであった。ニコンF90S - 1992年(平成4年)9月発売、マルチコントロールバックを標準装備したもの。 ニコンF90D - 1992年(平成4年)9月発売。ワールドタイムデータバックを標準装備したもの。 ニコンF90 - 1993年(平成5年)2月発売。通常の裏蓋を備える。 ニコンF70(Nikon F70 、1994年(平成6年)11月発売) - ガイドナンバー14、照射角28mmのスピードライトを内蔵しており、ニコンF-601の後継機、ニコンF80の前身機である。情報表示用にアイコンを駆使したカラー表示の液晶ディスプレイが採用されており、設定状態などがアナログ感覚で読み取れるようになっている。ファンクションキーを押しながらダイヤルを回してカテゴリーを選択し、項目パラメータを変更というする方式は斬新な機構ではあったが、その後ニコンからは同様の機構のモデルは出ていない。マニュアルニッコールレンズが使える(非CPUのAiレンズで開放測光が行える)ことや、露出補正が1/3ステップであるなど、F80にない機能を持っている。旧機種ゆえ後に登場するVRニッコールの手振れ補正機能は使えず、Gタイプニッコールでは露出モードがプログラムとシャッター速度優先しか使えないが、AF-Sレンズが使えるのはニコンF-601にはない利点である。フィット感を持たせるため裏蓋に貼られたラバー素材が、製造から年月が過ぎて経年変化によるベタ付きを起こしている個体が多い。ニコンF70D(Nikon F70D ) - パノラマ撮影切替が内蔵されているモデル。 ニコンF50(Nikon F50 、1994年(平成6年)4月発売) - ニコンF-401シリーズに該当する普及機でシャッターやマニュアルレンズへの対応などは踏襲されオートフォーカスセンサーも従来のままであったが、Dタイプレンズに対応した3Dマルチパターン測光とイメージプログラムを採用している。ドットマトリクス液晶を採用し、ダイヤルを廃した斬新なユーザーインターフェイスを採用したが、初心者やファミリーユースにはあまり受け入れられなかった。また露出補正など中〜上級者がよく使う操作が煩雑になった。ニコンの一眼レフカメラで最初にパノラマ切替機構を採用したモデルでもある。 ニコンF90X(Nikon F90X 、1994年(平成6年)10月発売) - ニコンF90のマイナーチェンジモデル。オートフォーカス性能の向上、縦位置グリップ対応などにより信頼性の高いカメラとなった。ニコンF90X - 通常の裏蓋を備える。 ニコンF90XS - マルチコントロールバックを標準装備したもの。 ニコンF90XD - ワールドタイムデータバックを標準装備したもの。 ニコンF60(Nikon F60 、1998年(平成10年)8月発売) - ニコンF50の後継機でカメラとしてのスペックはほぼそのまま踏襲したが、デザインや操作性に関してはニコンF5の要素を取り入れた。また他社並みにモード切替ダイヤルを採用し、操作性は大幅に改善された。なおこのモデルまでは普及機クラスでもペンタプリズムには光学ガラス、マウント周りやフィルムガイドレール等カメラ内部の要所に金属部品が使用され、ニコンらしいポリシーが感じられる。全製品日本製。 ニコンF100(Nikon F100 、1998年(平成10年)12月発売) - キャッチフレーズは「F5ジュニア」。大きく重くなったニコンF5の基本性能を維持したままに小型・軽量化を実現した。5点測距オートフォーカスに加えて、ニコンとして初めて採用されたのがオートフォーカスエリアのスーパーインポーズによるファインダー内表示である。スーパーインポーズにはLEDが採用されており、選択されたフレームが赤く照らし出され認識しやすくなっている。ボディにはマグネシウムダイキャストを使用。フィルムカメラ事業の縮小により2006年(平成18年)をもって生産終了となった。 ニコンF80(Nikon F80 、2000年(平成12年)4月発売) - ニコンF70の後継機であるが機能省略も行われている。オートフォーカスは上位機のニコンF5やニコンF100同様に5点測距だが、フォーカスエリアの表示には「PN液晶」が採用されており、被写体に応じて表示色が赤または黒に変化する。また、このPN液晶により格子線をカスタム設定で表示することも可能。DとSが存在するが、Sにはデータバック(コマ間データ写し込み機能「シャッター速度」「絞り値」「露出補正値」)が予め組み込まれている。なお後発のニコンF6にも同様にデータバックが標準装備された。ニコンF100とともに2006年(平成18年)生産終了。 ニコンU/ニコンF65(Nikon F65 、2001年(平成13年)3月発売) - 「大きくて重い」「使いづらい」「難しい」という、今まで一般ユーザーが抱いていたニコン一眼レフカメラのイメージを払拭、400gというニコン史上最小・最軽量(当時)のボディで登場。キャッチフレーズは「ずっとずっと、With U」。海外ではニコンF65の名称で販売されていた。ライカ判フィルムを使うニコンFマウントカメラでは初めてペンタプリズムではなく、ペンタミラーを使用した。b.Nikon!!(2002年(平成14年)発売) - 本機種をベースにしたアニエス・ベーとのコラボレーションモデル。日本で2000台が限定発売された。ブラックボディのニコンUは日本では本機種しか存在しない。カメラとしての機能は、日付写し込み機能がないほかは通常のニコンUと同じである。 ニコンUs/ニコンF55(Nikon F55、2002年(平成14年)3月発売) - 初代ニコンUをコストダウンし、さらに小さくした最廉価版モデル。ボディ、AFニッコール28-80G、AFニッコール70-300G、バッグ、使い方ビデオをまとめた「カジュアルセット」もあった。徹底したコストダウンが施された結果、オートフォーカス制御信号線が省かれているためAF-IやAF-Sといったレンズ内にオートフォーカス駆動部があるレンズではオートフォーカスの使用ができない。この点は、旧機種ニコンF-401からニコンF60までの普及機クラスと同じである。ニコンの35mmフィルム一眼レフカメラでは歴代最軽量モデルで、唯一プラスチックマウントを採用している。 ニコンU2/ニコンF75(Nikon F75、2003年(平成15年)3月発売) - ニコンUの後継モデル。キャッチフレーズは「一眼レフで遊ぼう。」エントリーモデルでありながら5点測距オートフォーカスや3D-25分割測光を装備する。ニコンUsの「カジュアルセット」と同じようなもので「プレジャーセット」というのもある。金属マウント採用。ペンタミラーの蒸着がアルミから銀に変更され、オートフォーカスも上級機ニコンF80並みの専用ダイヤルでの5点選択式に改良、測光機能などはF80を上回る部分もある。海外ではニコンF75の名称で販売されていた。2006年(平成18年)に生産終了。
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