ニコンF2
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「ニコンの銀塩一眼レフカメラ製品一覧」の記事における「ニコンF2」の解説
ニコンF2は、機械式カメラの最高傑作といってよい。毎日新聞社が、「カメラ・レンズ白書」と称して、カメラ、レンズをすべて自前で買いそろえ、千葉大学田村研究室で、徹底的に調べた結果が残されている。それによると、ニコンF2の特長は、カメラ自体がたいへん精密かつ堅牢にできており、とくに、ファインダーとシャッターが非常に優れていることがあげられる。ニコンF2のファインダーは、100%の視野率を持つとされるが、実際に調べると、まさに実画面と100%一致する。これを、「驚異的に高い技術だ」と評している。そのようなカメラは他にない。また、見え味にも優れている。ニコンFも、100%の視野率を持つとされるが、精密に調べた記録がないので、正しいかどうかはわからない。また、シャッター音を解析したオッシロスコープの画像を見ると、ふたつの特長があげられる。まず、シャッターボタンを押してから、実際にシャッターが開くまでのタイムラグが非常に小さいということである。通常のカメラは、シャッターボタンを押してから、0.05秒から0.15秒程度のタイムラグを生じてシャッターが開く。ニコンF2は、0.02秒とタイムラグが極めて小さい。また、シャッター音が、急速に収れんするのも特長である。これは、ミラーも含めて、振動が極めて小さいことを示している。このようなカメラは、世界中探してもどこにもない。また、ニコンF2の標準レンズ、ニッコール50ミリF1.4の特徴として、次のようなことがあげられる。レンズは、共通して、絞り開放のときはあまり画質が良くなく、5.6程度に絞ったとき、最高の画質を発揮し、それ以上絞ると、また画質が低下する、という性質を持っている。ニッコール50ミリF1.4は、絞り開放のとき、比較的良い画質を示し、5.6まで絞ってもあまり画質が向上しない。それが特徴である。開発時はF'(エフダッシュ)、後にAカメラと呼ばれていた。「ニコンFの改良版」と表現される場合もあるが実際には全面的に設計が変更されており、互換性を保ったファインダースクリーンを除いてネジ一本に至るまで全く別の部品が使用されている。ニコンF一桁機唯一の自社内デザインとなり、最後にして最高峰の機械式シャッター機となった。ニコンFにおいて、ニコンSシリーズの配置を踏襲したため「背面寄りの位置にあり使いにくい」という声のあったシャッターボタンを前に移動し、カドの取れたフォルムにするなどより手にフィットする筐体となった。裏蓋は開閉式になったがフィルムマガジンの使用に対応したため、フィルム交換などで裏蓋を開閉するには底部のレバー操作が必要である。シャッター速度は10秒~1/2000秒。10秒~2秒はセルフタイマー併用、1/80秒~1/2000秒は中間速度も使用可能である。横走りシャッター機は横に動く被写体を自然に写し込む特徴があり、電池切れによる影響が少ないため、厳冬期においていまだに愛用するプロカメラマンが多い。スピードライトには1/80秒以下のシャッター速度で同調する。巻上機構は分割巻き上げが可能で、レバーにはプラスチックの指当てが付く。ニコンFの欠点であった望遠レンズ使用時のミラー切れ対策としてミラーは大型化され、昇降機構も改良された。その他250枚長尺フィルム、750枚長尺フィルムに対応するフィルムバックとの背板交換、絞りリングをサーボモーターで直接操作する機構でシャッター速度優先自動露出撮影を可能にした「EEコントロールユニット」など、多くの機能を利用できるシステムカメラだった。 単にニコンF2と呼んだ場合は露出計のないアイレベルファインダーDE-1を装着したタイプを指すが、ニコンF2では当初からフォトミックファインダー搭載のニコンF2フォトミックを標準としており、生産開始当時からTTL測光が可能なF2フォトミックシリーズがリリースされた。交換可能なファインダーの違いによるもので、外装がチタンのニコンF2チタンを除けば本体は同一である。ニコンF3が登場した1980年(昭和55年)に生産を終了した。 ニコンF2フォトミック(Nikon F2 Photomic 、1971年(昭和46年)9月発売) - フォトミックファインダーDP-1を搭載したモデル。 ニコンF2(Nikon F2 、1971年(昭和46年)9月発売) - アイレベルファインダーDE-1を装着したモデル。 ニコンF2フォトミックS(Nikon F2 Photomic S 、1973年(昭和48年)3月発売) - フォトミックファインダーDP-2を搭載したモデル。 ニコンF2フォトミックSB(Nikon F2 Photomic SB 、1976年(昭和51年)10月発売) - フォトミックファインダーDP-3を搭載したモデル。 ニコンF2フォトミックA(Nikon F2 Photomic A 、1977年(昭和52年)3月発売) - フォトミックファインダーDP-11を搭載したモデル。 ニコンF2フォトミックAS(Nikon F2 Photomic AS 、1977年(昭和52年)7月発売) - フォトミックファインダーDP-12を搭載したモデル。 以下は限定モデル。 ニコンF2チタン(Nikon F2 Titan 、1979年(昭和54年)限定発売) - ウエムラスペシャルの経験を元にして製造された、外装部品にチタンを使用したモデル。当初は2000台とアナウンスされたが後に追加された。チタンの加工技術が未熟で裏蓋の形状が形成できなかったため裏蓋が鉄製だが後には裏蓋もチタン製となった。一般モデルの裏蓋はアルミニウム製。「Titan 」の文字が筆記体で入っている物は一般向け。入っていない物は報道向けで「ノーネーム」と俗称される。 ニコンF2 DATA 発売期間昭和51年11月頃から昭和55年まで MF10付きで価格236,000円受注生産品で製造数は少なく、正確な数字は不明だが1000台以下という希少モデル。フィルムに時刻を映し込むデータバックには手巻き式のアナログ時計と日付カウンターが装備されており、手書きによるデータも映し込むことが出来る。そのため、フィルム室内の一部が切り抜かれており遮光板が入っている点が他のF2と異なる。また製品番号の上にDATAの文字が刻まれる。 以下は特殊モデル。 ウエムラスペシャル(1978年(昭和53年)製作) - 植村直己が1974年(昭和49年)から1976年(昭和51年)に渡る北極犬ぞり探検に際して携行した他社のカメラが故障したことから日本光学工業に「故障しないカメラ」の依頼がありニコンF2に振動、寒さ対策をして開発された特殊モデル。外装にチタンを採用した最初のカメラとなった。1978年(昭和53年)犬ゾリ単独行で北極点到達した際に携行され故障なく動作、数々の素晴らしい記録写真を残した。 高速モータードライブカメラ - 専用のモータードライブMD-100と固定式ハーフミラーの採用で10コマ/秒の連続撮影が可能。
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