ニコンEMシリーズ
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「ニコンの銀塩一眼レフカメラ製品一覧」の記事における「ニコンEMシリーズ」の解説
ニコンFM/ニコンFEシリーズより下位のエントリーモデルとして開発された。ニコン一眼レフカメラではもっとも小さいボディを持ち、初めてエンジニアリングプラスチックをボディに本格的に用いたシリーズでもある。 シリーズ第一弾のニコンEMはエントリーモデルとして割り切った仕様としたが、発表当時の日本市場であまり受け入れられなかった反省から、続くニコンFGではフルスペック化が行われた。ただし絞り値直読窓を持たないなどあくまでニコンFM/ニコンFEシリーズの弟分という位置づけになっているが、とはいえ小刻み巻き上げが可能など一部ニコンFM/ニコンFEシリーズを上回るスペックを持つ。 ニコンEM(Nikon EM 、1979年3月海外発売、1980年(昭和55年)3月国内発売) - キャッチフレーズは「リトル・ニコン」。女性ユーザーもターゲットに入れて小型化と操作の簡略化を重視して設計され、撮影モードは絞り優先AEのみ。ニコン一眼レフの中でオート露出専用なのはこのカメラと後年発売されたAPS規格一眼レフのプロネアSだけである。シャッターユニットはスクエア型のセイコーMFCを採用。電池消耗時の非常用として、1/90秒のみの機械式シャッターも備えている。ニコンとしては初のエントリーモデルで、同時期に低廉で小型軽量の交換レンズ「ニコンレンズシリーズE」もリリースされた。外装デザインはジョルジェット・ジウジアーロにより、ニコンF3と同時になされている。専用モータードライブMD-Eとの一体化を意識したデザイン、小刻み巻き上げ可能な巻き上げレバー(中折れ式)、その中央に配置されたシャッターボタンなどニコンF3に似た特徴が多く、一部では「リトルF3」などと呼ばれていた。先行発売された海外仕様機は貼り革の意匠(シボパターン)が異なり、バッテリーチェックボタン・逆光補正ボタンが青い。外装の意匠を一部変更し国内発売されたがAE露出専用の普及機だったこともあり、ニコン=プロ用高級機のメーカーというイメージが強い日本では発売当時あまり人気がなかった。だが非常に小型軽量でシンプルであること、デザインが秀逸であること、ニコンカメラのブランド性、そして1990年代に写真家の田中長徳が著書の中で褒めたことなどから、むしろ生産終了後に人気が出た。また本機は海外市場でかなりの成功を収めたと言われており、パブリシティの一環として1982年のハリウッド映画『ロッキー3』冒頭のシーン、チャンピオンになったロッキーがさまざまなCMに出演しているという設定でニコンEMのロゴが載ったパンフレットが大映しになる-、というシーンが登場することからもその一端が伺える。ニコンF4を例外としてニコンEM以降の機種はレンズマウント周囲の「露出計連動レバー」が固定式になったため、非Ai方式レンズはAi改造しなければボディに装着できなくなった。そのうえ55mmF1.2など、Ai改造しても装着できないレンズも存在する。 またEM発売の時期は第二次オイルショックが一段落つき、需要回復のために必死のコストダウンが模索されていた時期であり、競合他社を含め国内販売価格40,000円・AE専用という、ほぼ同一コンセプトのカメラが開発されていたという時代の産物でもあった。電源はSR44×2またはLR44×2。 ニコンFG(Nikon FG 、1982年(昭和57年)5月発売) - 愛称は「プログラム・ニコン」。ニコンEMをベースにプログラムAE、絞り優先AE、マニュアル露出制御を搭載。プログラムAEは絞りを手動で変えるとプログラムシフトと称してシャッター速度優先AE的に使用できる。この露出機構のため、自動絞り連動レバーの動きを絞り段数にほぼ比例するよう改善したAi-Sニッコールレンズが投入された。とはいえ旧Aiニッコールレンズでも自動露出を可能とするため、ミラーアップ直前に絞り込み測光を行う瞬間絞り込み測光が搭載されている。小刻み巻き上げも可能。電源はSR44×2またはLR44×2。 ニコンFG-20(Nikon FG-20 、1984年(昭和59年)3月発売) - 電子制御シャッターを搭載したエントリーAE機/マニュアル機。「ライトニコン」の愛称で知られる。 同じエントリー機でもAE専用のニコンEMとは違い、マニュアル露出モードがついているので作為的な撮影がしやすい。ニコンFGからプログラムAEとTTL調光が省略され、ニコンFE風の針式メーターとなっているが、シャッター設定値の表示が省略されているため、マニュアル露出での利便性はFEシリーズに劣る。スペック的には多重露光機能とマニュアル露出時のファインダー内情報を省いたニコンFEに近いと言える。露出モードは絞り優先AE(シャッター速度1~1/1000秒・電子制御無段階可変)とマニュアル(1~1/1000秒、1ステップごとに1・1/2・1/4・・・1/500・1/1000と設定できる)。X接点シンクロ速度は1/90秒である。電子シャッター機だが、電池消耗時のため1/90秒のみの非常用機械シャッターを備える。電源はSR44×2またはLR44×2。
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