カリウム保持性利尿薬とは? わかりやすく解説

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利尿薬

(カリウム保持性利尿薬 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/14 06:52 UTC 版)

利尿薬(りにょうやく、: diuretic)とは、尿量を増加させる作用を持つ薬物の総称である。

尿は、水分や電解質を体外へ排出する最も効果的な手段である。尿は腎臓でつくられるが、腎臓は体内の状況に応じて尿の量や濃度を調節し、全身の体液を一定に保つよう制御している。利尿薬は、この調節機構が適切にはたらかない病態などにおいて、水分を体外に排出するために用いられる。

浸透圧利尿薬

浸透圧利尿薬は糸球体で濾過されると再吸収されないため、尿細管内の浸透圧が上昇し、水の再吸収が抑制される。脳圧亢進時などに用いられる。

ループ利尿薬

ヘンレのループにおいてNa+とClの再吸収を阻害する。腎機能に悪影響を与えないため、利尿薬の第一選択として使用される。また、心不全高血圧の治療薬としても使用される。ヘンレの係蹄上行脚太い脚でのNa+の再吸収率は30%であるが、ループ利尿薬はその25%を抑制する[1]

チアジド系利尿薬

遠位尿細管においてNa+とClの再吸収を阻害する。降圧剤としても使用される。大規模臨床試験では他剤と遜色ない結果を得ており、現在も高血圧治療薬の代表的なものである[2]

ただし、チアジド系利尿薬を服用すると、しばしば重篤な低ナトリウム血症に陥る。チアジド系利尿薬は腎髄質の濃度勾配には影響を与えないため、髄質集合管で働くバゾプレッシン(ADH)の反応が起こりにくく、その結果、自由水の再吸収が生じてナトリウムが希釈されやすい。これによって重度の低ナトリウム血症をきたしやすいものと考えられている。この系統の薬の機序としては「ナトリウム排泄薬」の側面を持ち、食塩感受性高血圧の治療に則している。

カリウム保持性利尿薬

抗アルドステロン薬ともいう。遠位尿細管においてアルドステロン(抗利尿ホルモン)に拮抗し、Na+の再吸収を阻害する一方、K+の尿中排泄を抑制する。ループ利尿薬などと合わせて、肝硬変、鬱血性心不全などに対して使用される。

その他の利尿薬

副作用

この場合、血圧への影響を顧慮し、高尿酸血症治療薬であるアロプリノール(ザイロリック)・フェブキソスタット(フェブリク)・トピロキソスタット(トピロリック・ウリアデック)等を追加するのではなく、利尿薬を減量した上で、ロサルタンシルニジピンを併用するとよい[3][4]
  • ボクシング等の階級制の競技において、体重調整の最後の手段として利尿剤が使用されることがあるが、ドーピング検査においても利尿剤は禁止薬物に指定されていることが多い。副作用も大きく、治療以外の目的で利尿剤を使用することは危険も伴うため、絶対に避けるべきである。

脚注

  1. ^ 木村玄次郎 日内誌 2013;102(9):2413-7.
  2. ^ 木村玄次郎(2006), 高血圧治療と利尿薬, 呼吸と循環, 54(1):71-80.
  3. ^ シルニジピンの糖尿病合併高血圧症例に関する特定使用成績調査結果 永濱 忍,他:診療と新薬 2009;46:473-491
  4. ^ N型カルシウム拮抗薬シルニジピンの筋原性高尿酸血症抑制作用 浜田紀宏,他:診療と新薬 2006;43:382-386

関連項目

外部リンク


カリウム保持性利尿薬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 19:12 UTC 版)

高血圧治療薬」の記事における「カリウム保持性利尿薬」の解説

多く利尿薬ナトリウム再吸収阻害と共にカリウム排泄増加引き起こし低カリウム血症副作用としてもつ。カリウム保持性利尿薬は他の利尿薬とは逆にカリウム補充を行うことができるため、併用することにより血中カリウム値維持が可能となる。カリウム保持性利尿薬であるスピロノラクトンステロイドホルモン一種であるアルドステロン受容体との結合において拮抗し、Na+/K+交換系の活性化抑制する一方トリアムテレン集合管においてNa+チャネル活性化し細胞内Na+量を増加させる。これによりNa+/K+交換系は抑制される。カリウム保持性利尿薬はこれらの機序を介して利尿作用血中K+増加作用を示す。 スピロノラクトン(Spironolactone,アルダクトンAトリアムテレンTriamtereneエプレレノンEplerenone,セララ)

※この「カリウム保持性利尿薬」の解説は、「高血圧治療薬」の解説の一部です。
「カリウム保持性利尿薬」を含む「高血圧治療薬」の記事については、「高血圧治療薬」の概要を参照ください。

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