グレン手術とは? わかりやすく解説

フォンタン手術

(グレン手術 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/02 02:57 UTC 版)

フォンタン手術(フォンタンしゅじゅつ、: Fontan procedure)とは、単心室症を含む複雑心奇形に対する機能的修復術である。体循環からの静脈血を直接肺動脈に流す(即ち、解剖学的右室をバイパスする = フォンタン循環)ように血流を転換する手術である。本術式は1971年にフォンタンとクロイツェルにより三尖弁閉鎖症に対する外科治療としてそれぞれ独立に報告された[1] [2]


  1. ^ Fontan F, Baudet E (1971). “Surgical repair of tricuspid atresia”. Thorax 26 (3): 240–8. doi:10.1136/thx.26.3.240. PMC 1019078. PMID 5089489. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1019078/. 
  2. ^ Kreutzer G, Galindez H, Bono H, (1973). “An operation for the correction of tricuspid atresia.”. The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery 66 (3): 613–21. PMID 4518787. 
  3. ^ 中田誠介, 今井康晴 (1986). “低肺血流性先天性心疾患における肺動脈発育度の新しい定量的評価法”. 日本胸部外科学会雑誌 34 (2): 147-157. http://www.jats-oj.org/system/journal.php?m=eb9nikyo&y=1986&v=34&n=2&d=eb9nikyo/1986/003402/003. 
  4. ^ Leval, Marc R de (2005). “The Fontan circulation: a challenge to William Harvey?”. Nature Clinical Practice Cardiovascular Medicine 2 (4): 202–208. doi:10.1038/ncpcardio0157. PMID 16265484. http://www.nature.com/ncpcardio/journal/v2/n4/full/ncpcardio0157.html 
  5. ^ 「犬の三尖弁を閉鎖して右心房と肺動脈を道管でつなぎ、疑似的な三尖弁閉鎖患者にフォンタン手術をした状態にした後、循環が安定したのを確認したうえで、電気刺激で心房細動を起こさせる。」というもの、もし右心房の力で肺血流が保たれているなら心房細動で血液が流れなくなるが、実際は心房細動分だけ流量が減っただけ(正常の心臓でもこの現象は起こる)だった。
  6. ^ 下大静脈がなく、冠静脈と肝静脈血以外は全て奇静脈を介して上大静脈に戻っていた
  7. ^ 川島(2010)p.276-277
  8. ^ 川島(2016)p.5-6
  9. ^ a b 川島(2016)p.5
  10. ^ http://www.dhg.org.uk/information/procedures.aspx
  11. ^ Bonita F. Stanton; Kliegman, Robert; Nelson, Waldo E.; Behrman, Richard E.; Jenson, Hal B. (2007). Nelson textbook of pediatrics Robert M. Kliegman, Richard E. Behrman, Hal B. Jenson, Bonita F. Stanton. Philadelphia: Saunders. ISBN 1-4160-2450-6 
  12. ^ Yuan SM, Jing H (2009). “Palliative procedures for congenital heart defects”. Arch Cardiovasc Dis 102 (6-7): 549–57. doi:10.1016/j.acvd.2009.04.011. PMID 19664575. http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1875-2136(09)00169-7 2010年2月27日閲覧。. 
  13. ^ Jacqueline M. Leung (10 March 2004). Cardiac and vascular anesthesia: the requisites in anesthesiology. Elsevier Health Sciences. pp. 125–. ISBN 978-0-323-02043-5. https://books.google.co.jp/books?id=MYvRWQ2aeagC&pg=PA125&redir_esc=y&hl=ja 2011年6月21日閲覧。 
  14. ^ 藤井(2010)p.301
  15. ^ 腸管からの蛋白漏出を主病態とし,様々な臨床像を呈する疾患
  16. ^ 循環動態の変化に起因するこれらの遠隔期合併症をフォンタン術後症候群といい、術後10年で約50%が陥る。2015年に児童福祉法が改正され、小児慢性特定疾病に加えられた(小児慢性特定疾患情報センター - フォンタン(Fontan)術後症候群 概要)。
  17. ^ グレン手術の時に上大静脈から下大静脈右心房系に行く体静脈側副血行路もあるが、これはフォンタン手術を行えば臨床的な問題はない。(藤井(2010)p.304-305
  18. ^ 藤井(2010)p.305
  19. ^ Mair DD, Puga FJ, Danielson GK (November 1992). “Late functional status of survivors of the Fontan procedure performed during the 1970s”. Circulation 86 (5 Suppl): II106–9. PMID 1423987. 
  20. ^ Behrman, Richard E.; Robert M. Kliegman, Hal B. Jenson (2004). Nelson Textbook of Pediatrics (17th ed.). Saunders. ISBN 0-7216-9556-6 
  21. ^ フォンタン手術の過去,現在,未来 - 日本小児循環器学会雑誌 第24巻 第1号 2008年 巻頭言


「フォンタン手術」の続きの解説一覧

グレン手術

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フォンタン手術」の記事における「グレン手術」の解説

第一段階の手術は、グレン手術またはヘミフォンタン手術(Hemi-Fontan procedure)と呼ばれる。まず肺動脈対す血液供給を担う血管BTシャントノーウッド手術後のシャント動脈管など)が遮断される次いで上半身からの静脈血流れ上大静脈SVC)を右房から離断し、肺動脈に縦切開加えて端側吻合する。 (上大静脈血液重力下降して流れ落ちるので、心室拍動なしでも肺動脈流れ込み滞留はほとんど起きない。) この時点で、上述肺循環と体循環微妙なバランスから開放され単心室課せられる過剰な仕事量軽減されるため、多く場合順調な成長体重増加得られるようになり、体力抵抗力ついてくる。しかし、下半身からの血流帰ってくる下大静脈IVC)は右房繋がったままであり、肺に直接灌流しないため、チアノーゼ依然として残っている。従って多く場合第二段階の手術、即ちフォンタン手術検討されることになる。 なお、グレン手術はもともと三尖弁閉鎖症対す姑息術として報告され、原法では上大静脈右肺動脈吻合する術式であったが、現在では左右肺動脈流れるように繋ぐ術式一般的であるため、両方向性グレン手術(Bidirectional Glenn procedure, BDG)とも呼ばれる。 こちらの目的使用する場合BTシャント術とも競合するが、こちらの方が静脈血を肺に流すので酸素交換の候率が良くBTシャント動脈血を肺に送っている)、心室負荷増えないというメリットがあるが、逆に単心室心室に中隔を作る手術のため心室鍛えて大きくする必要がある場合などは前述負荷がかかるBTシャント使い分けられていた。

※この「グレン手術」の解説は、「フォンタン手術」の解説の一部です。
「グレン手術」を含む「フォンタン手術」の記事については、「フォンタン手術」の概要を参照ください。

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