三尖弁閉鎖不全症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:25 UTC 版)
三尖弁閉鎖不全症(さんせんべんへいさふぜんしょう:tricuspid regurgitation TR)は、三尖弁の閉鎖不全により血液が逆流する病気。 分類 リウマチ性 (ICD-10: I07.1) 非リウマチ性 (ICD-10: I36.1) 誘因・原因 器質性と機能性があり、前者の主因はリウマチ熱後遺症(ただし現在は激減)、後者は基礎疾患により右室拡大により弁輪が広がって起こる。 先天性にエプスタイン(Ebstein)奇形という物もあり、三尖弁の後尖・中隔尖が形成異常を起こして右室心尖部に付着することで閉鎖不全が起きるものもあり、この場合右心室が形成異常の後尖・中隔尖によって心尖部の機能的右室と壁の薄い右房化した右室に分かれる。 病態・症状 右房と右室を行き来する血液があるため右室にも負荷がかかるので右室肥大が起こる。 これ以外は三尖弁狭窄症と同様に長期間無症状だが次第に右心不全の症状を起こす。 エプスタイン奇形による場合は大きく症状が異なり、肺血管抵抗の強い新生児期から逆流が起きるので右房に逆流した血液が右室に戻りにくく、卵円孔(もし心房中隔欠損があればそちらから)から左房に流れ込み、チアノーゼを生後1週間頃まで起こすが、このあたりまで生存していれば肺血管抵抗が下がって右室に血液が流れやすくなりチアノーゼが軽くなるが、加齢とともに三尖弁の機能低下で再度チアノーゼが起こる。これ以外に刺激電動系の異常も起こってWPW症候群や上室不整脈を起こす。 治療 器質性の場合は三尖弁置換術で人工弁に交換、機能性の場合は基礎疾患をターゲットにしてそちらの治療で右室の拡大が収まれば自然に逆流現象になることが多い。奏功しない場合や奏功しても弁輪拡大が戻らない場合は、手術を行う。(三尖弁置換術か弁輪縫合術を弁形態に応じて選択)。 エプスタイン奇形の場合もチアノーゼや運動機能低下、進行性の右室拡大や右室収縮能力低下がある場合は機能性に準じて手術を行う(心房中隔欠損があればそちらも治療する)。
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