そのまま自軍の兵器として転用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 16:23 UTC 版)
「鹵獲」の記事における「そのまま自軍の兵器として転用」の解説
大日本帝国 鎮遠日清戦争末期、威海衛にて鹵獲した。 石見ロシア帝国海軍ボロジノ級戦艦の三番艦「アリヨール」を日本海海戦で鹵獲し、転用したもの(戦利艦)。 P-40ビルマの首都ラングーンの手薄な防空戦力増強のため、1943年2月、陸軍第5飛行師団が隷下の飛行第50戦隊にフィリピン戦線で鹵獲したP-40E 4機を宛がい臨時の防空戦闘隊を編成した。しかし、鹵獲機材のため故障が発生しても予備部品がなく稼動率は低下。更に事故により5月26日を以て解散している。 M3軽戦車主力の九五式軽戦車や九七式中戦車より性能が勝っていたため、ビルマ戦線の戦車第14連隊第4中隊がM3で編成、インパール作戦に投入され英印軍のM3中戦車と交戦し、背後より射撃し撃破している。 M4中戦車硫黄島の戦いやビルマ戦線において、遺棄されていた車両を鹵獲しそのまま使用。硫黄島の戦いでは外した搭載砲を砲台として自軍の九〇式野砲と併用し、交戦したM4中戦車を擱座炎上させている。ビルマの戦いではメイクテーラ、マンダレー街道の対戦車戦闘後に遺棄されていた車輌を修理し戦闘に投入している。 ブルーノ ZB26・マウザー C96・マウザー M1924他第一次世界大戦後に大量に放出された本銃を中国国民党軍は主力装備としたが、満州事変・第一次上海事変・日中戦争では工廠ごと大量に鹵獲接収し運用した。 トンプソン・サブマシンガン太平洋の戦いで鹵獲された。日本軍は一〇〇式機関短銃よりもこっちをこぞって使った。 ドイツ国 B-17第二次世界大戦ではドイツ空軍は爆撃機は所有していたが、大型4発爆撃機は運用していなかったこともあり、運用された。 B-24爆撃機への迎撃の研究や隠密作戦で運用された。 M8装甲車主に欧州戦線で運用された。 M3軽戦車主に東部戦線や北アフリカ戦線でも運用された。 P40イタリア休戦の後、その場でこれらの前に完成した車輛はドイツ国防軍に接収された。約100輌のP40が戦争終結までアンサルド社によって生産されたものの、40両がエンジンの不足のため、完成に至らなかった。60両が「PanzerKampfwagen P40 737(i)」の呼称でドイツ軍に徴用され、アンツィオで戦闘に投入された。またエンジンのない車体40両が、固定砲台としてトーチカなどに使用された。 M3中戦車鹵獲したM3に「PzKpfw M3 747(a)」と命名し、主に東部戦線や北アフリカ戦線でも運用された。 M4中戦車鹵獲したM4に「PzKpfw M4 748(a)」と命名し、北アフリカ戦線や東部戦線で鹵獲したり、欧州戦線までシャーマン ファイアフライも同じ分類で運用された。 T-34鹵獲したT-34に「PzKpfw T-34 747(r)」と命名し、独ソ戦以降から運用された。 KV-1鹵獲したKV-1に「Pz.Kpfw.KW-1 753(r)」と命名。また、IV号戦車の砲を搭載する改造を行い「Pz.Kpfw.KW-1 753(r) mit 7.5 Kw.K L/43」と命名された車両もある。 M3ハーフトラック北アフリカ戦線から欧州戦線や東部戦線まで運用された。 PPSh-41鹵獲したPPSh-41に「MP717(r)」と命名し、そのまま使用したりMP40の箱形弾倉を使用できるように改造した。 M1/M1A1トンプソン・サブマシンガン鹵獲したM1/M1A1トンプソン・サブマシンガンに「MP761(a)」と命名し、そのまま使用した。 M1カービン鹵獲したM1カービンに「SIGew455(a)」と命名し、そのまま使用した。 カルカノM1891鹵獲したカルカノM1891に「Kar408(i)」と「Gew214(i)」と命名し、そのまま使用した(後者が6.5ミリ)。 ルベルM1886鹵獲したルベルM1886に「Gew303(f)」と命名し、そのまま使用した。 M1ガーランド鹵獲したM1ガーランドに「SIGew251(a)」と命名し、そのまま使用したり、米兵に扮した特殊部隊で用いられた。 モシンナガン鹵獲したモシンナガンに「Gew254(r)」と命名し、そのまま使用した。 120mm迫撃砲PM-38鹵獲した120mm迫撃砲PM-38に「GrW378(r)」と命名し、後にはコピー品の12 cm GrW 42を生産している。 中華人民共和国 九七式中戦車日本の敗戦後に接収して、その中で運用されていた1両が国共内戦で「功臣号」として活躍。 フランス 九五式軽戦車日本の敗戦後、フランス領インドシナで独立運動勢力の鎮圧に使用。砲塔両側面および戦闘室前面、車体前部に増加装甲を施している。 V号戦車パンター戦後に第503戦車連隊にて定数50輌の一個連隊のみで1951年ごろまで現役運用され、1961年ごろまでパリ近郊で予備保管された。 零式水上偵察機日本の敗戦後、フランス領インドシナに戻ったフランス軍で1949年ごろまで現役運用され、インドシナ独立戦争においてベトナムでの連絡や偵察飛行のために使用。 Z39ドイツの敗戦後に接収したZ39とその同型艦4隻が戦後アメリカやイギリスに引き渡されるが、後にフランスに譲渡されて、マルセー戦隊にて1957年ごろまで現役運用されて、他の旧ドイツ駆逐艦のための部品取り用にされ、1963年に解体された オーストラリア M13/40第二次大戦中、北アフリカ戦線での初戦で降伏したイタリア軍から大量に鹵獲した戦車をオーストラリア軍が転用している。M13/40の他に、M11/39も鹵獲され転用されている。この結果、後のイタリア軍とオーストラリア軍との戦闘の際は、両軍ともに同一の戦車を用いた戦闘を行うことになった。 ローデシア T-55ローデシア紛争において自前の戦車を保有していなかったローデシア政府軍は、アフリカ人抵抗組織から鹵獲したT-55をそのまま使用していた。 バングラデシュ F-86第三次印パ戦争後、旧東パキスタン駐留のパキスタン空軍が装備していたF-86をバングラデシュ空軍が再生して運用。しかし、外国の支援が得られずに部品不足に陥った事、MiG-21が供給された事などから数年で退役。 チャド SF-260 COIN機チャド内戦中、リビア空軍から鹵獲して使用。リビア国内の基地を空爆した事もあった。現在は退役している。 ベトナム M16A1自動小銃ベトナム戦争に敗北した米軍や南ベトナム軍が使用していた物を回収し、民兵部隊などに供給した。 M18A1 クレイモア地雷ベトナム戦争中、ベトコンが南ベトナム軍から横流しされた物を使用。 M26手榴弾ベトナム戦争中、ベトコンが鹵獲や横流しで手に入れた物を使用。 F-5ベトナム戦争に敗北した南ベトナム軍が使用していた物を接収し、カンボジア侵攻に使用。 UH-1南ベトナム軍が使用していた物を接収。2018年現在も少数の機体が現役で配備されている。 M48パットンベトナム戦争に敗北した南ベトナム軍が使用していた物を接収し、カンボジア侵攻や中越戦争に使用。 イスラエル PT-76エジプト軍のものを鹵獲。イスラエル軍に該当する装備が無かったため、スエズ渡河作戦の際に水陸両用戦車として使用。 イラン ミラージュF1湾岸戦争末期、イランに逃亡して同国空港に次々に着陸した機体を接収、一部は現在も使用されている。 イギリス アグスタ A109フォークランド紛争でアルゼンチン陸軍の機体を鹵獲(このほか同軍のCH-47 チヌークなども、ヘリコプターが不足していた事から一時的に使用している)。A109は紛争終結後にイギリス陸軍において特殊作戦向けの機体として使用した。好成績であったことから、同軍は独自に同機を追加購入している。 ポルトガル P-39第二次大戦中にアゾレス諸島に不時着したアメリカ陸軍航空軍の機体を接収。修繕後にポルトガル空軍で運用した。 セルビア( ユーゴスラビア/ ユーゴスラビア) ボーイング707クロアチア独立戦争時に、クロアチア人が武器密輸用にチャーターしたとされる民間のボーイング707をセルビア軍が鹵獲。輸送機が不足していたため、同機を人員輸送機としてボスニア紛争などに使用した。 クロアチア MiG-21クロアチア独立戦争時、クロアチア人パイロットが旧ユーゴスラビア空軍から脱走する際に使用した機体を、クロアチア空軍が戦闘機として使用。 その他 犯罪組織から押収した、麻薬密輸などに使用されたビジネスジェットや軽飛行機、船舶などが、警察や沿岸警備隊、税関などによって再利用される事がある。 メキシコ麻薬戦争では、メキシコ軍脱走兵の銃火器が、麻薬カルテルの装備に転用されているという指摘がある。
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