この問題への関係者のコメント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 03:21 UTC 版)
「女子柔道強化選手への暴力問題」の記事における「この問題への関係者のコメント」の解説
当時、東京都知事だった猪瀬直樹はこの件で「情けない。不愉快だ。」と発言する一方で、2020年東京オリンピック招致活動の面では大きな影響はないと思っているとの見解を示した。 大阪市長の橋下も今回のJOCや全柔連の後手後手に回る対応を「ぐだぐだである」と批判した。 柔道家であり参議院議員の谷亮子は、当初全柔連が監督の園田を留任で済ませようとしたことに「賢明な判断」、園田について「人間性の素晴らしい立派な監督」との認識を示すと、自身は20年以上強化選手をやってきたが、歴代監督による暴力的指導は一切なかったとも発言した。しかし、園田監督が辞任すると聞き及んだ際には、「反省してほしい」との見解を示した。さらに、この問題の再発防止策として、選手の所属先と全柔連との意思疎通が充分に図られるシステムの構築が必要であり、この点は選手時代から指摘してきたことだとも述べた。また、柔道のコーチになるためには、フランスのように国家資格を取得してからなるべきだとの提言も行った。 柔道家であり、総合格闘家でもある石井慧は「園田先生はいい人であり、かわいそう、リオまで続投すべきだった」との見解を示した。 柔道家でプロレスラーでもある小川直也は、明治大学の後輩である園田が世間を騒がせたことを謝罪するとともに、今回の騒動はお家騒動の側面があるとの認識を示した。しかしその後のインタビューで、今回の騒動は単なる派閥争いを超えた個人的な怨念が背景にあるのではないかとの推測を示した。さらに自らの現役時代から男子に関しては体罰はなく、当時から選手第一の流れで現在にまで至っているとも語った。また、山口香との対談では、柔道界も今や派閥争いに興じているような時代ではないとの認識で一致した。さらに、評議員会で全理事の即時解任を求めながらも否決されることになった理事長の了徳寺健二に関して、言ってることは正論ながらも周囲から所詮は学閥闘争と見られている以上、他の評議員から同調を得るのは難しいと述べた。了徳寺が理事長を務める了徳寺学園は筑波大学や東海大学の卒業生を多数受け入れてつながりも深いが、その一方で現体制は明治大学出身の上村を中心としているので、了徳寺の目論見が成功したとしても別の学閥が新体制を構築することになるだけと周囲は見ているのかもしれない、自分はそのような見方には与しないけどとも補説を加えた。また、新体制にはクリーンな人物が望ましく、助成金の不正受給に関与した人物は誰一人加わってはならないとも語った。 実業団チームのパーク24柔道部監督の吉田秀彦は柔道界における暴力問題を受けて、「体罰と教育は紙一重だと思います。一人で練習をしているとどうしても甘える。そのときに叱咤激励があったから僕はやってこれた。それが体罰かというと、違うと思います。日本には外国とは違う文化がある。日本は日本人らしい教育でも良いんじゃないかと思う。行き過ぎた体罰は良くないけど、愛のある、相手のことを思って(厳しく)やることは、人を成長させるためには必要じゃないかと僕は思っております。」との意見を述べた。また、暴力問題で女子代表監督を辞任した大学の後輩である園田に関しては、「弁護するわけじゃないけど、僕が見ていた限りでは園田なんて本当に一生懸命にやっていた。選手も面と向かって言えばいい。誰も出てこないで人を非難して。あれだけ愛情を持っていた奴がなんでこんな風にと思う。確かに口が悪いところはありますし、反省しないといけないところだと思いますけど。」と語った。 柔道の元全日本チャンピオンで、元プロレスラーでもある坂口征二は明治大学の後輩に当たる全柔連の上村に関して、一連の不祥事で「トップの責任はある」としながら、辞任表明が遅すぎたとの批判に対しては「よくやってるよ。ちゃんと後を引き継ぐっていうんだから、みんな信じて道をつくってやるべき。責任取って辞めるっていうのは、自分が何かやったならともかく、周りがやって辞めるっていうのはおかしい。人望もあるんだろ。頑張ってくれ。」との見解を示した。また、今後のキーマンになる人物として、同じく明治大学の後輩である吉田秀彦の名を挙げた。 元プロレスラーの議員・アントニオ猪木は、上村について「我々から見て、ぶざまだよね。リーダーになる者にはカリスマが必要。俺もスキャンダルにまみれたことがあるけど、トップはみんなに夢を持たせる。格好よくやってほしいな。」と語った。また、選手上がりの人物が役員に就くのは分かりやすいものの、運営は別物であると述べて、今後日本維新の会から立候補している参議院選挙で当選した際には、全柔連に対する圧力を強めていくと語った。さらに、一部から提起されている全柔連を解体して新柔道連盟を設立するという案に賛意を示して、プロ活動に携わった柔道家の坂口征二や吉田秀彦、石井慧などに結集を呼びかける考えがあることも明らかにした。 柔道家であり、プロレスラーで元参議院議員でもある神取忍も、学校ではなく町道場で柔道を習っていたので体罰を受けた経験はなく、体罰なしでも選手として活躍出来たと自らの体験を語った。その一方で、暴力はよくないが、柔道は肉体的接触が避けられない競技なので暴力の線引きが難しいとも述べた。また、ドラマの『金八先生』でかつて描写されていたような愛の鞭が通用する状況ではなく、体罰が容認されてきた時代は終わったものの、今回の問題で今後指導が甘くなる可能性がある点には違和感を表明した。 とある女子柔道強化指定選手はツイッターに、「園田前監督には今すぐにでも戻ってきてほしい」、「これ以上先生方やめさせたら混乱するのは私たち選手」「本当に訴えてるの強化選手なの?」などといった園田監督らを擁護する発言を投稿した。 ロンドンオリンピック57 kg級金メダリストである松本薫を小中学校時代に指導した岩井柔道塾の岩井克良もこの問題を受けて「勝つためにやむを得ない状況もあるだろうが、なるべく手は出さない方がいい」と語った。 三井住友海上女子柔道部監督の柳澤久は、全柔連の第三者委員会から聴取を受けたあとのインタビューで、自チームのコーチでもある貝山仁美が暴力行為に関わっていないとされながら、まともな事情聴取も受けず連帯責任で戒告処分を受けたことに、「いいかげん過ぎる」と憤りを表明すると、全柔連幹部は「全員辞めてしまった方がいい」とも語った。 陸上競技で活躍していた為末は日本スポーツ法学会の「アスリートの尊厳を守るためのシンポジウム」において、「体罰はドーピングに近い行為」との見解を示した。 為末が主催する「アスリートソサエティ」の勉強会で准教授の溝口は「フランスでは暴力は一発で退場」と述べる一方で、今まで出てきた体罰は氷山の一角であり、柔道界では追放を恐れるあまり問題を語りたがらない傾向にあったとも述べた。さらに、3月5日には日本外国特派員協会でこの問題に関する記者会見に応じて、改めて柔道界の暴力体質を批判するとともに、この転換点を機に体罰をなくしていかなければならず、フランスに出来たことが日本でも出来ないことはないと語った。また、男子はバルセロナオリンピックの頃から竹刀で選手を殴るなどの暴力が横行していたとも語り、当時から体罰はなかったと主張する小川直也とは正反対の認識を示した。ただし、当時の女子においては体罰がなかったという。続けて、ロンドンオリンピックで惨敗したことで暴力の実態を告発しやすくなったので、指導者も過去の体罰と向き合い、体罰の習慣化という負の連鎖を断ち切るように務めるべきだと述べた。 柔道家であり、フランス国民議会の議員ダビド・ドゥイエは「フランスに体罰はなく、このような問題を起こせば即座に法廷行きになるだろう」と語った。 ロンドンオリンピックの柔道48 kg級金メダリストであるブラジルのサラ・メネゼスも、体罰に関して「私の場合はコーチに叩かれないと目が覚めないから」と述べたという。 柔道家であり、ロシア下院議員のドミトリー・ノソフも、2月28日に東京で開催された「日本・ロシアフォーラム」に出席後インタビューに応じて、今回の問題に驚きを隠せないと述べるとともに「柔道や空手道、弓道など日本発祥の武道は共通の『道』を求める心がある。ロシアでも、柔道はメダルを取るために強化するだけでなく競技の精神も理解されている」と発言した。 プロレスラーでもある衆議院議員の馳浩は、上村はJOC選手強化本部長のみならず、全柔連会長も辞職すべきだとの見解を示した。また、JOC会長である竹田恒和の辞任も合わせて求めた。さらに、匿名で告発した選手側も強化に税金が使われているという自覚があるなら、問題が一段落した際に実名を公表すべきだとも発言した。 3月23日には仙台市でスポーツ指導者を対象にした「東北スポーツサミット」が開催され、ゲストとして招かれた陸上競技100m元世界記録保持者のカール・ルイスは、選手と指導者が対等な関係で学び合う姿勢の重要性を指摘するとともに、アメリカでも過去に体罰はあったが現在は見られなくなったと述べた。また、同じゲストの三段跳元世界記録保持者であるウィリー・バンクスも、アメリカは過去の体罰への反省からそれが効果的に働かない教訓を得たと述べるとともに、全米各地で親が声を上げて裁判になった結果、指導者は選手に手を触れることさえ出来なくなった現状を説明した。
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